【週刊ハンガンネット通信】第435号 (2023年4月3日発行)
1年間
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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4月になりました。
学校年度としては2023年新年度の幕開けです。
私がもう何年も毎週欠かさず見ているテレビ番組にNHK Eテレの語学番組「ハングルッ!ナビ」と「中国語!ナビ」があります。
近年リニューアルされたので、正確にはその前身の番組からの継続視聴です。
見どころは様々ありますが、生徒役のモチベーションも見どころのひとつとなっています。
2022年度の「ハングルッ!ナビ」の生徒は、アイドルグループJO1のメンバーの河野純喜さんでした。3月最後の出演回のあいさつでは、「別にいま外国語をやらなくても日本語でコミュニケーションできる友人もいるし…」と学習当初はあまり積極的ではなかった心情を語り、ところが周囲のサポートもあって一大奮起し本気で勉強を重ねたことを感じさせてくれる内容を語っていました。そして自らで韓国語詞をつけて自身のグループの曲を韓国語で歌い、韓国のアイドルグループメンバーと中身の濃い韓国語会話をし、その成長ぶりに感動させられるエンディングとなっていました。
2022年度の「中国語!ナビ」の生徒役は前年度に引き続き2年連続抜擢のイモトアヤコさんでした。
生徒のやる気をあの手この手で番組が支えている印象の1年間でした。毎週週替わりでネイティブのゲストを呼んだり、「ようこそ先輩」というコーナーでは日本人の中国語学習者からその上達のコツを教わるなど、生徒のモチベーションにつなげようとする番組の努力を感じました。言い方を変えれば、とんでもなく贅沢に人件費を使って個人レッスンをした計2年間といった印象でした。
イモトさん卒業回で、ミュージカル舞台経験者である他の出演者がなぜか「英語」の歌で送り出すフィナーレはある意味衝撃的な語学番組のエンディングでした。
イモトさんを送り出したのち「中国語!ナビ」の最後の1回は、学習者の悩み相談(発音が難しい、単語が覚えられない等)という形をとって2023年新年度のNHKの中国語学習番組の番組宣伝となっていました。
その中でひとつ「へー」と思ったことがありました。
中級学習者向けラジオ番組「ステップアップ中国語」は2022年度から、前期(4月~9月)と後期(10月~3月)は全く同じ内容を放送しているということです。
記憶には「ワーキングメモリー(短期記憶)」と「長期記憶」があると説明し、外国語を使えるようになるのに必要な、短期記憶が長期記憶となるには、繰り返し接することが必要で、その効果を狙っての番組編成と説明していました。
ラジオ番組の半年スパンの1年間の放送内容が前後期どちらも同じというのは、テキストも年間半分のコストですんだり、学習者の進度のタイプによってはありがたく感じる人もいるアイデアかと思いました。
私も一部クラスでは、習った教科書で再度教科書前半からやり直すことをやっていますが、このクラスは、とうとう理解できた、覚えられたといった喜びが共有されていてクラスの雰囲気はとても良いです。
1年のうち半年ずつ2回全く同じ内容を繰り返す授業カリキュラムのあらかじめの告知は、週2回放送の中級学習者向けラジオ番組ならではでしょうが、繰り返しの大切さのメッセージは伝わります。