【週刊ハンガンネット通信】第289号 (2018年12月10日発行)
通じなくなってしまう単語
伊藤耕一
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先日、私が高校生の頃によく聞いていたプリンセス・プリンセスのライブがテレビで放送されていて、子供と一緒に聞いていました。
歌詞を見なくても、ほとんど歌える曲ばかりだったのですが、その後、歌詞を子供に見せたら、思いもよらない質問を浴びることになりました。
「ブラウン管」って何?
「針がおりる瞬間」ってミシンのこと?
https://www.uta-net.com/song/2899/
「消せないアドレス、Mのページを指でなぞってるだけ」ってスマホにはページがないけど。
https://www.uta-net.com/song/880/
ブラウン管
今、大学生の長男が保育園に通っていた頃(12年ほど前)、ブラウン管のテレビが映らなくなって、液晶テレビに買い替えたのを思い出しました。
なので、子供たちの記憶にはブラウン管のテレビがおそらくないのだろうということに気が付きました。
「昔のテレビはブラウン管で観ていたんだ」とスマートフォンでブラウン管の写真を見せて説明しましたが、ちゃんと理解したかどうかはよく分かりません。
私の世代は「ブラウン管」と聞けば「テレビ」を連想できますが、今の大学生以下の世代はこの連想ができないのかなあと、改めて思いました。
針がおりる瞬間
レコードはもっと昔に遡らなければなりません。
私が高校生だった頃が、レコードからCDに移り変わった時期でした。
高校2年の時にアルバイトで貯めたお金で「CDラジカセ」を買ったので、よく覚えています。
「昔はレコードで音楽を聴いていて、レコードの溝に針をおろすと、針が振動を読み取って音を出していた。」みたいな説明をしました。
「針をおろすと、音楽が聞こえてくるまで何秒間か待たないといけなかったから、その何秒間かにドキドキしたんだよね。」
今のCDやiPodでは、このようなドキドキは感じることがないですね。
消せないアドレス
アドレス帳を書かなくなって、久しいことに改めて気づかされました。
私が大学生の頃まではアドレス帳を使っていましたが、その後、パソコンの中にスプレッドシートでアドレス帳を打ち直したことを思い出しました。
さらにその後は住所管理ソフトにそれを読み込ませて、今ではパソコンのソフトウェアで管理しています。
「必要でなくなった連絡先はボールペンで消したりしていたなあ。」とこちらは思わず感傷に浸ってしまいました。
きっと今の若い人たちはスマートフォンのアプリケーションか何かで管理しているのでしょう。
わずか数十年の間に通じなくなってしまう単語が結構ありそうな気がします。
思いつくところでは「ダイヤルを回す」「チャンネルを回す」「巻き戻し」「ダビング」など。今度、機会があったら、子供たちに尋ねてみようと思います。
いわゆる「死語」のことを述べているのだと思いますが、ここ数十年の社会変化は大きいですね。一方で現在使われている「生語」(造語です)を考えるとき、僕らは、ややもすると、生語がずっと昔から使われていたと思い込んでいることが少なくありませんね。たとえば、「韓国語」という言葉が使われるようになるのは80年代からではないかと思います。それ以前は、朝鮮語という名称しかありませんでした。