通信220 私の韓国語講師奮闘記12: 発音について考えてみた

【週刊ハンガンネット通信】第220号  2017年2月20日発行

私の韓国語講師奮闘記12: 発音について考えてみた

宮本千恵美

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¡Hola(オラ)! ¿Cómo estás(コモ エスタス)?(こんにちは!お元気ですか?)

スペイン語は殆どローマ字読み、「H」は発音しない、「J」の子音のときはハ行で読む・・・

など若干の決まりを覚えれば、日本人には発音しやすい言語です。

私的に英語より単語がすらすら読めます。

先生によっては「L」と「R」の発音の違いを聞き取れるようにと言われますが、気にしないで大丈夫と言う先生が多い気がします。

またスペイン語の特徴である「RR」は巻き舌、これは本国スペインでもできない人もいるとか。

母国語であっても誰もが完璧に発音できないのです。

発音に対してあれこれ考え出したのは、ある先生との会話からでした。

1年前にその先生とお会いし、女子トークをしたり、韓国語教育に対する考えを交わしたりしました。

私には憧れの先生で、2人きりでお話できるなんて夢のようでした。

その先生の韓国語の発音に対する考え方に、私ははっとさせられたことを今でも思い出します。

私の中で今まで韓国語の発音と言うのは重要な位置を示し、今でもそうは思っていますが、

たまにその考え方が必ずしもすべての学習者に当てはまらないと思うときがあります。

先ほど述べたスペイン語でも、巻き舌ができないことで学習者を悩ませます。

私は小さい頃から巻き舌で音を出して遊んでいたせいでしょうか、簡単に出来てしまいますが、できないことに悩む学習者もいました。

またこんな話を聞いたことがあります。

私は元祖歌姫である美空ひばりが大好きで、カラオケでもよく歌わせて貰っています。

彼女の伝説で、楽譜が全く読めない代わりに一度聞くだけで歌を覚えてしまうとか、英語の歌も覚えてしまって、発音もかなり良かったらしいです。

多分英語が話せるわけじゃなく、ずば抜けて耳が良かったのです。

私の教えた生徒の中でも、多分ハングルは読めないけれど、一度聞くと発音を真似できるのか、とても綺麗に発音している高校生もいましたし、

また年配の生徒さんの中でも発音が素晴らしい生徒がいましたから、年齢と言うよりは持ってうまれた素質なのだと思います。

でも悲しいかな、すべての生徒が耳が良いわけでもないですし、若いから耳が良いとも限りません。

しかしそうならば、なぜここまで韓国語が発音を重視するのかと言う疑問が私の中で生まれます。

昨年、韓国・ソウルの漢陽大学の研修で、ある先生が話した内容が思い出されます。

「言語研究の文献で、世界の言語の中で韓国語は発音をとても重視していると記述があるくらい、発音にうるさい言語の1つです。」

聞いていて「やはり!」と思う反面、どうしてそこまでと感じてしまいます。

それはやはり憧れの先生との会話の中で、

「英語はいろいろな国で話され、国によっては教える教師の民族もさまざま。

英語の発音がきれいでなくても言語教師をしている人もたくさんいる。

韓国語だってそうあるべきではないのか?

発音にこだわらず、まず会話することじゃないのか?

発音ができないことで、諦めてしまう学習者がいることも確かだ。」

と言う意見を聞き、確かに・・・私も自分の生徒の中で発音が出来ないことで自信を失い、話そうとしない生徒をたくさん見てきました。

そう思うと、発音がそこまで重要かと思うのです。

しかし私も学習者の1人だった昔を思い出すと、発音にこだわってしまうには理由があるのです。

韓国留学中に出入国管理事務所で職員から

「何で韓国に留学しているのか?」と聞かれ

「K-POPが好きだからです。」と答えたのです。

するとその職員は
「개 밥이라고 들렸어요.」

そのときは恥ずかしさのあまり顔が熱くなり、また腹が立ちました。

同じように発音で嫌な思いをした経験をたくさん聞いているので、どうしても発音を重視してしまうのです。

これは悲しい現実ですが、多分どこの国でも同じようなことがあるし、同じ国でも地域によって発音やイントネーションを馬鹿にすることはよくあります。

「韓国語をいかに学ぶか」(野間秀樹・平凡社)と言う著書の中にはこのような一説がありました。

―一般に、当該の言語圏の多くの人々が、自分と異なる発音に寛大になるには、どうしても経験値の蓄積が必要―

もしかしたら、いつか韓国語も発音に寛容になるときが来るのではないか、そのためには韓国語教育の拡大と継続が必要なのだと・・・

と、久々に熱く1人で考えておりました。

発音に関する論争(私の中で)は終わりそうもありません。

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