【週刊ハンガンネット通信】第432号 (2023年3月17日発行)
豊富な語彙
寄田晴代
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子どもの卒業式で、保護者代表で先生方に感謝の挨拶をすることになりました。
いざ原稿を書き始めてみると、納得のいく表現がなかなか出てきません。自分が持っている日本語の語彙量はたいしたことないのかと、ちょっと悔しくなりました。
語彙で思い出したのは、アメリカに住んでいた韓国人の友人から聞いたことばです。
「ルームメートがユダヤ人だったので、私はたくさんの英語の単語が身についた。ユダヤ人は語彙が豊富なんだ。」
それが本当か嘘か知りませんが、民族によって語彙の豊富さに違いがあるの?と驚いた覚えがあります。
こんなことばも聞いたことがあります。
「ヨーロッパの人は何でもことばで説明できると思っている。特にドイツ人。」
ほんまかいな、と突っ込みたくなりました。
日本ではことばで言わなくても「察する」という文化があり、また、寡黙なことはそんなに否定的に見られないと思います。
たくさん話す必要がなく、SNSの短いメッセージのやり取りで済むのなら、少ない語彙でも事足りるでしょう。
他言語話者と比べて、日本語母語話者の語彙が多いのか少ないのかはわかりませんが、語彙が豊富だと自分の気持ちを相手に伝えるとき、とても良いことは確かです。
先日、怒りなどの不快な感情を解消する方法として、自分の気持ちを書き出す方法があると記事で読みました。
詳しくここでは述べませんが、「筆記開示法」というのだそうです。
そして、自分の感情を豊富な語彙できめ細かく表現できる人ほど、ストレスに強く、心身の健康状態を良好に保てる事実があるそうです。
語彙力が外国語習得だけでなく健康にも関わるとは、これは真剣に語彙力をつけなくてはと思わされますよね。