【週刊ハンガンネット通信】第233号 (2017年5月29日発行)
通訳案内士法改正にあたり~通じる韓国語を!
アイケーブリッジ外語学院 幡野泉
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5月26日(金)の参議院審議会で、通訳案内士法の改正案が可決されました。通訳案内士の資格がなくても、有償(給料をもらう)で外国人に対する観光案内ができるようになったのです。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6241324
有資格者の方にとっては複雑な思いもあるでしょうが、どちらかというと私はこの流れに賛成です。資格を取ってもガイド業務をしていないという方も少なくなく、ならば「日本の良いところを外国語で上手に紹介し、日本ファンを増やしたい!」という方にどんどんガイド業務をしてほしいと思います。
ガイドの質の低下を懸念する声もありますが、同時に審議された旅行業法では、旅行ツアーを登録制にし、悪質なツアーを取り締まることも審議されました。旅行業法の改正で、悪質なツアーやガイドを取り締まり、通訳案内士法の改正ではガイド業務に相応しい人材を発掘する方向で今後進んでいけば理想的だと思います。
さて、その「ガイド業務に相応しい人材」とは、どのような人材でしょうか。日本の地理歴史について詳しくて、それを外国語で語るのが上手くて、サービス業としてのマインドや気配り、そして体力もある人材、ということになるのでしょうが、結構ハードルが高いですよね(笑)。
現在、旅行業に携わる方々とお仕事をさせて頂いていますが、私が耳にすることでとても残念なこと、そして私たち外国語講師が知っていなければいけない現実として、
「日本人(日本語ネイティブ)の〇○語は分からない、という旅行者の声が多い」
ということでした。一言で「分からない」といっても、発音の問題なのか、内容の問題なのか、ここを探るにはかなりの検討を要します。
その国のいろんな地域からの観光客を相手にしないといけないので、子供からお年寄りまでと会話ができ、方言などにも対応できるとなると、やはりその国の言語ネイティブになるのでしょうか。
とにかく、通訳案内士法が改正になり、業界で求められているのは日本在住の対象国の言語ネイティブ(韓国語ガイドなら韓国語ネイティブ、ロシア語ガイドならロシア語ネイティブ)のようです。
日本語ネイティブの方で、「旅行ガイドになりたい!」且つ、「それなりのツアー(又は観光客相手)でガイド業務がしたい」という人は、この現実を知り、日本の地理歴史の知識をベースとし、それを韓国語ネイティブに負けないくらいの語彙、表現力、発音で語れる必要があるのですね。
と、以上は旅行業界的に、通訳案内士に代われる人材を語る場合の話。一方で、韓国語初級~中級の学習者が、知りうる単語や会話力、ジェスチャーを駆使しながら、「知り合いの日本旅行をサポートする」「駅や道端で困っている人に声をかける」ことは、心から応援し、推奨したいです。
どんなシチュエーションであれ共通するのは、日本旅行に満足してもらい、日本ファンを増やすこと!です。誰もがそのマインドを持って、外国人観光客を「おもてなし」していきたいですね。