通信133 ナッツリターン 땅콩 리턴 nuts for good service

【週刊ハンガンネット通信】第133号 (2014年12月29日発行)
「ナッツリターン」
伊藤耕一

ナッツリターン
今月の最も興味深いニュースの一つかと思います。
事の真相と今後の展開はさておき、この事件を捉えた時の日本語と韓国語と英語のそれぞれの報道内容が微妙に異なることに興味を持ちました。
今回はこの事件について書いてみたいと思います。

まずは事件のタイトル
①日本語:ナッツリターン
②韓国語:땅콩 리턴
③英語:She’s nuts for good service!

事件の脇役は「マカダミアナッツ」なのですが、日本語では「ナッツ」と表現、韓国語は「땅콩」という単語を使い、英語は「nuts」という形容詞表現を使っています。
タイトルだけ見ても、三者三様であることが興味深いです。

次に記事を読んで、ごく簡単にまとめてみました。

①日本語 cc
・「ナッツ」という広義の単語を使っている。
・ナッツの種類は分からないが、ナッツが原因で飛行機が戻された事件がイメージできる。
・事実だけが書いてあって、「こういうことがあったんです。」ということしか伝わってこない。
(産経の記事を選んだことに他意はありません。)

②韓国語 http://economy.hankooki.com/lpage/industry/201412/e2014121014284647430.htm
・豆は「マカダミアナッツ」だったのに「땅콩:ピーナッツ」という単語を使っている。(写真には “macadamia” という文字が映っているのに。)
・ピーナッツが原因で飛行機が戻された事件がイメージできる。
・すでに副社長が悪者であるかのように書かれている。

③英語 http://www.dailymail.co.uk/news/article-2866329/Nut-rage-Daughter- Korean-Air-s-chief-executive-threw-tantrum-JKF-demanded-plane-return-gate-served-nuts-bag-not-dish.html
・「nuts」という形容詞(意味は “crazy” )を使って、豆の「nuts」とかけている。
・良いサービスのためにバカなことを言ったという表現になっている。
・「マカダミアナッツ」と明記されている。
・副社長と客室乗務員が労使関係であることが書かれ、法に違反する可能性に言及している。

日本語は事実だけを淡々と述べている感じを受けます。
韓国語は、事実は書いてあるものの、その後は直接この事件と関係のない前会長のことを引き合いに出したり、前例のように有罪になるであろうことまで書いてあったり、行間には恨み節のようなニュアンスも感じます。
英語は、英国の会社ということもあるのか、ユーモアを交えた文章で報道しつつ、法に違反する可能性に言及し、降ろされた客室乗務員と副社長を「雇用関係」の言葉で表現しています。

同じ事件のことを書いているのに、視点が異なり、記事から受ける印象がすごく違うことが、とても興味深いと思いました。
日本人としては日本的な報道に慣れているので、産経の記事でも満足できますが、「きっと英国人は記事にユーモアがないと満足できないのだろうな」と思ったり、「きっと韓国人は恨み節を入れないと不満なのだろうな」と想像したりしていますが、いかがでしょうか?

ひとつ不思議なのは韓国語で「マカダミアナッツ」のことをなぜ「땅콩」と表現したのかです。
「대한항공」の「항공」と「땅콩」を音韻調和的に並べて表現しているという解説もありました。(ダジャレとも言う?)
皆様の中でご存知の方はいらっしゃるでしょうか?
理由が分かったら、生徒さん達に教えてあげたいと思います。

今年最後の通信を書く当番となりましたが、来年は新たな執筆者をお迎えしつつ、ハンガンネット通信を発行して参りたいと思います。

皆様、良いお年をお迎えください。