通信404 「TOPIK6級の先を考えよう」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第404号 (2022年8月22日発行)

TOPIK6級の先を考えよう
ミレ韓国語学院 前田真彦
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K-POPやドラマを入り口にして、若い学習者がどんどん増えてきています。公教育では到底対応できない学習者の数です。
学習の場は、市民講座(民間の私設講座)が中心になっています。
市民講座(民間の私設講座)は、資格も必要なく誰でも立ち上げが可能です。オンライン時代になって、講座開設の敷居が下がりました。
意志さえあれば、だれでも「教室」「講座」「セミナー」を立ち上げることが出来るようになりました。

こんな状況だからこそ、「講師育成」「講師の研鑽」が必要です。
講師養成のための単発講座や、数か月に1回のセミナーはあるようですが、毎週実戦形式で取り組んでいるところはほとんどないのではないでしょうか。


TOPIK 5・6級以上の方々へ。
合格した後は、通訳翻訳の道に進むか、講師をめざすか。
次の目標を立てて勉強していきましょう。
通訳翻訳は今までの勉強の延長線上で進んでいけますが、
「教えること」は、語学の学習とは違う「教えるための」勉強が必要です。
私は、中高の国語教室を21年間していました。
教育実習や新任教師の研修にも長年かかわってきました。
教える経験の少ない人の陥る傾向や、その克服の仕方を知っています。
最初から教えるのがうまい教師は誰もいません。
教えることは、特殊技術ではありません。
きちんと基礎基本を学び、研修を積むと、
だれでも安定した教える技術を身に付けることが出来ます。


「教える」を体系的に、日常的に学べる場として、
ミレ韓国語学院では「韓国語教育ラボ」(オンライン+大阪教室のハイブリッド授業)
を立ち上げ、開講中です。
週に1回定番授業として実施していますが、1回単発での参加も出来ます。
毎週こつこつと基礎からきちんと学び、積み重ねていく必要があります。
80分のゼミ形式で、発言や活動の多い授業です。
月に1回90分の「メアリの会=韓国語講師の学習会」というセミナーも開催しています。
年に1回(2022年12月25日予定)「韓国語教え方検定」も実施しています。


「韓国語教育ラボ」の実際を紹介します。
「韓国語教育ラボ」では次の3本柱で授業を実施しています。
1、教育・外国語習得のための文献講読
今まで野間秀樹先生の『ハングルの誕生』『韓国語の学び方』、門田修平『音読で外国語が話せるようになる科学』など講読。
2、模擬授業、10分模擬授業(指導案付き)
3、音声添削ライブ
4、教え方検定模擬問題

1・2は輪番制で参加者全員が担当します。私ももちろんします。模擬授業が、一番力が付きます。人の授業を見て、自分もしてみることによって、本物の実践力が付いていきます。

動画をご覧ください。
https://youtu.be/a3rbRaBb27A

韓国語教育ラボは見学も可能です。
次回8月28日(日)16時~ は、章子講師が模擬授業(ㄹの鼻音化)を担当します。
講読は、藤原講師が担当し、野間秀樹先生の『日本語とハングル』をまとめてくれます。

教えることは今後ますます必要になってきます。
学習者が増え、TOPIK6級合格者が増えています。TOPIK6級合格者が、もっと積極的に「教えること」を鍛え始めると、次の若い世代の学習支援が出来ます。
発音変化の教え方、変則活用の教え方を鍛えてみませんか?
教え方によって、学習の意欲や学習効率が大きく変わってきます。


先生方へ、TOPIK6級に合格した受講生に、どのような指導をなさっていますか?
ハングル検定や通訳ガイドなどさらに上の試験の受験を勧めるのも1つの方法でしょう。
しかし試験に縛られない、次のステップとして、通訳や翻訳、教える、という領域があり、
そこまで指導できる力を我々も持たなければ、教えるだけ教えて、「はいおしまい」では、受講生の努力が実りません。
学習の目標を見失ったTOPIK6級合格者が大量に出て来ています。
韓国語の能力を生かして次にどのようなステップがあるのかを示し、その領域の学習にも関わる、あるいは一緒に学ぶ、そのようなことはできないでしょうか?

若い世代の学習者の増加と、TOPIK高級以上の実力を持った人の増加、それにもかかわらず講師育成の場がほとんどないという現実を変えていく動きを、
私たち民間市民講座の現役講師がしていかなければ、誰もしてくれません。

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