【週刊ハンガンネット通信】第147号 (2015年5月4日発行)

安心できる学びの空間

松崎真日

 

アンニョンハセヨ?新年度が始まり1ヶ月ほどが過ぎました。先生方の教室の雰囲気はいかがでしょうか?

学習は、教師や教室環境はもちろんですが、学習者要因によっても習得は左右されるといいます。学習者要因のうち、情意的な要因というものがあります。学習への不安感や、緊張、苦手意識、動機付け等が該当するのですが、外国語習得というのは、こういった情意的な要因の影響を受けます。

情意的な要因は教師もまた抱えています。初めてのクラスに向かうときはどんな学生がいるか不安ですし、おおいに緊張します。苦手意識のある授業もあります。情意的な要因は授業をする教師にも影響を与えるのだと感じています。

さて新年度、新しいクラスに入ると、学生が緊張しているのがわかります。初めてのクラスでは知らない人が多いですし、周囲の学生同士で挨拶がかわされているのを見たりすると、孤独感を感じたりもするようです。

ここで教師が厳しいことをいうと、緊張具合はますます高まります(なぜか、緊張すると、教師もつい配慮がかけた言動をしがちだと思います)。初回の教室は緊張感の漂う空間であるしかないのかもしれません。

ただ、こんなガチガチの雰囲気の授業が続いては、学生にとっても教師にとっても本来楽しいはずの時間が苦行となってしまいます。クラスの雰囲気をリラックスさせ、学習に最適な空間にするための技法は、先生方それぞれに特別な方法をお持ちだと思います(たいへん興味があります)。

アイスブレイクの方法を使用して、打ち解けた雰囲気をつくられる先生もいらっしゃることと思います。私はどちらかといえば、時間をかけて雰囲気や空間を作っていくほうなのかなと思います。手法も特別なものではなく、協同学習の方式で行っています。学生同士で成果物をともに作り上げる、また成果物をクラス全員で共有するといったことを授業の主たる活動とすることがよくあります。

協同学習を行うと、学生同士の助け合いが大事になるため、仲間意識が高まるようで、クラスの雰囲気は見る見るうちによくなっていきます。ところで、韓国語の授業とはちょっと違うのですが、今年度からは演習タイプ授業の進行も学生に任せることにしました。

メンバーは私を含め総勢20名で、決して少なくないので、うまく進行できるか不安もありました。雰囲気を作り、議論を展開させ、着地点を見つけることは簡単では無いだろうと思われました。しかし、それは杞憂でした。1回目はやはりシーンとなる瞬間が何度かありましたが、2回目には一度か二度、3回目には与えられた60分の議論の時間をオーバーしそうになるほど意見を出し合っていました。

その様子を見ていて、参加者がとても協力的であること、そして回を重ねるごとに準備を整えてきていることに気づきました。仲間が発表と司会を行うのだから、円滑に進められるよう協力しなくては、あるいは、意見を求められるのだから、課題図書にはしっかりと目を通してこようという意識がたかまったようです。協同学習が進むと、学習者の情意フィルターはどんどん低くなっていくように感じます。不安感も少なく、リラックスしており、内発的動機づけも強まっていきます。仲間がいる空間になるので,学習者に漂っていた孤独感も消えていくように感じます。

協同学習の教室、仲間と力を合わせて学ぶ空間は、外国語習得においても学びを促進するようです。