通信021 クラス統合の難しさ

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 【週刊ハンガンネット通信】《第21号》(2011年10月31日発行)
「クラスの統合の難しさ」

長崎韓国語教室 代表  池上和芳 (いけのうえ かずよし)

教室を運営するにあたって、難しい課題の1つが「クラスの統合」です。
たとえばあるクラスの生徒さんが5、6人いたとします。半年、1年、2年と時が流れ、生徒さんが1人辞め、2人辞め…となって、生徒さんが2、3人になった場合、私はそのクラスの「統合」を考え始めます。
もちろん、そのクラスのレベルに合った生徒さんを新たに募集して、クラスの人数を増やす努力も、ある程度まではするのですが、思うように増えないことが多いです。
そこで、他の時間、あるいは他の曜日で、同じように生徒が減ってしまったクラスと、そのクラスとを「統合」しようと考えるのです。
「統合」しようという気持ちは、教育者としての自分から出るものではなく、経営者としての自分から出るものです。2、3人のクラスは、5、6人のクラスに比べて、教育効果が高いことは否めませんので。
ですから、教育者としての自分は、クラスを「統合」しようという気持ちに、多少の後ろめたさを感じることになります。
しかし、クラスをある程度「統合」しながら、その分の空いた時間で、新たなクラスを作って生徒を募集していかねば、教室の財政上、問題が生じてきますし、また、クラスを「統合」しないで、どんどん増やしていったら、自分の体がもたなくなります。
授業料を、1クラス2、3人でも、じゅうぶん採算が取れる価格に設定すれば、「統合」の必要は生じないのかもしれませんが、そういう価格に設定した場合、どうしても料金が高くなって、生徒が集まりにくくなるという問題が生じます。
また、あるクラスの生徒数が減ったからといって、そのクラスに残ってくださっている生徒さんの授業料を上げるわけにもいきません。生徒数の減少は100%、教室側の責任であって、生徒さんには何の責任もないからです。
生徒さんが入学なさる際には、「クラスの人数が減った場合は、クラスの「統合」(時間・曜日の変更)に協力をお願いさせていただく場合がございます」と文書と口頭でお伝えして、了解を得るようにしていますが、こればかりは、事前に伝えたからといって、教室側の都合で自由に「統合」していい、という問題ではないと感じています。
「その曜日、その時間だから通える」ということで入学して来られた方も少なくないので、通っていただく曜日・時間を変更するというのは容易ではありません。
「統合」しようと思う2つのクラスの時間帯が比較的近い場合、例えば同じ曜日の、6時台と8時台である場合などは、比較的、「統合」に協力が得られやすいのですが、一方で、レベルの問題が存在します。
いくら時間帯が近くても、1年学んだ人たちのクラスと、5年学んだ人たちのクラスを「統合」することはできません。
そういう場合は、他の曜日の、近いレベルのクラスとの「統合」を模索することになります。
さらに、3年学んだ人と、5年学んだ人のクラスを「統合」する場合、教える側としては、教材や教え方を少し工夫すれば、授業の進行はそれほど難しくなく、また、5年学んだ人たちからは「統合」への理解が得られやすいのですが、3年学んだ人たちの方から「先輩たちと一緒のクラスになるのはちょっと…」「足を引っ張るし…」という意見が出やすくなります。
そういう時は、「統合」後の教材の難易度や授業の進行の案について丁寧にご説明し、理解を得ていくことになります。
生徒さんに「統合」を相談し、それを進める過程で、教室を辞めてしまう生徒さんもいらっしゃいます。「統合」は、リスクを少なからず伴うものであり、極めて慎重に、誠意を持って、取り組まねばならないものだと感じています。
教室を立ち上げる前、西日本のある韓国語学校の経営者をお訪ねして、教室の運営についてのアドバイスをいただいたのですが、その時にその経営者がおっしゃった「(生徒さんを1つのクラスに)寄せる工夫が必要ですよ」という言葉が、私は常に頭の中にありますし、教室を実際に運営する中で、「まさにその通りだ」と感じています。
生徒さんが2、3人のクラスは、生徒さんにとっても、また講師にとっても、お互いの距離が近くて、雰囲気としては、とても心地よいものです。しかし、教室を維持していくためには、心地よい雰囲気にいつまでも安住することはできず、クラスを適宜「統合」し、より多くの生徒さんを得て、収益を上げていかねばなりません。
いろいろな要素がからみ、様々な葛藤がある「クラスの統合」ですが、より良い方法を模索しながら、これからもがんばっていこうと思います。