通信207 広島に勝って欲しい!

投稿日:
【週刊ハンガンネット通信】第207号 (2016年10月31日発行)
「広島に勝って欲しい!」        伊藤 耕一

日本では日本シリーズが終わり、北海道日本ハムファイターズが優勝しました。
韓国では2戦が終わって、두산が2連勝ということです。

今回の日本シリーズ開幕前に、広島ファンがテレビのインタビューでこんなことを話していました。
「広島に勝って欲しい!」

当然ながら「広島が北海道に勝って欲しい。」という意味です。

これを聞いた時に、リオオリンピックの女子バレーボール最終予選の日本対イタリア戦でアナウンサーがテレビで絶叫していた言葉を思い出しました。
「この試合、何としてもイタリアに勝って欲しい!」

私はこの言葉を聞いたとき、「えっ!」と耳を疑いました。
日本人なのに、どうしてそんなことを言うのだろう?

しかし、よくよく考えてみたら「(日本が)イタリアに勝って欲しい」という意味で、主語を抜いているのだなということが分かりました。
私は耳を疑いましたが、多くの視聴者はその言葉をすんなりと受け入れていたのかも知れません。

翻って「広島に勝って欲しい!」はファイターズファンが話したとしたら「北海道が広島に勝って欲しい。」という意味になるのではないかと思いながら、テレビのインタビューを聞いておりました。

日本語とは何と便利でつかみどころのない言葉なのだろうかと改めて思いました。
韓国語で考えてみたら、「広島가 이기면 좋겠어요.」というような表現になるでしょうか。「このシリーズは何としても広島に勝って欲しいですね。」(北海道の人)
「ですよね。絶対に広島に勝って欲しいです。」(広島の人)お互いが相手の出身地を知らずにこんな会話をしたとしたら、正反対のことを言っているにもかかわらず意気投合できそうで、少し怖い気持ちになりました。話は変わりますが、最近、気になっている表現で「トイレで目が覚める。」というものがあります。
これは「尿意を感じて目が覚める。」という意味ですが、人によっては「トイレで眠り込んでしまい、そのうちに目が覚めた。」とイメージする人が、もしかしたらいるのではないかと。

「夜中に何度もトイレで目が覚める。そんなお悩み、お持ちではありませんか?」と語りかけてくるCMがありますが、おそらくほとんどの人は「尿意を感じて目が覚める。」と理解しているはずですね。
不要な懸念であることを祈ります。
この日本語の格助詞の使い方は、韓国語を教える時にも、特に韓国語で作文を作る時など、意識した方が良いのかなと思いました。