通信238 アジア・ブックマーケット

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【週刊ハンガンネット通信】第238号 (2017年7月27日発行)

アジア・ブックマーケット

吉川寿子

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梅雨明けでいよいよ全国的に夏本番ですね。

高校や大学で教えていらっしゃる先生方も夏休みを迎えられたことと思います。

我が家では小学校6年生になる息子の通知簿を、どっちに似たんだろう??と夫婦で責任転嫁し合いながらの夏休みスタートとなっております。夏休みは家族で過ごす時間も増えますので、先日参加した家族で参加できる楽しいイベントのことを書こうと思います。

5月末、大阪の北加賀屋という場所で「アジア・ブックマーケット」というイベントが開催されました。このイベントは日本、韓国、台湾、香港の独立書店さん(例えば教保文庫などの大手書店ではなく、個人で運営しながら出版も行い、本に関する多様な文化イベントを行っている書店)が集まって、国ごとにブースを区切ることなくそれぞれの作品を展示販売するというイベントでした。

日本では東京神保町で出版社も兼ねて運営されている チェッコリさんをイメージしていただければわかりやすいと思います。

ブックフェアといえば、東京やソウルでも行われていますが、このようにアジアの国が集まって、しかも垣根なくパワフルに同居しているイベントというのは、例がなかったらしく、若いクリエイターの熱気あふれるイベントとなりました。

もちろん、ただ席を同じくするだけでなく、お互いのよさを尊重しながら連携することで、文化的に相互交流しつつ発展していく道を今後模索してこうという目標を掲げて、初回を終えました。

出版経験もない私ですが、ありがたいことにこのイベントで韓国語の通訳を探しているという依頼をチェッコリさんから頂きましたので、イベントの前夜祭も含めて3日間、韓国からのゲストスピーカーの方が出席する座談会の通訳として参加しました。

恥ずかしながら、私も今回の通訳のお仕事を通じて初めて知ったのですが、ソウルでは出版不況からこのような独立書店がとても増えていること、独立書店ごとにそれぞれカラーを出しながら共存していこうとしていること、日本の出版業界も似たような傾向が見られるので、ゆくゆく韓国型のモデルを辿ることになるのではないか、というお話が興味深かったです。

イベントでは、独立書店や出版物の話はもちろんですが、書店めぐりをメインにした個人旅行プラン等も楽しく紹介されていて、参加者にとても好評でした。個人的には絵本など、これ素敵だなと手に取った本の著者の方が売り場にいらしたので、直接お話できたり写真を一緒に撮ってもらえたのが楽しかったです。

ここ数年、渡韓する日本人観光客が減少していますが、ドラマのロケ地巡りだけでなく、書店を中心としたソウルツアー等も企画、提案する本なども出版されていますので、韓国語学習者にはまた新しい楽しみ方として提案してもいいのかもしれないと感じました。

ハンガンネットには、韓国語教育のパイを広げるという役割もあるので、それをどう実践していくか模索しているところではありますが、韓国語を学習しているからこそ楽しめる書店巡りツアーの提案や、訳してみたい本に出会えたり、作者さんと触れ合える機会を作るというのも、学習モチベーション向上に効果があるのではないかと思います。

加えて、日中韓3か国のブースをウロウロしていて個人的に感じたことは、韓国書籍の装丁のレベルの高さでした。装丁がよければ手に取ってもらえる確率が確実に上がりますし、そこに興味深い内容があれば、その内容を読みたくなります。

韓国語は日本語よりも接続や語尾表現が豊かなので、子ども向けの絵本といえども中級文法が必要になりますので、学習欲も上がるのではないでしょうか。韓国語の原書が身近にあれば、翻訳したい学習者も増える気がしますし、より深い交流や相互理解につながると感じます。

ちなみに、このイベントはブックマーケット以外にも家族で楽しめるお祭りのようになっていて、カレーの出店や似顔絵屋さん等もあり、最後までとても賑わっていました。今年は初回であり、私も要領を得なかったのですが、来年以降も大阪で開催されるようでしたら、もっと事前にお知らせしたいと思います。

では、暑さ厳しき折ではございますが、会員の先生方も楽しい夏をお過ごしくださいませ。