【週刊ハンガンネット通信】第212号 (2016年12月19日発行)
私の韓国語講師奮闘記11: スペインから・講師のあり方(1)
宮本千恵美
スペインに来て2ヶ月を超えました。
授業を受けていても、「上達しているのかしら?」と疑問する日々と葛藤が毎日押し寄せてきます。
久々にスペインの映画をスペイン語で観てみました。
いつもは吹き替えで、ながら鑑賞をしているのですが、せっかくスペインにいるのだからながらスペイン語映画鑑賞を。
まだ文章としては聞き取れないですが、確実に単語がバンバン耳に入ってくるようになりました。
来たばかりの頃は、単語さえ耳に入ってこなかったことを思えば、ずいぶん耳も慣れてきたようです。
自分が生徒になって思うのは、生徒たちもこんな風に自問自答しては韓国語を勉強しているのだと感じます。
そしてあれだけ毎日韓国語を勉強しろとか宿題をしろとか偉そうなことを言っていますが、いざ自分に置き換えるとなんて偉そうだったのかとつくづく思います。
私の場合、韓国留学でも今回のスペイン語留学でも、必要に迫られて語学をしています。
嫌でも毎日その言語を口にし、聞かなければいけません。生活の一部ですから。
そう思うと覚えが早いというわけではなく、
覚えなくてはいけない!
になるので上達も早いわけですが、日本にいて他言語を勉強するってやはり大変です。
必要に迫られないし、できなくても生活できますから・・・
ハンセミや研修会に参加すると、多くの先生方の熱意を感じます。
全ての生徒が留学できるわけじゃありませんし、日本にいても韓国語を勉強しようと思う生徒さんたちに一生懸命教えようと努力を惜しまないです。
韓国留学での慶熙大学の先生方も本当に熱心だったなぁ〜と思います。
韓国の大学はほとんどが私立と聞いておりますし、やはり競争も激しいと思います。
生徒獲得のためには一致団結!
そんな感じなのでしょうか?
生徒たちに対しても一生懸命で、食事や遊びは一緒に行くし、相談には乗ってくれるし、ある先生に関しては時期も冬だったので、
「넘 추우니까 감기에 조심해야 돼~감기에 걸렸으면 선생님에 연락해. 선생님이 약을 사 줄 게」
なんて優しいんだろうと・・・先生方が本当に母のように感じたものです。
ただ私よりも年下の先生もたくさんいたんですけどね(笑)
語学だけじゃなく、人の情緒とかそれらのものも韓国や韓国語に魅了される1つかもしれません。
なぜそんなことを今書いたかと言いますと、国が違えば講師の質も考え方も違うということです。
スペイン・・・
- お仕事しかしません。
- 生徒のために一生懸命考えません。
- 迷惑な生徒がいても無視です。
- レベル昇格の試験があっても、きっとみんな上に上がれます。(つまり意味がないということ)
- 授業中にできない生徒がいても、無視です。
- 生徒同士が英語で話し始めても知らんぷり、なぜ注意しなければいけないの?という感じです。(最近はスウェーデン人が多いので、スウェーデン語も飛び交っています)
- 生徒が分からないなら、英語で説明します。その方が早いから。
でもある一人の素晴らしい先生に出会いました。
どうしても私が授業についていけなくて、プライベートレッスンに変わった時期がありました。
その先生は、グループレッスンで担当の先生が急病の時に代理で1度だけ授業を受け持ってくれたのですが・・・
見事に全てスペイン語、どんなにわからないと言われてもスペイン語。
迷惑な生徒には「今から英語は話さないでください」とシャットダウン。
とにかく怖いイメージを与え、楽しい雰囲気のクラスは一気に静寂になり、生徒が英語を話す雰囲気を与えず、集中してスペイン語をする状況を作ったのです。
楽しい授業がイメージのスペイン語の講師にも、こんな先生がいるんだと思いました。
でもプライベートは全く怖くなく優しく丁寧に、そうです、韓国で感じたような安心感を感じました。
それでもその先生は絶対に英語は話さないし、私の相談に乗ってくれた時でさえ、私の英語をスペイン語に言い換えてくれたり、終始一点自分を崩すことがないです。
どんなに分からないと訴えても、粘り強くスペイン語で説明してくれます。
強いプロ意識、こう感じました。
私もそんな格好いい講師になりたいな・・・とスペインの空を見上げながら感じています。