通信169 私の韓国語講師奮闘記 6: 厄介な生徒

【週刊ハンガンネット通信】第169号 (2015年11月2日発行)

私の韓国語講師奮闘記 6: 厄介な生徒
宮本千恵美

私が大好きな冬に近づいてきております。
でも何だか急に寒くなったような、秋を感じることもなくすぐに冬到来といった印象です。

先月、 石川の片山津ゴルフ倶楽部、で国内女子メジャー・日本女子オープンゴルフが開催されました。

最近、韓国の選手たちがたくさん活躍しているようで、ボランティア通訳などをした際にも、ゴルフの話で持ちきりです。

厄介な生徒=私の父のことなのですが、父はゴルフ大好き、イボミ選手大好き、ちなみに韓国ドラマ大好きな人であります。

でも韓国語を勉強する気はさらさらなく、知っている韓国語と言えば “안녕하세요”, “엄마”, “폐하”, ”예“くらいでしょうか。

そして何かあるとすぐに「韓国語でなんて言うの?」とやたら聞いてくるので、非常に厄介です。

教えても、口が回らないとか、へぇ~とか、聞くだけ聞いておいて、興味があるのかないのか・・・?

そしてイボミ選手が来ると分かるや否や、「逆転優勝して下さいって韓国語でなんていえば良い?」と聞いてくる始末。

渋々教えると、やはり口が回らないと言います・・・なので、少し簡単に「우승하세요・優勝して下さい」はどうかと提案。

言えないとぶつくさ文句を言いながら、でもイボミ選手に一言でも韓国語を言いたいのか、練習していました。

でもどうしてもパッチムが言えていないのです。でも父は韓国語を勉強していないのでパッチムがなんなのかも分からないし、自分の発音の何が悪いのかも分かりません。

私が耳を澄まして聞いていると、미음, 니은パッチムに聞こえてきます。이응パッチムって思う以上に難しい発音の1つだと思います。

そして尚且つこの3つのパッチムは鼻音だと言うのですが、実は当の私も鼻音と言われてもぴんと来ない一人でありました。

日本語教師の勉強を少しかじったことがあるのですが、「ん」の発音が日本語には10個あり、その中に韓国語のこの3つのパッチムと同じような発音が存在することが分かりました。

韓国人や外国人々が日本語を勉強するときにこの「ん」の発音に苦労するらしいです。

そう考えると韓国語の「ん」と思われる発音は3つで、日本語の単語を使えばもっと分かりやすく教えることが出来ることも分かりました。

そして鼻音―これも面白いことが書かれていました。鼻から出ている音です、漏れている音です、と言われてもぴんときません。

미음パッチムは口を閉じているので、鼻から音が出ていると言えば何となくニュアンスが伝わりはしますが・・・

それでも何だかしっくり来ない。教えている側がしっくり来ないなら、生徒もしっくりしてないはず。
ならば、鼻歌を歌ってみてください。口が閉じていても音が出ているでしょう?
もしそれでもしっくり来ないときは、鼻歌を歌いながら鼻をつまんでみてください。音が出なくなります。つまり鼻をつまんでないときに出ていた音が鼻音です。

私自身が目から鱗でした。

自分が実感・体感して始めて納得でき、自信を持って教えることが出来るのだとしみじみ感じました。

さて問題の父ですが、私が先生のような雰囲気をかもし出し、

「お父さん、우승の最後の音は鼻音だから、最後に鼻をつまんでみて」と母音なども少し簡単に説明を加え発音させ、鼻をつまんでと言ったところ、

「우스~~~~~」
・・・音、出たまま!!

その父の姿を見て思ったのですが、やはり予備知識などは語学を学習する上で必要です。
違う国の言語を言おうと思っても、知識や基本なしでは急には言えないと思うのです。

この鼻音の体感を高校で行ってみました。
すごく単純なことなのかもしれませんが、生徒たちが鼻をつまんで音が出なくなったことを声を上げて驚いてる姿を見て、やはり実感・体感は大切だと感じました。

教えている生徒達からも擬似生徒(父)からも教わりながら、また私も楽しく実感しながら、楽しく分かりやすい教授法を日々模索しております^^

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