【週刊ハンガンネット通信】第168号 (2015年10月26日発行)
絵本 한이네 동네 이야기
松﨑 真日
最近は韓国に行く度に絵本を選んで買ってきています。
日本でも多くの韓国語絵本が翻訳されていますが,韓国の書店に行くと,次々出版される新しい絵本があり,選ぶ楽しみがあります。
日本で育っている2歳の息子が,絵本を通じて,韓国の文化や韓国の人びとに親しんでくれればという気持ちです。
さて今日は,昨年購入した絵本から1冊紹介したいと思います。
今日ご紹介するのは,『한이네 동네 이야기』です。著者は강전희さんで,2012年の本です。出版社は진선출판사で,친선아이シリーズの本です。
絵本の舞台は,2000年のソウル,漢江沿いの동네です。
川向うには江南の高層ビルが見えるので,江北のどこかのようです。
主人公の男の子한이が子犬と一緒に散歩に出かけるのですが,子犬はどこかへ行ってしまいます。한이は子犬を探して동네を歩きまわります。
この絵本は,そんな한이を描きつつ,동네の生き生きとした様子が詳しく描きこまれた絵本と言えましょう。
동네には高いビルはほとんどありません。一番多いのはレンガ造りの家です。そして市場や学校,教会があります。
태권도장からは「-얍!」という声が聞こえ,住宅の屋上に植えられた(刺された?)ネギを見てアジュモニは「대파가 벌써 이만큼 자랐네!」と嬉しそうです。もちろん黄色の水タンクもあります 。
古い韓屋の屋根にはシートが掛けられ,重しとして石も載せられています。
道路に目を向けるとジャージャー麺でも配達中なのでしょうか,バイクの後ろに鉄かばんの中華料理屋さんが見えます。あっ,과속방지턱も見えます。気をつけてくださいね。
市場ではカラフルなパラソルの下で色んな物が売られています。衣料品店の看板はしっかり「try」「BYC」です。
そうそう,道端に置かれている情報誌もしっかり描かれていまして,「가로수」「벼룩시장」が見えます。
こういった情報誌もなかなか興味深いので,今度韓国に行った際はこれも持って帰ってこようと思っています。
この絵本はこどもと韓国の様子を楽しめる本でもありますが,大人の学習者と韓国の暮らしをあれこれ話すのにも良い本だと思います。
ちなみに,同じ著者の『한이네 동네 시장 이야기』は『ハンヒの市場めぐり』として,光村教育図書から翻訳版がでているようです。
ちょっと懐かしい,でも現在とあまり変わりない韓国が楽しめる絵本のご紹介でした。