通信442「情熱の境界線」 奈良美香

【週刊ハンガンネット通信】第442号 (2023年5月29日発行)

情熱の境界線
下関市立大学他 奈良美香
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ハンガンネット 会員の皆様
はじめまして。今年度、ハンガンネット通信を担当させて頂きます奈良美香と申します。
私は、現在、下関市立大学、九州工業大学、福岡県立大学と個人教室にて韓国語を教えています。韓国語教育に関して、皆様と情報を共有できればと思っておりますので、一年間どうぞよろしくお願いいたします。

私の場合、まず個人教室の韓国語講師としてスタートしました。社会人対象でしたので、受講生の方々も目的意識が強く授業も円滑に進みました。
その後、大学での授業を担当することになりましたが、学生により学習意欲も様々です。しかし韓国語を専攻科目に選んだ学生なので週に3回以上は韓国語に触れることで、進級するにつれよりレベルアップした内容で授業を展開することができました。韓国語についてより多くのことを習得してほしいと思う余り、次第に課題の質と量も増えていきましたが、幸いなことに、特に問題はなく学期を終えることができました。しかし、過去の課題の内容を再確認すると、学生への負担が多かったのではと反省しています。

2022年度からは、工学系の大学でも韓国語のクラスを担当することになりましたが、これまでの専攻科目とは違い教養科目になると、学生も週に1回の授業の上に専攻外の科目のため、習得度もかなり緩やかになり、ハングル文字が読めるまで、四苦八苦する状況です。その中で、授業中にスマホでゲームをしたり、別の科目の課題をする学生を目にすると、正直腹が立ちます。そこで、諦めて放置するのではなく、何とかして授業に巻き込むことはできないかと、試行錯誤する中で、実行しているのが、指定席にして教室内を巡回しながら学生に積極的に声かけしたり、マイクを回して必ず一度以上は発話させることです。また、簡単な韓国語フレーズを通して数人以上の学生とコミュニケーション活動を行うようにしています。その際に、大変役に立つ教材がゆう きょんみ先生による「フォーカスオンフォームで身につく。トライ!コリアン!」です。TASK中心なので、授業にすぐ活用でき、学生も楽しみながら会話練習ができるので、反応がとてもいいです。私の場合、そのTASKを超初級者向けにアレンジした内容で使用しますが、頻度が多すぎると当初に比べ反応が薄くなることもありました。過度な情熱は、かえって気持ち的にお互いマイナスになるので、需要と供給側が相互に満足する着地点に到着するのは難しいようです。私の奮闘はまだまだ続きそうです。

通信441 「日本のオーディブックの状況」ペ・ジョンリョル

【週刊ハンガンネット通信】第441号 (2023年5月19日発行)

日本のオーディブックの状況
株式会社HANA ペ・ジョンリョル
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先日久しぶりに新宿で会食し、2次会でゴールデン街に足を伸ばしました。ご存じの方も多いと思いますが、新宿のゴールデン街は、新宿区役所の向かい側に幾つもの細い路地に小さなスナックやバーがひしめき合っている地域で、約300件もの店があるといわれています。

行ってみると、路地が外国からの旅行者でごった返していました。多くの、いやほとんどの店が彼ら・彼女らに埋め尽くされ、街全体が外国勢に占拠されている感じです。これでは古いお客さんは行きつけのお店にいって落ち着いて飲めないでしょう。でも一方で、ここはただの酒飲みから著名文化人まで多種多様な背景の人たちが気安く接し、言葉を交わしてきたそんな場所ですから、今後面白い空間になるのではないかとも思いました(私が行った店では、お店の女性がスマホアプリの通訳機能を使って会話していました)。

実はこの日、オーディオブックに力を入れている韓国の出版社の方を接待しました。そこでは韓国の著名俳優を起用した『100인의 배우, 우리 문학을 읽다』『100인의 배우, 세계문학을 읽다』という商品を出しています。朗読している俳優たちはチェ・ミンシクをはじめそうそうたる俳優たち。韓国語の学習にも活用できそうです(USBメモリー付きの書籍が販売されています。ただし原作のテキストは含まれていません)。

私がオーディオブックというものを意識したのは、20年ほど前、韓国語の学習雑誌を始めてからのことだったと思います。特にアメリカは車社会なので、小説などを音声で聞く習慣の人も多く、かなり普及していると聞きました。

それをきっかけに、学習者が文学作品を韓国語の音声で楽しむ、そんな企画をできないかと考えるようになったのですが、学習者が韓国語の音声だけで文学作品を楽しむのはかなり難しいですし、またその原文と訳も確認したいでしょう。結局、原作ではなくリライト、オーディブックではなく対訳本に音声が付いた形に行き着きました。

『多読多聴の韓国語 やさしい韓国語で読む世界の名作文学』というCD付きの本がそれです。2011年に出したときはまったく売れず、19年に改訂してからは何度か増刷するくらいにぼちぼち売れています。この本の後に、リライトではなく書き下ろしですが『やさしい韓国語で読む韓国の昔ばなし』『やさしい韓国語で読む韓国人物伝 歴史編』という本も出しました。次は『やさしい韓国語で読む韓国名作文学』も出そうと、書きたまった原稿はあるのですが、まだ実現に至ってはいません。

今回韓国からお客さんを迎えることになって、日本のオーディオブック市場について少し調べてみました。日本では「オトバンク」とamazon傘下の「Audible」が主なオーディオブック提供サービスとのこと。Audibleは日本語の作品の他、英語の作品が幅広く選べ、オトバンクは日本の俳優・声優による朗読作品が主で、アニメキャラがアニメと連動して名作を読んでくれる「朗読少女」というアプリも出しています。

一方韓国語のオーディオブックは韓国に윌라というストアがあることは知っているのですが、日本からだと決済ができないようです(윌라については弊社の『hana Vol. 47』でも紹介しています)。

出版業界紙『新文化』(2023年4月27日号)の記事によると、2018年に30億円だった日本のオーディオブック市場は20年に70億円を超え、24年度には240億円に達する予想だそうです。ものすごいスピードで広がっていることになります。

通勤しながら、家事をしながら、ジムでエクササイズをしながら聞いているという人が増えているのではないでしょうか? やはりスマホが普及したことが決定的な要因でしょうね。

私も最近体力作りに励もうと「●●●ザップ」に入会したので、運動と語学学習を一緒にできるようオーディオブックの作品を物色してみました。問題は仕事が忙しくて余裕がなく、たまに行って体を動かすと、その疲れで風邪を引いたり、体に不具合が生じたりして、ジム通いが続かないことです。それでいまだに体力作りの入口にも、オーディオブックによる語学学習の入口にもたどりつけていません。

通信440「敬語・丁寧な言い方」寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第440号 (2023年5月12日発行)

敬語・丁寧な言い方
寄田晴代
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社員研修の講師を仕事としている人と先日話していたとき、季節柄、新入社員研修の話になりました。
新入社員研修といえば敬語の習得が欠かせませんが、「アルバイト敬語」「マニュアル敬語」と呼ばれる話し方を企業が求める話し方に直していくのに練習が必要だという話になりました。
以前から話題になっていますが、たとえば
「私的には」→「私といたしましては」
「10万円からお預かりします」→「10万円お預かりします」
「以上でよろしかったでしょうか」→「以上でよろしいでしょうか」などがあります。

一方、就職支援の仕事をしている人からは「言葉だけ丁寧でもね~」という話が出ました。
「今よろしいでしょうか?」と文章で書くと丁寧な言葉でも、語尾をきつい言い方に上げてみたり変な語調で言うと全然丁寧な感じがしない、と言うのです。
コミュニケーションをとるためには言葉以外の「言い方」や「態度」が大切ですよね。

また、就職デビュー前の人は、電話応対になると敬語を使うのが難しくなる傾向がある、という話も面白いと思いました。
対面で話しているときは無難に敬語を使えているのに、電話になると変になるそうです。

今や誰もがスマホを利用する時代になり、自分にだけかかってくる電話にしか出たことがない人もいるでしょう。それも知らない人からかかって来る電話などほとんどない。
未知の人と失礼のないようにどう話すか。これは緊張しそうな場面です。
しかも声しか聞こえないので、表情や身振りで敬意を表すこともできず言葉だけの勝負になりますから、緊張してスマートに話せないのかもしれません。

これを早く解決するには「決まり文句」を覚えておくことではないかと思いました。
電話応対の決まった言い方を覚えていて、ボタンを押せばスルスルと出てくるようになっていれば緊張も緩和されるでしょう。

電話だけでなく人前でのあいさつなど、敬語を使って丁寧に話したい大事な場面では、型を覚えていれば過度に緊張せずうまく話せるのではないでしょうか。

韓国語の会話練習でも、自由にあれこれ話したいと思っている人は多いでしょうが、ボタンを押せばスルスルと出てくる型をたくさん覚えていると話せる幅が広がります。
では、型を身につけるにはどうするか?
私は音読や一人妄想会話などしていましたが、みなさんはいかがですか。

通信439 「スマートフォンやPCでのハングル入力について」加藤慧

【週刊ハンガンネット通信】第439号 (2023年5月1日発行)

スマートフォンやPCでのハングル入力について
加藤慧
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大学の韓国語の授業も、新年度がはじまって三週間ほどがたちました。

以前、昨年度から対面とオンライン授業のいいところを組み合わせ、課題提出や小テストにGoogle formを利用していることを書きましたが、その後同様の形式で期末試験も実施しました。
ほぼ選択問題で、問題の一部を記述式とし、キーボードのハングル入力で回答してもらいました。(回答は複数設定できます)

普段から課題提出の際に練習しているだけあって、学生たちは入力にもだいぶ慣れており、問題なく実施することができました。
ちなみにPCの場合はスクリーンキーボード機能を使ってもらっています。

不正行為の防止策として、他のタブや他のアプリをすべて終了させることを普段の小テスト時から徹底しました。
ただ、これは大人数の授業だと、机間巡視に限界があるので難しいかもしれません。
また、入力での課題提出は翻訳アプリを利用しやすくなる(当然禁止していますが)というデメリットもあると思います。
他の言語のある先生は、予測変換機能に頼って綴りを覚えなくなるので、入力での提出は禁止しているそうです。
このような弊害もありますが、今年度も引き続きこの方法で行っていく予定です。

ハングル入力といえば、以前教えていたカルチャースクールの生徒さんで、キーボードの入力が苦手で入力ができないという方がいました。
その方にはNAVERの辞書アプリやGoogleキーボードなどの手書き入力機能をご紹介したりしていました。

こうしたことを通して、こちらから情報を与えるだけでなく、学習者のみなさんが自ら韓国のコンテンツにアクセスできるようなサポートもしていければと思っています。

通信438 「初学者の言語運用能力の状況」伊藤耕一

週刊ハンガンネット通信】第438号 (2023年4月24日発行)

初学者の言語運用能力の状況 
伊藤耕一
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マレーシアでは4月21日にラマダンが終わり、22日からハリラヤ休暇が始まりました。
ハリラヤは日本のお正月のようなもので、国全体がお休みモードに入ります。
公休日は2日しかありませんが、私の会社ではマレー人が従業員の95%程度を占めるためか、前後の土日を入れて10連休となります。
連休明けは日本のGWがあり、今回は長めの休暇を取ることができ、この通信を日本で書いています。

早いものでマレーシアに来て1年4ヶ月が経ちました。
今回は、私のマレー語の運用能力がどれほどになったか、恥ずかしながら振り返ってみたいと思います。

聞く力
マレーシアに来たとはいえ、普段の仕事は英語、買い物やちょっとした用足しも英語で済ませられるため、マレー語に接する機会はほとんどありません。
少しでもマレー語を聞く機会を持ちたいと思い、通勤時の車内ではマレー語のラジオを聞くようにしています。
繰り返し流れるCM、音楽を紹介する時のフレーズ、天気予報など定型的な言い回しは徐々に理解できるようになりました。
私にとっての外国語である英語と韓国語を覚えた時のことを思い出すと、会話の実践で最も役立ったのはリズム感と抑揚でした。
そこで、聞く時にはそこに注意を向けています。
最初は全く聞き取れなかったマレー語が、少しずつ聞き取れるようになってきました。
これは、ざるで砂利をすくった時に、最初は全てが零れ落ちていたのが、大きな石から順にざるに残るのに似ていると思っています。
時間をかければ、ざるの目がもっと細かくなり、零れ落ちる砂がだんだん少なくなっていくイメージを持ちながら、マレー語を聞き続けています。

話す力
日常のあいさつ、単文は語彙力の範囲で話せるようになりました。
会社では月に1回、スピーチの時間があるのですが、1〜2分程度の原稿を作り、それを読むことを続けています。
日本語で文章を書いて、それをGoogle翻訳でマレー語に変換します。便利な世の中になったものです。
翻訳されたマレー語が適切かどうかは、マレー語を英語に変換して確認します。
すると、経験的に全体の20%ほどは手直しが必要になるのですが、英語を修正してマレー語に変換、マレー語を日本語に変換、日本語を修正してマレー語に変換、マレー語を英語に変換…このような作業を数回繰り返すと、手直しが不要な程度の文章が出来上がります。
それを社員の皆さんの前で読むのですが、最初は目を細められたり、首を傾げられたりすることがありました。
最初の頃は単純な文章しか話さなかったので、ひとえに発音が悪かったのだと思います。
最近は、「おはようございます。元気ですか。」と言うとタイミング良く「元気です。」と返してくれたり、ウンウンと頷いてくれたり、伝わる言葉を喋れていることを実感します。
先日、社長とこのことについて話す機会があり「発音は問題なく、だいたい聞き取れる。」とおっしゃっていただけたので、とても嬉しくなりました。
みんなの前で話すことは、月に1回であっても話す力を着実に高めてくれることを実感します。
今後は語彙と言い回しを覚えて、原稿なしで話せるようになりたいと思います。

読む力
スピーチの効果だと思いますが、文字が書いてさえあれば、ゆっくりと文章を読むことはできます。
しかし、語彙力と文法力がなさ過ぎて何が書かれているのかは、分かる時と分からない時があります。
日本語の外来語のように、マレー語には英語由来の単語が多いので、読んで発音するとその音から意味を類推できることが結構あります。
これはハングルで書かれた文章から、音を頼りに漢字を類推して韓国語の意味を捉えるプロセスにも似ています。
実感するのは黙読して分からない時に、声に出して読むと分かる時があることです。
声に出すと、英語に似た音の単語を類推できたり、ラジオで聞いた音が思い出されたり、インプットされた単語やフレーズが頭の中から取り出されるような気がします。
改めて音読は効果的だなと実感します。

書く力
学生の頃のように、ノートに手書きする時間を今はなかなか取ることができず、書くことはほとんどできていません。
聞き取れた単語を書いても、綴りが間違っていることが多々あります。
パソコンで書く時には、英語や日本語はスペルチェックや校正機能が助けてくれるのですが、マレー語はほぼ全ての単語に波線が表示されてしまい、この機能の力を借りることもできません。
書く力はやはり、ペンとノートと時間を使い、地道に築き上げるしかないように思います。

私はマレー語について「聞く>話す>読む>書く」の順番で力を付けようと思っていましたが、現時点では「話す>聞く>読む>書く」の順番になっているようです。
これは、そこそこ適切な文章を手軽に入手できる自動翻訳機能と、話す機会に恵まれている環境のおかげだと思います。
30年以上前に私が韓国語を学び始めた時は「読む≒書く>聞く>話す」でした。
最も手軽な学習法は「読む」ことでした。
二番目に手軽な学習法は「書く」ことでしたが、辞書と文法の教科書を何度もひっくり返すことが必要でした。
しかも、書いた文章が正しいかどうかは、その場で自分では検証できません。
韓国語を聞くにはラジオやテレビを録音・録画したり、先生の音声が録音されたカセットテープを受け取ったりするしかなく、「聞く」は自分の環境(ラジカセやテレビや録画機を買う等)を整え、機会を逃さない姿勢(番組の録音・録画、先生に録音をお願いする、旅行に行く等)が必要でした。
話すことは、交通費をかけて誰かに会いに行く、電話で話すなどコストが高すぎ、学生の私には最も難しいものでした。

今はスマートフォンがあれば、動画を通じて聞くことができ、自分の音声を手軽に録音することができ、それをすぐに誰かに送ることができ、通話アプリで格安に会話ができ、音声も文字も瞬時に翻訳することができ、「聞く」こと「話す」ことの方が、やる気さえあれば安く簡単にできる時代になったように思います。
この30年で随分と環境が変わったものだなと、あらためて驚かされます。

学習歴が1年を超えた韓国語学習者の中には、私と同じような状況にある人がいるのではないかと思いながら、今回の通信を書いてみました。
皆様のご参考になれば幸いです。

ここからは余談ですが、日本に帰って来ていつも感動するのは、耳に入って来る音声のほとんどが聞き取れて理解できることです。
外国にいる時には空港の搭乗前のアナウンスでさえ「どの座席ゾーンに搭乗できる」と言ったのか、全神経を耳に集中させています。
日本ではさほど集中しなくても、何を言われたのか理解できるので、全集中する必要がなく、その分の脳みそのリソースをセーブできるような気がしています。
マレーシアに来て以来、恥ずかしながら、お酒も飲まないのに夜9時には猛烈に眠くなってしまいます。
全集中する必要がない分、日本ではもう少し夜遅くまで起きていられるのではないかと思い、連休中にそれを検証してみたいと思っています。

通信437 「学習者のすそ野を広げるために」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第437号 (2023年4月17日発行)

学習者のすそ野を広げるために
アイケーブリッジ外語学院 幡野 泉
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第434号のペ・ジョンリョルさんの通信「韓国語業界の世代交代 」には唸ってしまいました。当校も書籍の校正を依頼されることが多く、
「○○先生の原稿をチェックさせていただくなんて光栄だ」と身の引き締まる思いで業務に取り組んできましたが、ここ最近はぺさんのおっしゃるような原稿も少なくありません。

韓国語を学ぶ人が増えるように、これを手に取る人が迷わないようにと、やはり手を抜かずに取り組んでいますが、モヤモヤとしていたところ、ぺさんに言語化していただいた感じです。

さて、通信講座大手のユーキャンから「はじめての韓国語講座」がこの4月にリリースされました。こちらは当校が約1年かけて先生方と力を合わせて制作してきました。
https://www.u-can.co.jp/houjin/course/line_up/1813/

先方の要望を汲みながらなので、いろいろと折れながら進行しましたが、大変良い経験になり、思い出に残る1年でした。

テキスト1でハングルや発音を学び、テキスト2と3で基本文法と会話を学び、さらには旅行や食事、インターネットなどいろんなシチュエーションの生きた会話が載ったフレーズブックもあり、合計4冊のテキスト、しかも動画解説やウェブテストがつき、質問もすることができ……、2,980円×10回払いです。

先程申し上げたように、韓国語を学ぶ人が増えるように、韓国語学習の楽しさを感じてほしいという思い一つで取り組んできましたが、当校のレッスンと比べてしまうと(比べられないのですが)随分とリーズナブルだなぁと、思いは複雑に……(笑)。

しかし、学習者のすそ野が広がり、且つ当校のことを知っていただき、直接学びにいらしてくださる方が増えることを願いつつ、一方で、既存の受講生のレッスンをまずは充実させることも怠ってはいけないと、改めて感じています。

これからも多様になりつつある韓国語学習界を盛り上げていきたいと思います。

通信436 「指導案の書き方」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第436号 (2023年4月10日発行)

指導案の書き方
ミレ韓国語学院 前田真彦
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「指導案の書き方」

「教え方の学校」では、4月14日(金)21時~80分間、指導案の書き方の説明をし、その後実習をしてもらう。

指導案とは何か?

その授業の目的と方法・手順をはっきりさせ活動内容と留意点、時間配分を書く。
そして受講生の反応を予測して対策を立てる。

板書計画も大事だ。
どのように板書するのか、色の使い分けもあらかじめ考えないと黒(白)ばかりになってポイントの分かりにくい板書になってしまう。
(オンラインで板書の仕方もずいぶん変わったが書いて説明する基本は変わっていない。)

いうなれば授業のレシピだ。

これがないと、講師の知識を適当に羅列するだけで終わってしまう。

授業の準備の中で一番大事なものだ。

「教え方の学校」では授業の作り方を基本から実習を交えながら実施している。

見学に来てほしい。

通信435「1年間」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第435号 (2023年4月3日発行)

1年間
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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4月になりました。
学校年度としては2023年新年度の幕開けです。

私がもう何年も毎週欠かさず見ているテレビ番組にNHK Eテレの語学番組「ハングルッ!ナビ」と「中国語!ナビ」があります。
近年リニューアルされたので、正確にはその前身の番組からの継続視聴です。

見どころは様々ありますが、生徒役のモチベーションも見どころのひとつとなっています。

2022年度の「ハングルッ!ナビ」の生徒は、アイドルグループJO1のメンバーの河野純喜さんでした。3月最後の出演回のあいさつでは、「別にいま外国語をやらなくても日本語でコミュニケーションできる友人もいるし…」と学習当初はあまり積極的ではなかった心情を語り、ところが周囲のサポートもあって一大奮起し本気で勉強を重ねたことを感じさせてくれる内容を語っていました。そして自らで韓国語詞をつけて自身のグループの曲を韓国語で歌い、韓国のアイドルグループメンバーと中身の濃い韓国語会話をし、その成長ぶりに感動させられるエンディングとなっていました。

2022年度の「中国語!ナビ」の生徒役は前年度に引き続き2年連続抜擢のイモトアヤコさんでした。
生徒のやる気をあの手この手で番組が支えている印象の1年間でした。毎週週替わりでネイティブのゲストを呼んだり、「ようこそ先輩」というコーナーでは日本人の中国語学習者からその上達のコツを教わるなど、生徒のモチベーションにつなげようとする番組の努力を感じました。言い方を変えれば、とんでもなく贅沢に人件費を使って個人レッスンをした計2年間といった印象でした。
イモトさん卒業回で、ミュージカル舞台経験者である他の出演者がなぜか「英語」の歌で送り出すフィナーレはある意味衝撃的な語学番組のエンディングでした。

イモトさんを送り出したのち「中国語!ナビ」の最後の1回は、学習者の悩み相談(発音が難しい、単語が覚えられない等)という形をとって2023年新年度のNHKの中国語学習番組の番組宣伝となっていました。
その中でひとつ「へー」と思ったことがありました。

中級学習者向けラジオ番組「ステップアップ中国語」は2022年度から、前期(4月~9月)と後期(10月~3月)は全く同じ内容を放送しているということです。

記憶には「ワーキングメモリー(短期記憶)」と「長期記憶」があると説明し、外国語を使えるようになるのに必要な、短期記憶が長期記憶となるには、繰り返し接することが必要で、その効果を狙っての番組編成と説明していました。

ラジオ番組の半年スパンの1年間の放送内容が前後期どちらも同じというのは、テキストも年間半分のコストですんだり、学習者の進度のタイプによってはありがたく感じる人もいるアイデアかと思いました。

私も一部クラスでは、習った教科書で再度教科書前半からやり直すことをやっていますが、このクラスは、とうとう理解できた、覚えられたといった喜びが共有されていてクラスの雰囲気はとても良いです。

1年のうち半年ずつ2回全く同じ内容を繰り返す授業カリキュラムのあらかじめの告知は、週2回放送の中級学習者向けラジオ番組ならではでしょうが、繰り返しの大切さのメッセージは伝わります。

通信434 「韓国語業界の世代交代 」ペ・ジョンリョル

【週刊ハンガンネット通信】第434号 (2023年3月28日発行)

韓国語業界の世代交代 
株式会社HANA ペ・ジョンリョル
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某大学で教授を務められている先生から3月で定年退職されるとの連絡をいただきました。私が韓国語を手掛けるようになった20年ほど前、すでに韓国語の学習書を出版されていて、NHKテレビのハングル講座も担当されました。私も2002年に立ち上げたばかりの『韓国語ジャーナル』でずいぶんお世話になった方です。でも、ご退任のニュースを自社内で共有する際に、その先生を知らないスタッフが何人かいたので、どんな先生でどんな関わりがあったかを説明する必要がありました。

今年は「韓流20周年」に当たるとのこと。この韓流をきっかけに韓国語学習の一大ブームが起きました。当時から継続的に学習を続けている人は学習歴20年ということになりますが、弊社への読者ハガキなどで読者の学習歴を見ると、このブームをきっかけに韓国語を始めた(可能性のある人は)ごく少数です。これは今に始まった話ではなく、『韓国語学習ジャーナルhana』を創刊した2014年当時もそうでした。弊社の中上級レベル書籍の読者の中には、学習歴数年という人も結構います。

この20年の間に、教える方側も学ぶ側も絶え間なく世代交代しているわけです。制作する側もそうだと思います。その中にあって、幸いなことに私はいまだ現場との関わりが少しあります。それ以前の草創期に活躍された大先生たちとも仕事をする機会があったので、このまま元気に仕事を続けられれば、この分野の生き字引の一人になれるかもしれません。

何年か前にある出版社の知人に聞いた話ですが、その会社では企画書を出すとまず聞かれることが「著者はネットで有名なのか? フォロワーはどれだけいるのか?」だそうです。今は出版社がユーチューバーの人気に便乗して本を売る時代です。韓国語学習書も例外ではなく、ある大手出版社は、ユーチューバー、ブロガーなどのネットで人気のある人をどんどん起用し、韓国語学習書の分野でどんどん実績を上げています。

弊社は他の出版社の下請けの仕事もやっていたので、こうした本の校正依頼をよくいただきました。そうした仕事の中には、著者の方が原稿を書くことに慣れておらずなかなか大変なときもあります。やるからには手を抜かずに仕事するので、校正紙が文字通り「血の海(修正指示の赤字だらけ)」になるのですが、こうなると仕事としても手が掛かりすぎて割に合いませんし、それ以上に自社の最も貴重なリソースを浪費して競合商品の付加価値を高めてあげているようで、かなり複雑な心境になります(なので最近この手の仕事は断っています)。

もちろんネットで人気を集めている韓国語の先生の中にはしっかりした内容を配信されている方もいらっしゃいます。逆にユーチューブに新たな活動の場所を作ろうと積極的に行動されている「旧世代」の先生もいらっしゃいますね。HANAでもそういう先生の本を出しています。つまり先生の人気に便乗することをやっているので、他社を悪く言うことはできません。大事なことは、こうして学習者にとって選択肢が増えることが韓国語の普及のためにとても望ましいということだと思います。

ただし、ネットから無料で学べる世の中にしてしまうと、紙の本を商売としている自分の首を絞めることになります。ブログ、メルマガ、ツイッター、インスタ、ユーチューブと、どうすれば次々現れる新しいメディアを自社のビジネスに役立てることができるかと、日々苦慮しているところです。