通信385 「授業と平和」寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第385号 (2022年4月4日発行)

授業と平和
寄田晴代
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連日ニュースを通して見聞きするウクライナ情勢に胸が痛くなります。
そして、今さらながら生命の危機にさらされて暮らす人は、ウクライナ以外でも少なくないことを思い出します。

ある国から一時帰国した人からこんな話を聞いたことがあります。
現地で日本語を教えている人なのですが、政権が替わって以来、教育の現場も影響を受けているという話でした。
授業で「~したい・~がほしい」の練習をしたとき、学生に「今、何がほしいですか。」と尋ねると、「平和がほしいです」という答えが返ってきたそうです。
また、最近の出来事を自由に話してもらう時間には「隣の家に警察が来て隣の人が連れて行かれました。」「近所で爆発がありました。」「親が病気で病院に連れて行ったのですが、病院では不服従運動をしていて診察してもらえませんでした。それで親は死にました。」などなど。
なんとコメントをすればいいのかわからない「最近の出来事」ではありませんか。

コロナ禍でオンライン授業をしているときには、こんなこともあったそうです。授業中に学生が突然「ちょっとインターネット切ります」というので、訳を聞くと「近所に軍や警察がいっぱい来ているのが窓から見えるので」。あらぬ嫌疑をかけられないように用心しているようです。
オンライン授業中に突然インターネット回線が切れたことがあったそうで、後で知ったその原因は、近所の電柱が爆破されたためだったそうです。

日本に帰国しているときも、スパイがいるから大勢の前で現政権の批判をすると危ないとも聞きました。

たまたま安全な地域で暮らす私は、どうしたらいいのか、何をすべきなのか答えは簡単ではないのですが、せめて自分が教えている言語が人と人をつなぐ、平和に寄与するものとして使われてほしいと思ったりするのです。
授業の準備大変、とかぼやくのは「배부른 소리」ですね。

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