通信398 「語尾」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第398号 (2022年7月12日発行)

語尾
伊藤耕一
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マレーシアに来て7か月が経ちました。
普段の生活や仕事では英語を使うのですが、最近、英語で話した後にマレー語のある語尾を付けて会話している自分に気付きました。
その語尾は「ka?」と「ne.」です。

先日、同僚が木曜日の夕方にこんなことを言ったことがあります。
“See you next week!”(また来週ね。)
すかさず、こう返しました。
“Oh, you don’t come tomorrow, ka!”(え、明日は来ないの?)

「ka?」はマレー語の語尾に付けると疑問文になるのですが、これが英語にも転用されてよく使われるのです。
“OK, ka?”(OKですか?)
“You don’t like this, ka?”(これは嫌いなんですか?)
“You follow the fasting, ka?”(一緒に断食するんですか?)

何かを言って最後に「ka?」を付ければ疑問文になる、便利すぎる語尾です。
ちなみにその同僚は、曜日を間違えていただけでした。

「ne.」はマレー語の語尾に付けると「~なんですね。」というようなニュアンスになります。
“OK, ne.”(OKですね。)
“You don’t like this, ne.”(これは嫌いなんですね。)
“You follow the fasting, ne.”(一緒に断食するんですね。)

これは会話の中で私が感じているニュアンスなので、本当は違うかも知れませんが、日本語の「~なんですね。」だと思っています。
ちなみに断食は今年のラマダンの時に私も一緒にやってみたのですが、その時に言われました。
平日だけの断食でしたが、その後のマレーシア人の同僚たちとの心の距離が少し縮まったように感じました。

もうひとつ「lah.」という語尾があるのですが、これはまだ使いこなせていません。
少し調べてみたら、こんな動画を見つけました。
https://www.youtube.com/watch?v=KPnzyXpSS-k

「lah.」は「~だよ。」というような意味で、初めて知った時、何かを伝えたい時、突っ込みたい時に使うとのこと。
そして「lah.」は体言にも用言にも付けることができるとのこと。
この言葉は仕事のミーティングの最中によく耳にします。
“OK, this is the last month product stock, lah.”(さて、これが先月の製品在庫数です。)
こんな感じで使うのですが、動画を見てそのニュアンスを知ることができました。
なるほど、何かを伝えたいと思って言っているのだなということが分かりました。

動画では「kan.」と「nya.」も紹介されていたので、今後の会話に耳を澄ませて聞き取って使い方を確認してみようと思いました。

マレーシアでは「マレー語」「中国語」「タミル語」を母語とする皆さんが意思疎通を図れるように英語が共通語になっているのですが、そんな中で使われるようになった表現なのだろうと思います。
マレーシアの英語は意思疎通が目的なので、多少構文がおかしくても、複数形でなくても、時制が間違っていても、お互いにその意思を汲み取ろうとしてくださるので、リラックスしてしゃべることができます。
そんな時に共感を示す語尾を付けると、自分が理解していることを相手に伝えることができるのではと思いました。
ただし、その使い方が本当に合っているのか間違っているのか、自分には分からないところが悩ましいところですが。
でも、少し変なマレー語を話す日本人と思ってもらえれば、それはそれで良いのかなとも思います。

翻って、私は韓国に住んだことがないので、完全に理解しているとは思っていませんが、「-요.」「-네요.」「-ㄹ래요.」等の語尾のニュアンスを適切に教えることができたら、生徒さんの会話のレパートリーを増やすことができるのではないかとも思いました。
ゼロから外国語を習得しようとした時に、私が何を感じて何を理解しているのか、ひとつの実験台として今後も通信に書いてみたいと思います。
僭越ながら、韓国語をゼロから学習される生徒さんがどんなことを感じてどのように解釈しようとしているのか、その理解に少しでもお役に立てればと思っています。

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