【週刊ハンガンネット通信】第278号 (2018年7月23日発行)
教室での楽しさを次につなげるために
ミレ韓国語学院 前田真彦
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僕が担当している授業で、最近特に楽しいのが、1「通訳メソッドできたえる中級韓国語」と2「話せない人のための初中級会話」です。
1は、4色ボールペンディクテーションで聞き取ったニュースを、音読練習、通訳練習した後、「伝える」活動をします。「伝える」活動とは、「今聞き取ったニュースを知らない友達に伝えてみよう」という活動です。これが実に楽しい。受講生の表情が生き生きとして、声も大きくなります。エアコンが効きすぎて肌寒かった教室が、汗ばむほど暑くなります。それだけ受講生のみなさんが活発に活動して、熱を発散しているのです。
2は、7月から始めたオンライン授業です。そのタイトルのように、「話せない人」ばかりが集まっています。自己紹介を繰り返し、そのたびごとに1分、1分30秒、2分と時間を延ばして、内容を濃くしていきます。自分を語り、よく使う表現に習熟してもらうのが目的です。上達が目に見えて、本当に楽しいです。
教師としては、楽しい活動をし、手応えも十分感じられるので、うれしくて仕方がないというところです。
しかし、です。1の「伝える」の活動のあと、宿題として、その内容を作文に整理して提出してもらいました。2の「自己紹介」をきちんと書いて提出してもらいました。
これが、ちょっと、想像とは違いました。基本的な間違いや、物足りなさが目につきます。教室活動が、とびっきり楽しくても、きちんと細部を見て個別にフォローをしないと、いろんな問題点がそのまま放置されてしまうということがよくわかりました。
活動の楽しさにだけ目を奪われるといけません。「伝える」も「会話」もすごく楽しいので、油断すると、それだけで満足してしまいかねないほどです。しかし本当に力が付くのは、ここから先なんですね。
楽しさを定着させるためにも、その場限りの活動で終わらせてはいけません。
今度、「伝える」活動の時に、受講生に頼んで、口元にマイクを置いて、録音させてもらおうと思います。それを文字起こしして、本当に、「伝える」活動がしっかりと行えているのか、どういう表現があいまいに発話されているのかを、きちんと分析してしばらくためていこうと思います。
「伝える」活動を、ミレの定番活動にしていくためには、受講生分析・活動分析が必要だと、つくづく感じています。
教室での楽しさを次につなげるために、教師がしなければいけないことは何かということを考えています。