【週刊ハンガンネット通信】第377号 (2022年1月31日発行)
春節
伊藤耕一
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マレーシアにやって来て1ヶ月半ほどが過ぎました。
そして、明日と明後日は春節でこちらは休日です。
旧正月をお祝いする国でこの日を迎えるのは初めてで、街の雰囲気を楽しんでいる今日この頃です。
マレーシアの民族はマレー人、中国人、インド人がマジョリティを構成し、日本を含めた周辺国の人々がマイノリティを構成しています。
政治的にはマレー人優遇政策が取られていますが、文化面ではマレー・中国・インドそれぞれを尊重しており、各文化の主要行事が行われる日は祝日となっています。
結果として、祝日の数は日本ほどではありませんが、結構多くあります。
春節はご存じのとおり中国の文化ですが、クリスマスが終わった後、街の雰囲気は一気に春節に変わり、赤や黄色の装飾を目にする機会が多くなりました。
そして、マレーシアでは「イーサン」という食文化があり、先日、これを初めて体験しました。
「イーサン」は漢字語で「魚生」と書き、その名のとおり生魚(刺身)を使ったものです。
最初は極細に切った大根、ニンジン、キュウリ、揚げた餃子の皮、ピーナッツ、果物などの具が色鮮やかに盛られているのですが、そこにドレッシングや香辛料をかけて、みんなでこれをゴチャゴチャに混ぜます。
この時に、できるだけ具を高く持ち上げて落として、グチャグチャに混ぜながら、各自が願い事を言って願掛けします。
混ぜて混ぜて具材が散らかるほど良いのだとか。
また、各食材には縁起の良い意味がそれぞれ込められているそうです。
一通りの儀式が終わると、混ぜたものを取り分けて食べるのですが、これがとても美味しいのです。
勝手な想像ですが、日本のお節料理の具材のような意味合いがあったり、韓国の비빔밥のような所作があったり、中国料理の色鮮やかさがあったり、いろいろな文化が混じっているようにも思いました。
この通信を書きながら、ニュージーランドの新年のことも思い出しました。
こちらは太陽暦の新年のお祝いですが、大晦日から元旦に変わったとき、パーティーに居合わせた人々が老若男女問わず、頬にキスをしまくるという場面に居合わせたこともありました。
明日と明後日は町の中でどんな行事が行われるのか、楽しみながら見てみたいと思います。