【週刊ハンガンネット通信】《第5号》(2011年7月4日発行)
「韓国に最も近い『玄海原発』を止めましょう」
「韓国に最も近い『玄海原発』を止めましょう」
長崎韓国語教室 代表
池上 和芳 (いけのうえ かずよし)
先日、たまたまテレビをつけていると、福島県南相馬市の街の様子が映っていました。
その中で、市内のあるビルに入居している人が、隣の部屋
に入っていた学習塾が先日、塾を閉鎖して出て行ったという話をしていました。
福島第一原発の事故を受けて子どもたちが遠くに避難して、
生徒がいなくなり、経営できなくなったのだろうと、その人が言っていました。
大切な生徒が、1人、また1人といなくなり、経営者はさぞ、
つらかっただろうと思います。
私もまた“生徒”を集めることで生活している身ですので、
この学習塾が、決して、ひと事とは思えませんし、原発と
いうものの恐ろしさを改めて感じます。
国内の原発が今回のような大事故を起こしてもなお、
全国の原発を即刻、止めよう、という動きにならないのが、
とても歯がゆいのですが、
私は、国内の、どの原発よりも早く、佐賀県玄海(げんかい)
町にある「九州電力玄海原子力発電所」を止めて欲しいと思っています。
それはなぜかと言うと、玄海原発は、国内の原発の中で、
韓国に最も近い原発だからです。
玄海原発からの距離は、私の住む長崎市までが80km、
韓国南岸の巨済島までが150km、釜山までが170kmです。
ひとたび事故が起きて、なおかつ現場上空に、南から北
に向かう風が吹いていた場合などは、韓国に、取り返しの
つかない放射能汚染をもたらすことになるだろうと思います。
日本は韓国に対し、過去の侵略の罪について、誠意ある
償いを何もしないまま、こんにちを迎えている(と私は思う)のですが、
そういう状況に加えて、新たな“大迷惑”を隣国に及ぼす
ことがあっては、決してならないと思っています。
誠に悲しいことに玄海原発は、その1号機が、国内の原子
炉の中でも、圧力容器の老朽化が最も進んでいて、爆発
の危険性が、複数のメディアで指摘されています。
圧力容器そのものが爆発した場合、その被害は、福島の
比ではないそうです。私も心の隅で常に、玄海原発が
爆発しないことを祈りながら暮らしています。
外国語を学ぶということは、その言葉を話している人たち
を身近に感じる、ということなのだろうと思います。
日本で韓国語を学んでいる方々の多くが、その「身近に
感じる」人たちに「再び」迷惑をかけてはならない、という
思いから、玄海原発に反対する気持ちを持って欲しいと思っています。