【週刊ハンガンネット通信】第388号 (2022年4月25日発行)
アピール
日下隆博
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2021年年度の専門学校授業。対面授業としては最終日、このあと卒業生となるクラスの授業を終え教室を出たところ、ひとりの男子学生がわたしを追いかけてきました。
「先生、これを受け取ってください。」
何かと思えば、手渡されたのは感謝状でした。
額縁入りで「感謝状。日下隆博先生。あなたはリスニングの授業において楽しくてわかりやすく韓国語を教えてくださりました。よってその感謝をここにたたえます。 ~日付 生徒氏名~」と印字されていました。合わせてクッキーまで添えて手渡してくれました。
授業中にほとんど話しを交わしたことのない学生の行動に、わたし自身とても驚きながらも直接わたしの授業に感謝を表現してくれるのはやはりうれしいものでした。
この生徒はわたしのSNSのフォロワーとなり、その後、クラスメート数人と一緒に食事会をしました。
食事会では、コロナ時代の学生同士の関わり方や心情などを知ったり、また授業時にわたしが話した事についての感想をフランクに聞くことができて授業の良いフィードバックにもなりました。
感謝状をくれた学生は、わたしが運営する「Wakando Music」というYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UC2t-b-wFnRu9QcXe7pBuiAw )の現在40余りあるコンテンツをすべて見ていて、「あの曲が良かった」「あのコンテンツがめちゃ面白かったです」などと感想をくれたりもしました。
この学生はこんなにも自分のファンなのかと思いながら、感謝状は他の先生にも渡したのか聞いてみました。
「はい、担当してくださったすべての先生に手作りして渡しました。」「渡す先生と渡さない先生がいるとなんか失礼じゃないですか。」
彼はわたしのことを特別に慕って感謝状を渡してくれたわけではありませんでした。そして続けて彼は「手作りの感謝状を渡すのは中学の時から続けているんです」と話しました。
これには同席の他の学生らもびっくりしていました。
この学生を見ていると「年上に好かれること」を自然にやっていると感じます。授業中ほとんど話を交わしたことのなかった、いち学生が、その嫌味ないアピールの力で、ずっと忘れないだろう学生に変わり、今後の成長の便りが気になる学生となりました。
この学生のエピソードを主婦層の生徒さんらに話すと、一様に「かわいい学生ですねー、さすが先生ですね~」と喜んでくれます。わたしにアピールしてくれた学生のおかげで、わたしも他の生徒さんに良いアピールになっているように感じます。1枚の感謝状が、2枚目の感謝状をもたらしてくれているのかもしれません。