【週刊ハンガンネット通信】第373号 (2021年11月24日発行)
新しい言語の学習
伊藤耕一
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私事で恐縮ですが、来月、マレーシアに旅立つこととなりました。
会社から転勤辞令を受けて以降、コロナウィルスの影響もあって相当の時間が経ちましたが、ようやく行けるようになりました。
マレーシア語を勉強し始めたことは以前の通信にも書きましたが、私は言語を専攻したためか、この言語自体の部分にも興味が向き、少し調べてみました。
マレー語はオーストロネシア語族に分類され、マレーシア、インドネシア、ブルネイ、シンガポールで国語とされています。
4カ国の人口を単純合算しても3億人を超えます。
4カ国の中には中国系やインド系の人も多数含まれているものの、言語人口で考えても世界有数ですね。
言語学的にはオーストロネシア語族は、台湾(北)~ニュージーランド(南)~イースター島(東)~マダガスカル(西)という広範囲に分布しているそうです。
このうち「ニュージーランド、イースター島」はピンと来るものがあります。
もうひとつ「ハワイ」を加えた三角形で囲まれた地域が「ポリネシア」ですが、この地域は文化的な共通性が見られます。
おそらく、船を使ってこの広大な地域を言語と文化が行き交ったのだろうと想像できます。
私が最初にマレーシア語で勉強した部分は「発音」ですが、発音自体はそれほど難しいとは思いませんでした。
韓国語のパッチムに当たる閉音節があったり、”H”の文字が来ると息を同時に出したり(韓国語の激音に近い)と、韓国語の経験を活かせる部分が結構あります。
ただし、韓国語の「連音化」や「鼻音化」に当たる音変化はないので、韓国語につられないように気を付けなければならない部分もあります。
「文法」は全貌を理解できていませんが、基本はこのような感じです。
・主語~述語~その他目的語等という語順が基本
・日本語の「です」に当たる言葉がない
(私:saya + 名前:Ito ⇒ Saya Ito. =私は伊藤です。)
・修飾語は後ろから修飾する。
(私:saya + 父:ayah ⇒ Ayah saya =私の父)
(私:saya + 父:ayah + 友人:kawan ⇒ Kawan ayah saya =私の父の友人)
・複数形や性はない。
「文字」はアルファベットを使います。
そして「本当かなあ?」と思ったテキストの例文をご紹介したいと思いました。
同じ単語を同じ語順で並べて文章を作った時、矢印の部分で抑揚を付けたり区切ったりすると、それぞれ異なる意味の文章になると言うのです。
「ibu:母」
「kucing:猫」
「itu:その」
「curi:盗む」
「ikan:魚」
「comel:小さい」
Ibu kucing itu curi ikan comel.↑ その猫の母は、小さい魚を盗みましたか?
Ibu kucing itu curi ikan↑ comel. その猫の母は魚を盗みました。かわいい。
Ibu kucing itu↑ curi ikan comel. その猫の母が、小さい魚を盗みました。
Ibu↑ kucing itu curi ikan comel. お母さん、その猫は小さい魚を盗みました。
この5つの単語をどのように発音し分ければ、4つの意味として聞き取ってもらえるのか、現地の人に聞いてみたりして調べてみようかと思います。
今回はコロナ禍での出入国となり、手続きや隔離など、めったにない体験をする機会に接することができそうです。
どのようなことが起きるのだろうかと不安半分興味半分ですが、新しい言語の学習の方も楽しんでみようと思っています。