通信350 「私の韓国語講師・奮闘記29「一言でもすごい!」」 宮本千恵美

【週刊ハンガンネット通信】第350号 (2021年3月1日発行)
私の韓国語講師・奮闘記29「一言でもすごい!」
宮本千恵美
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私は何年か前に日本語講師資格の勉強をしたことがありました。
多国籍の学習者に共通語である日本語をどう教えていくか、
比較的通じる英語が出来なくても日本語を教える、
とてもわくわくしたことを覚えています。
現在韓国語の学習者はすべて同じ日本人なので、
分からないことがあれば日本語での説明が可能ですが、
言葉が全く通じないかもしれない学習者に教えるって、考えてみたら未知の世界でした。

その中でとても興味ぶかかった教科と言うのが「日本語教育概論」でした。
前回の寄田先生の記事でバイリンガルのことに触れていたのですが、そのことも授業で触れていました。
私は両親のどちらかが外国の人だったらバイリンガルになれたかもとか、
外国にいればその国の言葉を習得できるのではと、言語習得に関してとても簡単に考えていました。
しかしその授業の中ではバイリンガルがいかに大変かということ、2つの言語を習得する大変さを説いていました。

例えばバイリンガル教育的なものがあり、両親が細心の注意を払って双方の言葉を教えていかなければ、
どちらの言語も未熟になってしまい思考の発達にも支障をきたすそうです。
以前にもインターネットの記事で2か国語以上の言葉を有する親は、意外と幼少期からの多言語教育には反対しているという内容を読んだことがあります。

留学時代に上級クラスの討論で、同じような内容を話し合ったことがあります。
幼少期からの英語教育は必要かと言う問いに、私は両親の国が違って2つの国の言葉を教えることはあっても、
両親が同じ国ならばまずは母語を教えてからでも遅くないのではないか、
まだ母語も確立していない段階で外国語をする必要がないのではないかと言う意見を話したことがあります。
しかしながら両親の国が違っていても、実際バイリンガルを育てるのは至難の業なのだと勉強しながら自分の知識のなさや浅はかさを感じていました。
思えば最近ダブル(以前はハーフと言っていましたが、最近はいい言葉ではないみたいですね。ミックスとも言われるそうで…)の芸能人も増えてきましたが、
顔だけ見れば外国の人のようなのに実際は日本語しかできないとか。
それもやはりバイリンガル教育の難しさなのかもしれません。

また寄田先生の記事を読んでいてとても面白くて共感したのが、私の生徒も日本語と韓国語を混ぜて話す生徒が多いことです。
私は冗談で「韓国語版ルー大柴」なんて冗談ぽく言いますし、全部韓国語で話して!と注意しますが、それを見ていた別の教室の生徒が、
「すごい!」
と言うのです。
「私はすぐに韓国語が出てこないです。一言でもすぐに口から出てくるのはすごいです!」
私的には欲張ってすべて韓国語でと言いますが、そうか…一言出すのも簡単なことじゃないのだと思いました。

私は海外旅行が好きで、せめて挨拶とかありがとうだけはその国の言葉で言えたら気持ちいいだろうと
ガイドブックを見て練習しても、実際現地では英語(簡単なものだけです)で言ったり、
気が抜けると韓国語で言ってしまったり、使い慣れていない言葉はすぐに出てきません。
その経験から言えば、生徒さんたちが日常使わない韓国語を流暢に話せるようになることってとても大変なのですね。

それでも生徒さんたちには韓国語を習得してほしいと、
毎回挨拶、安否(元気かどうか)、天気、気候、日付、時間、曜日、気分、1冊目の教科書の中間まで来たら한마디
を言ってもらいます。
日時などに関しては漢・固有数詞を習った後に追加します。
少し慣れてきたら、お互い日付や曜日や気分などの質問、한마디に対する質問をさせたりします。
しつこく同じことを言ってもらう、考えないですぐに口から出せるようにの、練習です。
特に数字は時間をかけていかないとスラスラ言えません。
まだ初級クラスばかりなのですが、まずは簡単なことから発せられるように練習しています。

今年こそ、コロナが少しでも収束して学んだ韓国語が韓国で使えたらと願うばかりです。

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