【週刊ハンガンネット通信】第353号 (2021年5月1日発行)
言語学習者としての感想
伊藤耕一
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会社から転勤を命じられ、マレーシアの子会社で勤務することとなりました。
辞令は出たものの、現地は一時ロックダウン、コロナウィルスの影響のためか渡航手続きが遅々として進まず、ずっと渡航の日を待っているところです。
何もしないわけにも行かず、マレーシア語の勉強を年明けから始めることにしました。
久しぶりにゼロから始める語学学習をしたのですが、学習者の目線で感じたことを書いてみたいと思います。
独習
マレーシア語を習える場所は数少なく、長野県では独習するしかありませんでした。
テキストを探したのですが、マレーシア語の教科書は数えるほどしかありません。
インドネシア語とほぼ同じ言語であるためか、インドネシア語のテキストは比較的多く出版されています。
しかし、経験的に半島と島嶼部では言語が異なることが予想できたので、マレーシア語のテキストを探して買い求めました。
独習の場合、モチベーションが下がらないように気を付けなければなりませんが、今回は「話せるようになりたい」という気持ちを大切にしようと思いました。
文字から入るか音から入るか
韓国語の場合は文字から入った方が近道であろうと私は思っており、マレーシア語も文字の勉強から始めようとしてみました。
ところが、マレーシア語の母音で「e」の音は「에」と読んだり「으」と読んだり、ほぼ半々であることが分かりました。
ほぼローマ字読みとはいえ「e」の音を間違えて覚えると、変な癖がついて通じにくくなるだろうと考えるに至り、音の勉強から入ることにしました。
テキスト付属のCDを車に入れて、行き帰りの合計1時間半ほどの通勤時間を利用して聞き続けました。
当然ながら、最初はひとつも聞き取れなかったのですが、聞き続けるうちに一つ二つと聞き取れる単語が増えてきました。
教科書を読みたい衝動を抑えに抑え、100時間くらい聞いたところで文字を見てみました。
この時の新鮮さというか渇望感というか、この感覚は忘れらないものになりそうです。
「L」と「R」の違い、「B」と「V」の違い、韓国語のパッチムに当たる語末の「t」と「k」の違い、そして「에」と「으」の違いが明らかになった時の「そうだったんだ!」という気持ちはすがすがしいものでした。
正しい発音が身についたか
マレーシア語は読むことよりも話すことに重点を置きたいと思ったので、正しい発音を覚えることを意識しました。
そのチェックには「ポケトーク」を使いました。
マレーシア語を話してみて、正しい日本語が返ってくるか、いくつかの対話文を試しましたが、ほぼ意図した日本語が聞こえてきました。
音から入ったことはある程度の結果につながったよう思います。
全くのマレーシア語入門者として数ヶ月を過ごしてみましたが、意欲ある言語学習者にある程度の結果を出してあげるには、次のような導きが大切なのではないかと感じました。
・やる気を維持するには、どうすればよいか、フォローし続ける。
・文字の勉強と発音の勉強のバランスは見てあげた方がよい。目的や性格によってバランス調整が必要であるように思う。
・成果が分かりやすい形で確認できると安心できる。
1人の学習者として感じたことですが、皆様のご指導のご参考にしていただければと思います。
渡航後は、これまでの勉強が役に立つかどうか、確認してみたいと思います。