【週刊ハンガンネット通信】《第87号》(2013年7月29日発行)
今日の翻訳作業等で感じたこと
林鳩順
ハンガンネットメンバーのみなさん、暑い毎日が続いていますね。
いかがお過ごしですか?
今日はメールマガジンの当番ですが、さきほど帰宅したところです。
そこで、今日感じたことを書いてみることにしました。
韓国語の講師をしながら、今でも時々ですがいろんな翻訳を請け負っています。
ハンガンネットの世話人、会員のみなさんの中にはご自分で会社を経営されている方もいらっしゃいますね。
私は通訳・翻訳会社、数社に登録していて、依頼があって、条件が合えば引き受けています。
最近はクライアントが通訳会社に見積もりをとり、入札で一番安いところが仕事をとるようになっているようで、
通訳・翻訳料は物価の上昇とは反比例しているのが現状です。
通訳免許を取得後、すでに20年近くになりますが、思い出すといろんな失敗やミスをしてきたものです。
でも、それらを糧に辞めないでがんばったおかげで、今ではかなりのキャリアを積むことができました。
韓国の有名なドラマ主題歌、挿入歌を歌っている歌手の歌詞を翻訳し、今日は録音作業にも立ち会ってきました。
そこで感じたことを少しお話ししたいと思います。
受講生の中には当然、k-popが好きで、歌も歌える方がたくさんいらっしゃいますね。
そこでよく耳にするのは、コンサートへ行っても、CD買っても、
日本語だとなぜかしっくりこない、やはり韓国語で歌っている方がかっこいい〜という声。
でも、これは誰よりも歌手本人が一番感じているんだということ、実感しました。
歌詞の内容をただ翻訳するのは容易いですが、
メロディーに合わせて歌うので歌詞の字数を合わせる、歌詞の意味を損なわずに日本語らしい歌詞にする。
そして苦手な発音はなるべくカットし、やさしい発音の言葉を選ぶ。
一番大変なのは日本語にない文字の発音、つ、ず、ざ など。
特に初音にくるこれらの単語は大変で、今日も結局は歌詞を書き換えたほどです。
韓国語だとすごい声量があるのに、
日本語では普段の発声どおりには上手く歌えない、ちゃんと歌詞が伝わるか〜と心配していました。
気づかなかったことですが確かに一理あるようで、今日はこんな気付きがあり得した気分になりました。
翻訳作業は楽しいけれど苦しくて、本当に何度も苦しみながら完成します。
内容の幅は計り知れず、わずか100字程度から膨大な資料まで、
メモ書きから刑務所内の注意事項、極秘文書・・・そしてCDになる歌詞まで、
自分を見つめ直させ、自分の実力の実態をこれでもかと思い知らされる翻訳作業は、
いくら単価が低くても、無償であっても、
自分の勉強だと思って、快く引き受けるように心がけようと思いながら帰ってきました。
本文はここまでです。
仙台の研修に向けて、ハンガンネットでは最終の準備にとりかかっています。
参加できなくて、協力もできないのを申し訳なく思います。
どうか参加者のみなさんと講師の先生方が有意義な研修期間を過ごされますように、
このメールからエールを送りたいと思います。