通信338 「通訳クラスのオンライン授業、3つの課題点」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第338号 (2020年11月16日発行)
通訳クラスのオンライン授業、3つの課題点
アイケーブリッジ外語学院 幡野 泉
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10月11日のハンガンネットセミナーで、教室参加の受講生と、
オンライン参加の受講生が共存するハイブリッド授業について話題になりました。

「(質を保つのが)なかなか難しい」という発言が多かったところ、
前田真彦先生が「工夫次第だ」とご一喝(?)。目の覚めるような思いがしました。

昨日のメアリの会はそのハイブリッド式の配信で行われるということで、
残念ながら私は参加できなかったのですが、スタッフが参加し、
勉強させていただきました。これから当校も工夫を重ねたいと思っています。

さて、最近、通訳クラスの先生から、「通訳者同士の勉強会で、
オンライン授業について取り上げるんだけれども、普段運営していて
気付く点があれば教えてほしい」と尋ねられました。
そこで、私から3つの課題点(問題点)をお伝えしました。

一つ目は、前田先生が前号で触れていらっしゃった「指示の明快さが必要」
という点です。以前、通訳クラスの受講生からこんな話を聞きました。

「自分の番で訳出しをしたら、’凄いですね!’と褒められた。
私はメモを見ながら訳出ししたのだが、どうやらメモを見ないで訳出し
するものだったらしい」と。

先生は指示を出したのに、受講生が聞き逃した、という可能性が大きいですが、
先生や受講生同士の微妙な目線や手元が見えないため、
サラッと言うだけだったりすると、このようなことが起こります。

二つ目は、先生がメモを取る手元が見えず、またメモ取りの雰囲気を
感じられないことです。通訳者のメモの取り方は独特です。紙の扱い方から、
そこにどのように情報を落とし込んでいるか(その過程を生で見られるか)。
スピード感から筆圧、そして「一言も聞き逃すまい!」という気合…。
これらはどうしても、同じ空間にいないと分かりません。

三つ目は、授業の前後のふとした受講生同士のやり取りができないことです。
例えば先生が教室に来る前に、「今日の課題、分からない単語だらけで
難しかったよ」と、受講生がポロッと言ったりする、すると他の受講生が、
「私はこんなサイト見つけて、サクサク準備出来たよ」と言う。
もしくは、授業後に「全然できなくて落ち込む…」とぼそっと言う受講生に対し、
「私もだよ、大丈夫!」と言ったりする、というようなふとしたやり取りですね。

通訳クラスに限らず、どのクラスも同じではありますが、通訳クラスのように
「楽しい」ばかりでない、先生から指摘されてなんぼのクラスはどうしても
落ち込むことが多く、それまで「上手、上手」と褒められてきた方々にとって
モチベーションの低下に繋がります。

もちろん、受講生カウンセリングや受講生だけのオンライン交流会などで
お話する機会を設けていますが、これだと「ふとした会話」になりにくい
んですよね。

いま通訳クラスは全オンライン開講ですが、コロナを抑え込むことができたら
教室での授業もまた復活させたいと思っています。

通信332「翻訳関連講座への関心の高まり」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第332号 (2020年9月7日発行)

翻訳関連講座への関心の高まり
アイケーブリッジ外語学院 幡野泉
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ふとGoogleを開いたら、「明らかに朝鮮半島関連の歴史上の誰か」
だと思われるイラストがトップに登場しました。
本日、9/7は、詩人、金素月氏の誕生日だそうです。

さて、zoomでのオンライン授業が板についてきたり、
前回の前田先生のコラムもそうですが、このコロナ禍でいろんな
受講形態が現れているようですね。

当校では、表題のように、翻訳関連の講座への問い合わせが
増えています。

当校の場合は字幕翻訳や映像翻訳に特化した授業になりますが、
昨今のドラマブームと、コロナ禍の在宅勤務、
そして、働き方改革による副業の奨励などいろんな要素が
相乗効果を起こし、「在宅で語学力を使ってできる仕事」への
関心が高まっているようです。

「翻訳」そのものに関しては、韓国語を習い始めたときから
誰もが行なっているので、(저는 일본 사람이에요. を、私は日本人です
と訳すだけで翻訳になる、という意味)私でもできるのでは、と、
たいていの人が思うかもしれません。

字幕翻訳、映像翻訳は、専門ソフトを扱わないといけませんし、
実のところ、それを仕事とするにはこれまた大変なわけですが、
でもやってみなければわからないし、何より新しい世界を知るのは
楽しいことです。自身に足りないところを知り、
諦めずに突き進んでほしいと思います。

字幕翻訳、映像翻訳に限って言えば、その世界を知れば知るほど、
世の中の海外コンテンツは、翻訳家の皆さんの弛まない努力、
そして視聴者への思いやりに溢れていることを感じることができます。
それがわかるだけでも、価値ある講座だと自負しています。

通信317 「’工夫(くふう)’で追いつかないこともある」 幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第317号 (2020年4月20日発行)

‘工夫(くふう)’で追いつかないこともある 
 アイケーブリッジ外語学院 幡野泉 
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緊急事態宣言を受け、当校は5/6まで学校施設使用を休止しています。
他の先生方はどうされているか……と、ここのところの通信、キムヒョングン先生、キムヨンウ先生、伊藤先生、前田先生のお教室のお話、興味深く読ませていただいています。

もともとレッスンにITを取り入れていた学校はこういう時に強いですよね。一方、もともとアナログ一本だった学校も、さすがに重い腰を持ち上げて奮闘している、という印象を受けます。

当校はまあまあIT化していましたが、アナログが大部分だったので受講生に理解を求めるところからやや苦戦を強いられるところもありますが、さすがに受講生側もこの状勢でライフスタイルに変化がでてきているようです。

コロナ騒動は長期化が予想されていますから、当校は腹をくくってオンライン化を進めていくつもりです。オンライン化すると、離れていく方もいらっしゃる半面、キムヨンウ先生もおっしゃっていたように、「オンラインだから参加できるようになった」という方も出てくるものですね。

また、ロシア語の通訳クラスの方で、「普段は仕事に追われて勉強ができないけれど、ちょうど仕事が軒並みキャンセルになったのでこの機会に勉強します」とおっしゃる方がいたり、韓国語の通訳クラスの方は、「仕事が不安定になり、収入に目途がたたないのでキャンセルします」というような方もいらっしゃいます。本当にいろいろです。

学校運営、学校経営に東日本大震災以来のかじ取り不安を抱えていますが、今回の騒動は、経営者として楽観視できないと思っています。

今回はこれまでのような「工夫(くふう)」「改善、改良」「試行錯誤」では追い付かないのではという部分もあるからです。

ハンガンネットの先生方は、学校に所属されている方、個人でお教室をされている方など様々な方かと思い、それぞれが不安や不安定さを抱えていると思いますが、当校のように、教室の家賃を払い、従業員を雇い……と運営している学校さんはどれくらいあるでしょう。日本全国の事業者が頭を抱えている部分です。

政府が、東京都がこんな支援をしようとしている、というような情報はとても気にしています。「工夫(くふう)」で追いつかないこともある」と、危機感を持ちつつ、上手に、この時期を乗り切っていきたいと思っています。