【週刊ハンガンネット通信】第114号 (2014年7月14日発行)
前、先、後

伊藤耕一

 

皆さんこんにちは。今回は、私が学生時代に少し悩んだことについて、思い出しながら書いてみました。

時間と空間の前後関係や位置関係を表現する時に、日本語では「前、先、後」という単語を使います。日本語だけを話していた頃は何ら疑問に思いませんでしたが、英語や韓国語を話すようになると、日本語のこの単語たちを少し考えてから、時には悩みながら使うようになりました。

日常会話では、こんな風に使いますね。
①前の日曜日、映画を見ました。
②先に行ってますね。
③後で電話しますね。
④駅前の百貨店の入り口で待ち合わせましょう。
⑤地下鉄の入り口は、この先にありますよ。
⑥あの人の後ろで待ってください。

この時の前後関係を見ると、こんな感じになるでしょうか。
①前⇒後方(時間)
②先⇒後方(時間)
③後⇒前方(時間)
④前⇒前方(空間)
⑤先⇒前方(空間)
⑥後⇒後方(空間)

「前」と「先」は、時間で使うと「後方(過去)」を、空間で使うと「前方」を意味し、「後」は、時間で使うと「前方(未来)」を、空間で使うと「後方」を意味するようです。普通「前」と言えば「前方」を、「先」と言えば「前方」を指すような気がしますが、時間で使うと逆になってしまうんですね。

韓国語では、次のようになるでしょうか。
①지난 일요일에 영화를 봤어요.
②먼저 갈게요.
③나중에 전화할게요.
④역 앞에 있는 백화점 입구에서 만납시다.
⑤지하철 역 입구는 이 앞에 있어요.
⑥저 사람 뒤에서 기다리세요.

韓国語では、時間と空間では異なる単語を使うので、日本語のような分かりにくさはありません。ただ、「この前の日曜日、駅前の百貨店に行きました。」とか「この先にある映画館に、先に行ってますね。」みたいな日本語を韓国語に訳した時に、不思議な感覚にとらわれた覚えがあるのです。

日本語の「前」や「先」に惑わされて、韓国語を書いた時に「これで正しいのだろうか?」みたいに考え込んだことがあります。その当時は「전의 일요일」とか「역전 백화점」とか、そういうレベルの韓国語を書いていた頃ではありますが。

それにしても、日本人の先輩方は、どうして「前、先、後」という言葉を時間にも空間にも使うようにしたのでしょうか?