【週刊ハンガンネット通信】第1号(2011年6月6日発行)
「教室を運営しながら思うこと」
池上和芳(いけのうえ かずよし)
皆さん、こんにちは。ハンガンネット世話人の池上です。
このたび「週刊ハンガンネット通信」の発行をスタートすることになりました。韓国語市民講座に関する話題を中心に、複数の担当者がローテーションで執筆し、毎週月曜日に配信いたします。ご愛読のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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九州の西の端、長崎県で、2005年の春に韓国語教室の運営を始めて今年で6年になります。
この6年間に教室に入学してくださった生徒さんの数は、10代から60代までの210名で、現在の在籍者数が74名ですので、これまでに実に136名もの方々が教室を去っていかれたことになります。
遠方への引っ越しや家族の介護など、やむを得ない事情でお辞めになった方や、韓国語がずいぶん上達なさり、この教室で教えられるレベルを超えて、お辞めになった方もいらっしゃいますが、多くの場合は「学習の行き詰まり」あるいは「授業の魅力不足」といった事由でお辞めになっていかれたように感じています。
「〇〇さんは、わからないような表情をしていらっしゃったのに、結局何のフォローもしなかったな…」「こういう授業をしていれば、△△さんは辞めなかったのではないか…」など、「後悔先に立たず」のケースが多いです。
やむを得ない事情でのご退学は如何ともしがたいですが、少なくとも「学習の行き詰まり」や「授業の魅力不足」で教室を辞める方が「ゼロ」になるよう、努力していかねばならないと思っています。
先日、県内の大学にお勤めの、ある韓国語の先生とお話しする機会があり、しばし教育談議をしました。「韓国語を教えるにあたって『この方法がいい!』と思って、その方法で教えても、しばらく時間が経って振り返ってみると、『あの方法はまずかった』と思うことがよくあります。
そして、その“まずかった”方法で教えていた生徒たちに申し訳ない気がしてきます」と私がお伝えしました。
すると、その先生は、「そういうものではないでしょうか。後で振り返って、『まずかった』と思う方法でも、その時は、その方法がベストだったと思いますよ。その時、その時、自分がベストだと思う方法で教えることが大切なのではないでしょうか」とおっしゃいました。
それを聞いて私は、気持ちが少し楽になったような気がしました。
私の現在の生活は、教室に通ってくださっている生徒さんお1人お1人に支えられて成り立っています。生徒さんがある程度の数、いらっしゃらなかったら、私は韓国語教育に別れを告げ、ほかの仕事を探さねばならないのですから。
通ってくださっている生徒さんお1人お1人に感謝しながら、自分の授業を少しずつ、より良いものにしていきたい…。そういう思いを胸に、九州の西の端でがんばっています。