通信378「そんな言葉知らない」寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第378号 (2022年2月7日発行)

そんな言葉知らない
寄田晴代
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今週11日(金)にはハンガンネトオンラインセミナーが開催されますね。
1時間目の「年間行事のねらいと効果」、2時間目のTOPIK中級問題を使ったライブ授業も楽しみです。

TOPIKの読解といえば、若い学生の授業ではときどきちょっと困ることがあります。
それは、長文を日本語に訳しても、その日本語の文章の意味がわからないことがあるからです。
TOPIK中級の論説調の文になると馴染みのない漢字語がたくさん登場し、テーマも経済や歴史や福祉や、
普段友達との会話には出てこないものも少なくありません。
それで、訳した後にその文章の解説そのものをするのに時間がかかることがあります。社会科か国語の時間のようです。
その時文中に出てくる日本語に対して、しばしば「そんな言葉知らない」「そんな言葉使わない」「そんな言葉使ってる人見たことない」という言葉が返ってきます。
そのたびに、話し言葉と文章言葉は違うんだよ、とか、あなたたちが知らないだけで使う人はいるんです、とか、そんなこと言ってる場合ですか、TOPIKには出るんですよ、とか言って説き伏せることになります。

「知らない言葉」は難しい漢字語だけではありません。あるテキストには、夏に使う道具の紹介で모기장や돗자리が出てきます。
蚊帳は知らないだろうと思っていましたが、茣蓙(ござ)や、すだれまで知らないとは予想外でした。(「ブルーシートみたいなやつですか?」と言われました。)

先日テレビで見た話です。小学校の算数の授業で「〇〇円を持って買い物に行きました。△△円のものを2個、□□円のものを3個買いました。おつりはいくらでしょう。」という問題を出したところ、子どもたちがポカンとしているというのです。聞いてみると「おつり」の意味が分からなかったとのこと。キャッシュレス支払いが進み、親が現金で支払う姿を見たことがない子どもが多いためだそうです。
知らない言葉があると外国語学習以外でも、このようにうまくことが運びません。

私たちの生活がどんどん変わり、使われる言葉もどんどん様変わりしていくのを感じます。
同じ日本語母語話者だから、当然通じると思って使っている日本語も、実は通じていないこともあるのかなと思わされました。
また、「『古い』言葉知らない」現象の一方で、「『新しい』言葉知らない」現象も考えられます。
こっちは自分が気をつけなくては、と思っています。(グリーンな水素って、気体に色がついているの?とか言ってしまいそう。)

どんな言葉を使うか、知っているかは、年齢、地域、同居家族、性別、生い立ちなど、様々な要因が関わってきますから、自分が使わないだけで他の人も使わないと簡単に断言するのは難しいかもしれません。そう考えると、自分の日本語の語彙力も心細くなってきます。
そして、韓国語の語彙を増やすことが大事なのはもちろんですが、やはり最後の勝負は母語の語彙力にかかっているのではと思うのです。

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