【週刊ハンガンネット通信】《第4号》(2011年6月27 日発行)
「語学学校の先生は、話さなくても良い!?」
アイケーブリッジ外語学院 代表
幡野泉(はたのいずみ)
ハンガンネットメンバーの皆さま、アンニョンハセヨ?
アイケーブリッジの幡野泉です。
交代でコラムを書かせていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いします!
当校は東京の虎ノ門で、「シゴトの韓国語」コースという
ビジネス韓国語のクラスを中心に、通訳翻訳、字幕翻訳など
が学べるクラスから、初心者~中級者のグループレッスン、
プライベートレッスンまで、様々な形態のレッスンを実施しています。
いろんなコース、クラスがありますが、共通して
「会話中心であること、実践的であること」にポリシーを置いています。
あ、自分もそうしているよ、自分の学校もそうだよ、
と思われる方は多いと思います。しかし、毎秒、毎分毎に
行われる様々な学校の授業、現場において、本当にこれが
真の意味で実現されているでしょうか。
例えば、「生徒さんが韓国語で会話をしたがっています。
会話中心の授業をお願いします」と言われたとしましょう。
すると、「あ、会話をたくさんすればいいんだな」と思い、
先生だけがたくさん韓国語で話してしまうような授業に
なりかねません。
多くの場合、生徒の韓国語は先生の韓国語能力
(語彙力、表現力、流暢さ)に追いつかず、
「あれを話したい、これを話したい」と思っても、
それを瞬時に表現できず、ただ先生の韓国語を聞いている、
ということも起きてしまいます。
生徒が「あまり韓国語で話す時間がなかった……」
と思ったとしても、先生が「今日は会話がたくさんできた」
「生徒はずっと笑っていて反応が良かった」と
勘違いしたまま通り過ぎてしまうことがあります。
多くの日本語話者の生徒は、その不満やフラストレーションを
表現できず、自分の韓国語能力不足のせいにしたりもします。
こうならないためにはどうしたらいいか……。
語学学校の先生は、「教えてあげなきゃ」という意識を
「話させてあげなきゃ」という意識に変えるべきだと思います。
では、「話させる」ためにはどうしたら良いか……。
このコラム10回分でも足りないくらいの話になって
しまいそうなほどいろんな技術が思いつきますが、
その中で、私が最も大切にしているのは「質問」です。
目の前の生徒のレベルに合わせた語彙や文法を用いた「質問」、
その生徒の興味、嗜好を理解した上での「質問」を投げかけ続けます。
誤解を恐れず言いますが、先生は話す必要がないのです。
話してもらえばそれでいいのです。
質問、相づち、感嘆、疑問、また質問、話題の展開などなど……
それらをぐるぐる回していって、生徒に知らず知らずのうちに
韓国語を話している状況を作るのが語学教師の役割だと思います。
もちろん、「言うは易し」。私も日々悩みながら韓国語教育の
現場に立っています。普段、韓国語学校を運営しながら
気付くこと、韓国語教育の現場に立つ皆さんに是非お伝えしたい
ことなどを、これから書かせていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします(^^)。