【週刊ハンガンネット通信】《第32号》(2012年2月13日発行)
「韓国語講師としての自分の役割」
長崎韓国語教室 代表
池上和芳 (いけのうえ かずよし)
うちの教室には、韓国ドラマをこよなく愛する生徒さんが多いです
ので、ドラマの映像を使った授業をすると、生徒さんたちも喜ぶだ
ろうな…と思いますが、うちの教室では今のところ、ドラマの映像を
使った授業をしていません。
このことについては、生徒さんに申し訳ないという気持ちを常に
持ってはいるのですが、ドラマの中の韓国人どうしの会話は、聞き
取りが、やはり「難しい」ですので、教材としては使いにくいという
考えを私は持っています。
そのため、韓国語の学習者が聞いていることを前提として、ネイ
ティブが発音している韓国語、言い換えれば、韓国語教材の音声を、
まずは、しっかり聞き取れるようになって欲しいと私は思っています。
「この教材の音声CDは、隅から隅まで聞いて全部わかる」という
CDが、1枚、2枚、3枚…と増え、そのCDのレベルも、初級、中級、
上級と上がっていければいいと思います。
韓国語講師としての自分の役割は、生徒さんお1人お1人に、
「韓国語の基礎を身に付けていただくこと」だと常々思っています。
基礎がしっかりしていれば、ドラマ・音楽の鑑賞や読書、あるいは
韓国旅行、韓国人との交流など、自分の興味の赴く分野で、辞書を
片手に、それなりに十分楽しむことができると思うからです。
「基礎を身に付けていただく」ということも、講師として決して容易な
ことではありません。どういう教材を使って、どういう授業をしていけ
ば、より楽しく、効率よく、韓国語を身に付けていただけるか、毎日
が苦心の連続です。
放射能に汚染された国土に生きる親として、3歳の息子の内部被曝を
いかに減らすか、そのことの勉強に費やさねばならない時間も増え、
震災前に比べて、自分の生活は明らかに忙しくなりました。そういう
国になってしまった深い悲しみを抱えながらも、笑顔を忘れず、
自分の授業を、より魅力あるものにしていきたいと思っています。