通信380「用言の見出し語が活用形になっている単語集」ペ・ジョンリョル

【週刊ハンガンネット通信】第380号 (2022年2月21日発行)

用言の見出し語が活用形になっている単語集
HANA  ペ・ジョンリョル
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単語集などで、見出し語に動詞や形容詞などの用言を示す際には、ほとんどの場合、基本形(辞書形)を掲載すると思います。ただし弊社で昨年出版した『hanaの韓国語単語 超入門編』という本では少し違う形を取りました。それは何かというと、用言の見出し語をヘヨ体現在形にしたのです。たとえば「가다」や「먹다」ではなく、「가요」「먹어요」を見出し語にしたわけです。

その狙いは、本のレベルが「超入門編」ということで、片言でもカタカナ発音でもすぐに口に出して使える形で読者に用言を覚えてもらおうということに尽きます。すぐに使えるためには「カダ」「モクタ」よりまず「カヨ」「モゴヨ」を覚えよということになります。

独学用教材はハムニダ体よりヘヨ体を先に学ぶものが多く、入門レベルの学習者はヘヨ体を見慣れているはずなので、ヘヨ体の見出し語に大きな違和感はないはずです。さらに基本形を意識しないのなら、変則活用は気になりません。また「カヨ」「モゴヨ」からは、「カッソヨ(갔어요=行きました)」「モゴッソヨ(먹었어요=食べました)」などの過去形を直接作りやすい。韓国の友達(同級生)たちと親しく話したい中高生や大学生にとっても、「カヨ」「モゴヨ」からヨを取って「カ(가=行くよ)」「モゴ(먹어=食べるよ)」などパンマルをすぐつくることができます。とはいえ、いずれ基本形に向き合う必要はあるので、本には基本形も小さく書いてあります。

独学書は飽きずに学んでもらえる工夫が必要ですし、この本は学習の入り口の本ということで、上記のような工夫を行ってみましたが、この試みがうまくいったかは分かりません。「見出し語がヘヨ体で書いてあるのが気に入りました」というネット書店のレビュー(若干1名)があったことはうれしく思いました。

読者の選択肢を広げるためのこのような単語集もありますが、韓国語の専門出版社としては、最初は遠回りでも長く使える知識をきちんと学んだ方が結局は近道で、学習者には早い段階から体系的な文法知識を身に付けてほしいというのが基本的な立場です。弊社には上記の本の他にもいくつかの単語集がありますが、それらすべて用言は基本形が見出し語です。

通信322 「文法項目の提示の仕方」 裵正烈

【週刊ハンガンネット通信】第322号 (2020年5月28日発行)

文法項目の提示の仕方
株式会社HANA 裵正烈
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今回は、本で韓国語の文法項目(語尾、表現、助詞など)やその訳を提示する際の弊社のルールについて書きたいと思います。もちろんこれがベストだとは思っていませんし、ちょっと悩んだのですが、改良すべき部分や整合性が取れない部分を指摘いただける機会とも思い取り上げることにしました。

■文法項目に対する約物の使い方
「約物」とは文章記号のことですが、ここではつまり、ハングルの語尾や助詞に「~」を付けるのか「ー」を付けるかという問題です。これに関しては割と簡単に考えています。

まず用言を受ける語尾や表現には半角ハイフンを用いています。つまり「用言語幹が付く場合はハイフン」ということです。例えば아/어の場合は-아/어(あるいは-아/-어)、지요の場合は-지요に、고 싶다の場合は-고 싶다になります。また、接頭辞や接尾辞の前後にも半角ハイフンを使っています。

上記以外、つまり「用言語幹以外が付く場合は『~』」になります。なので助詞에서の場合は「~에서」となります。ちなみにこの記号、全角のものは「波線(なみせん)」、半角のものは「チルダ」と呼ぶそうですが、弊社の現場では誰もそう呼ばず「ニョロ」で通っています(他の現場はこの限りでないと思います)。

なお、韓国の場合、助詞には「~」を使わず、たとえば에서は에서のままで提示するのが一般的なようです。学習書では、前に何かが来ることを明確に示せるので、「~」を使うのが親切だとは思いますが。

最後に弊社では、文法項目の日本語訳にはすべて全角の「~」を付けるようにしています。

■文法項目の日本語訳
次に文法項目の日本語訳をどう作るのかを見たいと思います。意味のことではなく形式についてです。口頭で伝えるときは問題はなくても、文章にまとめるとなると一定の決まりが必要かと思います。そういうときに辞書を参考にしようと思っても、その辞書内でばらついてることが結構あるんですね。

まず、動詞を受ける語尾・表現の訳には「する」を加えています。つまり-는 것 같다は「~するようだ」、-고 싶다は「~したい」になります。

次に、形容詞を受ける語尾・表現の訳は、日本語の形容詞と形容動詞をそれぞれ受けられる形を原則にしています。例えば-은데は「美しいね(形容詞)」「きれいだね(形容動詞)」になり得るので、「~(だ)ね」といった具合にです。

また、連体形語尾は、日本語では終止形語尾と区別が付かないので、例えば-을は「~する…、~な…」、-던は「~した…、~だった…、~かった…」のように「…」を補足しています。

2012年に出版された『標準韓国語文法辞典』(アルク刊)は弊社で編集を手掛けた辞典ですが、おおよそこのようなルールで見出し語の訳をまとめました。見出し語訳をきちんとそろえられるなら、日本語引きの索引を作ることもできます。『標準韓国語文法辞典』も「~するようだ」「~だね」のような日本語から引けるようになっています。