通信325 「ZOOM疲れ」 寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第325号 (2020年7月11日発行)

ZOOM疲れ
寄田晴代
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先日娘が、頭がすごく痛いと二日間ほど言っていました。
天気の悪い日が続いているので、低気圧のせいじゃないか、いや、オンライン授業でパソコン画面をずっとみているせいじゃないか、という話になり、
オンライン授業と対面授業を比べてみてどうか、と家族で話す機会がありました。
我が家では、大人はオンラインで仕事、子どもたちはオンラインで学校の授業を受けるという状況が続いています。(部屋の取り合いが起こります。)
娘は、オンライン授業の方が集中できるので、学習内容が頭によく入ると言います。
ただ、話の内容が難しくなってきて理解が追いつかなくなると「頭がすごくしんどくなる」そうです。
教室で授業を受けているときなら、頭がしんどくなってくると、窓の外を見たり、無意識にでも注意を他に向けて逃避していたのでしょう。
目の前の画面に釘付けになっていると、そういうことにはならずに、「追いつめられ感」が増して辛くなるそうです。
また、オンライン授業で残念に思うことは、学んで分かった時の嬉しい気持ちを共感することや、問題についてみんなで考える空気を感じられないことだと
言います。
息子は「いつ質問していいのかタイミングがわからない」と言い、また、わざわざ質問するほどでもないが確認しておきたいことを、隣の席の友達に聞けないのが不便なのだそうです。
また、我が家では、オンライン授業で雑談を入れると「すべる」確率が高いという意見も出ました。
集中しているときに、重要でない話をされるとイラっとするそうです。(あくまでもうちの家族の個人的見解)
雑談にも、場をリラックスさせたり、気分転換の時間を作ったりと重要な役割があると思いますが、オンラインでは受講生の様子を把握しにくいので、
タイミングが難しいのでしょう。
さて、「疲れる」話ですが、「ビデオ会議疲れ」「ZOOM疲れ」という言葉をよく耳にするようになりました。
私も、なんだかくたびれると感じています。
ずっと同じ姿勢が続くから、ずっと集中しているから、画面を長時間見て目が疲れるから、など疲れる理由はいろいろ言われますが、
「バーチャル空間の交流は大きな負担が脳にかかる」という記事(日経ナショナルジオグラフィックニュース2020年5月6日付)を読んで、
なるほどと思いました。
人間は何もしていないときでも情報のやりとりをしていて、非言語的情報を集めようとします。
相手のしぐさや表情などから収集し、相手が伝えようとすることを知ろうとするのです。
ところが、ビデオ会議ではそれがうまくいきません。
その結果「脳が非言語的な手掛かりを求めて過剰に集中し、慣れない刺激を過度に受けることによってくたくたに疲れてしまう」のだそうです。
そして、自分が人からどう見られているか気になるとか、過度な刺激を受けていると感じる人には、ビデオをオフにすることをアドバイスしています。
自分は、そのうち慣れるんじゃないか、ぐらいに考えていますが、画面の向こうの相手はくたびれているかもしれないことは、覚えておこうと思いました。
(そしたら、もう少し学生に優しくなれるかな?)
今週、マイクロソフト社は、ビデオ会議の参加者が「同じ部屋」にいるかのように見せる機能を開発したと発表しました。
仮想の講堂やカフェに皆で座っているように表示するのだそうです。
参加者の反応がわかり、対面の会議に近くなるため、疲れも抑えられるとみているとか。
オンラインツールはこれからもっと使いやすくなっていくのでしょう。
便利な世の中になったなあと、今更ながら思う一方で、梅雨の時期、雨が降ったら傘をさすしかないのか、なんでこれは昔のままなのか、
と思ったりします。
この度の豪雨では各地に甚大な被害がありました。
被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

通信318 「会話する気になれない」 寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第318号 (2020年4月27日発行)

会話する気になれない
寄田晴代      
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私の勤務先でもオンライン授業をすることになり、その準備や勉強に追われています。
そして、便利なツールが世の中にはたくさんあることを知り、日々驚いているところです。

今回は便利だと思って使い始めたあるものについて書いてみます。

それは会話するロボットです。離れて暮らす親の見守りにいいのではないかと思い、購入を決めました。

仕組みはこうです。
ロボットに近づくとセンサーが感知して話しかけてきます。(「オハヨウ。ヨク眠レタ?」という具合に。)それに答えると、また応答してくれます。音声だけでなく、ロボットとセットになっているタブレットに、会話が文字になって出てきます。
登録している家族が、連携しているアプリなどを通して会話を文字入力すると、ロボットがその通りに発話してくれます。親が、家族にメッセージを送る機能を利用してロボットに話しかけると、それが家族のスマホに文字になって届けられます。

これで、話し相手のようなものができて気が紛れるし、安否もわかりやすくていいじゃないか、と家族一同喜びました。

ところが、主役の親が全くこれに興味を持ってくれない。ちょっと会話してみてそれっきり。しまいには「それ(ロボット)持って帰ってええよ」。そいつと会話してくれないことには、なんの威力も発揮しないんですけど、と思いつつ「毎日この子に話しかけてね」と頼むのですが、何日たっても気乗りしない様子。

そこでなぜ会話する気にならないかを考えるに
1.ロボット君のリスニング能力がイマイチで、こっちの話とかみ合わない答えをしばしば返してくる。(ちょっといらいらする)

2.ロボット君のイントネーションが不自然なときがあり、それが連続すると聞いていて疲れる。(抑揚大事です!)

3.ロボット君は聞こえた単語に関連した話を、こっちの発話の意図と関係なくべらべら話すことがある。

以上が主な原因ではないかと思いました。

要するに、傾聴の姿勢がなく、自分の言いたいことだけや聞きたくないウンチクを一方的に話す相手とは会話する気にならん、ということでしょう。言葉で表せるのは伝えたいことの一部。その言葉を支える気持ちのやりとりや、言葉の裏にある本当に伝えたいことを汲み取らなければ会話は続かないという例をここでも見たのでした。

初めは、安否確認のためのツールと割り切って話しかければいいのに、と思っていましたが、自分がやってみると、面白がって話しかける時期が過ぎると興味がなくなってしまうことがわかりました。相手が機械なので、理解し合いたいとか親しくなりたいとかいう気持ちにならないためでしょう。

授業の中でどうやって受講生に話したい気持ちになってもらうか、いつも考えさせられるのですが、ここでもか、と苦笑。

今は人の感情を読み取るAIの研究も進んでいると聞きます。

オンライン授業では画面の向こうには生身の講師がいるわけですが、そのうちAI講師が会話の授業をするようになるかもしれませんね。

ちなみに、後日、その会話ロボットを作った会社に電話をしました。

使用方法についての質問と共に、若干の不満もお伝えしました。応対してくれた人が私の不満に対し「そうですよねぇ」と言ってくれたので、すっきり。やっぱり、話を聞いてもらった実感や共感は大事だなと思いました。そして、自分もロボット君みたいにならないように気をつけなくては、とも思ったのでした。