通信165 9/26ハンセミ福山の報告

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【週刊ハンガンネット通信】第165号 (2015年10月5日発行)

9/26ハンセミ福山の報告

吉川寿子  よしかわ語学院(大阪)

10月もスタートし、秋も深まってまいりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

発行が遅くなってしまいましたが、福山で初めて開催されましたハンセミについてご報告申し上げます。

「初級者の効果的なアウトプットを考える」をテーマに掲げて講師4名で実施いたしました。

参加者は現役講師3名、学習者14名の構成でした。内容がアウトプットであることから、参加者の学習レベルを考慮して、こちらで事前にグループ分けをして、グループごとに着席してもらいました。

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最初は、阪堂千津子先生のワークショップです。テーマは「リスニング」です。

学習者が参加しやすい活動を取り込むことで、アウトプットを促して、学習内容の定着化を図ります。

3種類のワークを通して、グループや全体で韓国語でコミュニケーションを取りながら進めました。

  1. グループ内での自己紹介ワーク(ホワイトボードで必要文型の提示)
  2. 全体での、じゃんけんをして勝ったら質問ワーク(質問内容の記載されたシートを使用)
  3. 三分割されたストーリーを、グループごとに担当者が聴き取って、グループ内で再構成するワーク

アウトプットを効果的に引き出すためには、講師や参加者どうしに信頼関係がないと時間内に思うような活動ができません。

セミナーの最初に楽しいワークを紹介してもらうことで、初対面の緊張感も薄れて、その後に続くいい流れができました。

阪堂先生のワークでは、グループ内での協働効果、スピーキングとリスニングを自然にリンクさせることを狙いとされていたようです。

最後にリスニングのコツとして、トップダウンやボトムアップのテクニックについての紹介がありました。

短時間だけでも集中して聴くことや、周辺情報からの推測や想像、情報の取捨選択の大切さについてのお話がありました。

楽しいだけでなく、リスニング指導について深く考えさせられる内容の授業でした。

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2番目は、鄭寿香先生の「発音指導」の授業です。

鄭先生はリビングカルチャー福山で講師をされていて、サイバー韓国外国語大学で韓国語指導について熱心に勉強を続けられています。

鄭先生は日本語と韓国語の発音の比較をしながら、指導方法を探ります。

「韓国語の音は、日本語と発音が違いすぎるのか?」
「意識していないだけで共通音があるのではないか?」

このような着目点から、短母音とパッチムとして使用される子音について成り立ちも含めて説明して行きます。

その後は、お向かいの席の方と、ペアワークでお互いの発音を確認しながら練習をしていきます。

参加者の皆さんがとても大きな声で、しっかりと発音練習に取り組まれていたのが印象的でした。

楽しく盛り上げながら、舌の動きやイントネーションにも言及されました。

文章を母音だけで読む練習、日本語の中に隠れたパッチムの音を意識しながらの練習が興味深く、私も今後取り入れていこうと感じました。

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鄭先生の発音指導の後に、スカイプの中継で、横浜より金順玉先生にもご登場いただきました。

中継で映し出された、エレガントな金順玉先生に、会場はとても盛り上がりました!

己パッチムの発音のコツについて鄭先生が質問すると、丁寧にわかりやすくご指導いただきました。

もちろん、アドバイスだけでなく、実際に己パッチムの入った単語を会場の参加者全員で発音練習もしました。

生中継でしたので、通信が途中で切れたりすることも何度かありましたが、横浜と福山を結んでの発音練習は貴重な機会でした。

せっかくの機会ですので、現在放送中の教育テレビの撮影裏話なども聞かせてもらいました。会場アンケートによりますと、このスカイプ中継は参加された皆さんの印象に残る時間となったようです。

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そして、最後に私の「初級者向け作文講座」でした。

アウトプットの中でも一番ハードルが高い分野になります。私自身は学生時代から文章を書くことが好きで、教室で3年ほど前からTOPIK 作文の対策もしております。

試験の改訂で指導方法も難しくなり、試行錯誤が続きますが、作文は学習者の伸びが見えやすく、やりがいのある分野でもあります。

今回のハンセミでテーマを作文に決めてから、多くの先生方にご意見をいただきました。

それで、今回は作文を広く、文字コミュニケーションであるという視点から「何を」「どのように」書けば伝わりやすいのか、という話を主軸にお話しました。

内容は、初級者も書きやすいテーマ(好きな芸能人や旅行についてなど)で、150-300字で実際に時間内に書いてもらうという内容です(改編前のTOPIK初中級の問題です)。

まずは日本語で「何を」書くか整理して、構成や接続詞など、論理的な矛盾がないように留意しました。

TOPIKⅡの意見文を書く前の段階です。楽しみながらこの段階を経ていくことの重要性を強く感じます。

作文は抵抗感をお持ちの方が多いだろうと覚悟していましたが、時間内に楽しそうに取り組んでくださる方も多くて、よかったです。

時間内に書き終える方もいらっしゃいましたので、その場で添削させてもらいました。

また、うちの教室では添削した作文を音読して録音したり、自分の間違いを自分で説明できるようにという活動もしているので紹介させてもらいました。

参加された先生方より、その活動に対する質問も頂きましたので、今後も研究していきたいです。

盛りだくさんの講義のあとは、懇親会で韓国語学習や指導について、お茶を飲みながら、参加者どうしで話し合う時間を持ちました。

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今回のハンセミは会員の先生のご意見をもとに開催されました。「ハンガンネットのイベントはいつも東京や大阪ばかり。通信が届くばかりで、地方在住の会員は離れていく方が増えている」

初めての地域での開催ということで、たくさんの課題が残りましたが、地元の鄭先生のご尽力で開催できました。ありがとうございます。

参加してくださった方々からは「楽しかった。また来たい」とのお声を多数いただきました。特に遠方(三重県、鳥取県、大阪府)よりご参加いただき、たくさんご意見をくださった先生方に感謝しております。

これからもハンガンネットへの要望やご意見を具体的な改善案とともにお寄せいただければ幸いです。