通信302 読解力 寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第302号(2019年6月17日発行)

読解力

寄田晴代

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長文読解の授業で時々ぶつかる困難に「日本語に直してみたものの、その文章の意味がわからない」というものがあります。

論説文に出て来る漢字語に馴染みがなくて意味がわからない、という人もいます。TOPIKの読解問題に出る論説文はそんなに長くありませんが、自分の馴染みのない分野だと、読む前から拒絶反応を起こす人もいます。

予備知識が全くない分野について読むことを負担に思うのでしょう。そもそも、集中してまとまった文章を読むのが苦手な人もいます。そうなるともはや、韓国語の問題ではありません。

語彙数は人生経験や読書量に比例するのでしょうか。若い人ほど、日本語の単語の意味がわからなくて苦労する人が多い印象があります。

よく使うことばだから知っておいた方がいいよ、というと「それ、方言じゃないんですか」と関西標準語母語話者の私に確認する人もいます。

ところで、
最近、年齢に関わらず大人でも、書いてあるものをちゃんと読んで理解していないことがあるのではないか、と思うようになりました。

私は時々スポーツジムに行くのですが、そこで「あれ?」と思うことがあったからです。

運動するマシンにはそれぞれ、鍛える筋肉、注意事項、使用方法などが、図解と簡潔な文章で示されています。

それなのに、そんな風に使っては体痛めますよ、と声をかけたくなるような人が少なからずいるのです。

どうして?これ読んでないの?読んだけれど自分流に解釈してるの?

質問してみたくてたまりませんでした。(説明文が難解だとは思えないので、「勝手に解釈派」が主流ではないかと推測しています。)

日本語でも(こんなに短い説明文でも)、読んでみて正確に把握できないことは珍しくないのかもしれない、と思うようになったわけです。

今年5月、新聞で「AIに勝る読解力を養おう」という記事を読みました。筆者は国立情報学研究所教授の新井紀子さんです。

「これまでの研究でAIの限界がハッキリした一方で、多くの中高生がAIと同じように読解力が不足していることもわかった。」という文にうなずきました。

ここでいう読解力とは、言うまでもなく、教科書や新聞など事実について書かれた文書を正確に把握する力です。

そして、読解力不足を放置するとAIに仕事を奪われる層が増え、格差が広がる危険性があるという怖い話が続き、まず母語である日本語やAIの基礎となる数学を身につけてほしい、と述べられています。

韓国語学習の初級の段階では「読解」と言っても、韓国語と日本語を置き換える作業が中心になるでしょう。

しかし、韓国語を使って何かしたい、と思っている学習者には、先を見据えた、母語の読解力の大切さを伝えたいと思いました。

母語以上に語彙や表現が広がることはありえないので、自分もしっかり日本語の向上に励みたいです。

まずは、なんでも「ほらほら、あれ、あれ」で済まそうとする傾向を改善しようと思っています。

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