【週刊ハンガンネット通信】第209号 (2016年11月14日発行)
「はっきり伝える」 幡野 泉
第207号の通信で伊藤先生の、「広島に勝ってほしい」という日本語は、
場合によって「広島が勝ってほしい」とも、「広島が負けてほしい」とも、
どちらにも解釈できるのでは、というお話、興味深く読みました。
言葉を扱う仕事をしているせいか、「相手に分かりやすく話す」という
ことに関しては常日頃意識しています。
それに関し、これまでこんなコラムを書いたことがあります。
○「‘察してもらおう’とする日本人の日本語を、
どう通訳・翻訳するべきか」
http://www.hicareer.jp/chinese/korean/9.html
○「にんじんも取ってもらいなさい」
http://www.ikbridge.co.jp/mail/m563.htm
以上は是非お時間のあるときにお読みいただければと思いますが、
以前、子供の小学校の懇談会で担任の先生が話していたことで
印象的なことがあったのでご紹介します。
「お母さん、のどかわいた」
「お父さん、はい、テスト」
例えばこれに、
「お母さん、のどがかわいたからお水が飲みたい。ちょうだい」
「お父さん、今日テストがあったよ。見て」
もしくは、
「お父さん、このテストを引き出しにしまってくれない?」
という心理が背景にあるとして、それをきちんと言葉にしないと
いけない、言葉にする習慣を付けさせないといけないと思っています、
と、先生がおっしゃいました。
確かにそうだな、と。
親だったら簡単な一言でも子供が何を言いたいのか汲めるので
つい行動に出てしまいますが、私は子供にはいろんな外国語を
話し、いろんな外国の人と直接コミュニケーションをとってほしいと
思っているので、伝えたいことはきちんと言う、ということを教育しないと、
と思っています。
ただ、日本には「あうんの呼吸で通じる仲」というような間柄を重宝する
風潮があると思います。ハッキリ言われなくても、その裏を読む、
もしくは先を読んで行動するのが美徳、とも。
いま当校で責任者として働いていますが、周囲のスタッフや講師が
私の意向を汲んで動いてくれたりするとやっぱり嬉しいですし、
有難いですし……。でも、それに甘えずに、きちんと、ハッキリと
伝えていく、ということを実践しないといけないなと思っています。