通信373「新しい言語の学習」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第373号 (2021年11月24日発行)
新しい言語の学習
伊藤耕一
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私事で恐縮ですが、来月、マレーシアに旅立つこととなりました。
会社から転勤辞令を受けて以降、コロナウィルスの影響もあって相当の時間が経ちましたが、ようやく行けるようになりました。

マレーシア語を勉強し始めたことは以前の通信にも書きましたが、私は言語を専攻したためか、この言語自体の部分にも興味が向き、少し調べてみました。

マレー語はオーストロネシア語族に分類され、マレーシア、インドネシア、ブルネイ、シンガポールで国語とされています。
4カ国の人口を単純合算しても3億人を超えます。
4カ国の中には中国系やインド系の人も多数含まれているものの、言語人口で考えても世界有数ですね。

言語学的にはオーストロネシア語族は、台湾(北)~ニュージーランド(南)~イースター島(東)~マダガスカル(西)という広範囲に分布しているそうです。
このうち「ニュージーランド、イースター島」はピンと来るものがあります。
もうひとつ「ハワイ」を加えた三角形で囲まれた地域が「ポリネシア」ですが、この地域は文化的な共通性が見られます。
おそらく、船を使ってこの広大な地域を言語と文化が行き交ったのだろうと想像できます。

私が最初にマレーシア語で勉強した部分は「発音」ですが、発音自体はそれほど難しいとは思いませんでした。
韓国語のパッチムに当たる閉音節があったり、”H”の文字が来ると息を同時に出したり(韓国語の激音に近い)と、韓国語の経験を活かせる部分が結構あります。
ただし、韓国語の「連音化」や「鼻音化」に当たる音変化はないので、韓国語につられないように気を付けなければならない部分もあります。

「文法」は全貌を理解できていませんが、基本はこのような感じです。
・主語~述語~その他目的語等という語順が基本
・日本語の「です」に当たる言葉がない
(私:saya + 名前:Ito ⇒ Saya Ito. =私は伊藤です。)
・修飾語は後ろから修飾する。
(私:saya + 父:ayah ⇒ Ayah saya =私の父)
(私:saya + 父:ayah + 友人:kawan ⇒ Kawan ayah saya =私の父の友人)
・複数形や性はない。

「文字」はアルファベットを使います。

そして「本当かなあ?」と思ったテキストの例文をご紹介したいと思いました。
同じ単語を同じ語順で並べて文章を作った時、矢印の部分で抑揚を付けたり区切ったりすると、それぞれ異なる意味の文章になると言うのです。

「ibu:母」
「kucing:猫」
「itu:その」
「curi:盗む」
「ikan:魚」
「comel:小さい」

Ibu kucing itu curi ikan comel.↑ その猫の母は、小さい魚を盗みましたか?
Ibu kucing itu curi ikan↑ comel. その猫の母は魚を盗みました。かわいい。
Ibu kucing itu↑ curi ikan comel. その猫の母が、小さい魚を盗みました。
Ibu↑ kucing itu curi ikan comel. お母さん、その猫は小さい魚を盗みました。

この5つの単語をどのように発音し分ければ、4つの意味として聞き取ってもらえるのか、現地の人に聞いてみたりして調べてみようかと思います。

今回はコロナ禍での出入国となり、手続きや隔離など、めったにない体験をする機会に接することができそうです。
どのようなことが起きるのだろうかと不安半分興味半分ですが、新しい言語の学習の方も楽しんでみようと思っています。

通信372「코로나 이후 교실 수강생 형태의 변화」김현근

【週刊ハンガンネット通信】第372号 (2021年11月8日発行)
코로나 이후 교실 수강생 형태의 변화

미리내 한국어교실 대표 김현근
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안녕하세요.

지난 11월 7일 일요일에는 온라인으로 일본한국어학회가 있었습니다.
타이틀은 「온라인 시대의 ICT 교육에 관해서」였는데요, 제가 오후 1시 반부터 하는 라운드 테이블에 민간교실 대표로 참가하게 되었습니다.

학회라면 보통 대학교 교수님들이 발표로 하는 장이어서 민간교실을 운영하는 저로서는 어떤 이야기를 해야할지 고민이 됐는데, 현재 코로나 상황에서 대학과 고등학교 등의 교육기간 이외에 민간교실의 현황에 대해서 알려달라는 이야기를 듣고 발표 수락을 하게 되었습니다. 발표를 하고 나서 토론 시간에 한국어 학회에 ‘한강네트워크’에 대해서 소개를 할 수 있게 됐는데요. 그것은 하나의 성과라고 생각합니다.

日本韓国語学会: http://jakle.main.jp/

그런데, 이번에 발표를 하기 위해 저희교실의 현황을 코로나 전과 코로나 후로 비교해서 살펴보니 저도 몰랐던 사실을 새롭게 알게 되었습니다.

그것은 온라인 수업의 비중이 오프라인에 비해서 훨씬 많아졌다는 것입니다.
코로나가 생기기 전이었는 2019년만 해도 교실에서 이루어지는 수업이 대부분이었고 온라인으로 수업을 진행하는 경우는 개인레슨에 한해 그 또한 지방에 거주해서 교실에 올 수 없는 분들에 한해서만 할 수 있었습니다. 비율로는 오프라인이 85% 온라인이 15%를 차지했습니다.

그런데 코로나 후 지난달 10월의 수강생 수업 현황을 살펴보니 오프라인이 35%, 온라인이 65%로 온라인 수업이 훨씬 많이 늘어났다는 것을 알게 되었습니다. 게다가 이 추세는 긴급사태가 해제된 이후에도 변함이 없습니다.

현재 일본에서 코로나 확진자가 많이 줄었음에도 불구하고 교실에 오는 학생이 적은 이유로는 다음과 같이 두 가지를 들 수 있겠습니다.

1. 통학을 하던 학생들도 일단 온라인 수업을 들은 후 이동시간이 걸리지 않는 편리함에 눈을 뜸
2. 그룹레슨을 모두 온라인으로 모집함으로써 전국적으로 수강생이 확대됨

따라서 이 추세는 아마 내년에도 계속될 것 같고 코로나가 아마 종식이 된다고 하더라도 온라인 수업을 희망하는 추세는 꺾이지 않을 거라고 생각합니다.

교실에 따라서는 오프라인 수업으로 다시 돌아가려는 곳도 있겠습니다만, 저희 교실은 그룹레슨은 앞으로도 온라인 중심이 되지 않을까 싶습니다.

올해도 벌써 달력을 단 두 장만 남겨놓고 있는 상황에서 내년을 바라보고 무엇을 해야할 것인가 생각해 보면 역시 내년에도 온라인 수업을 좀 더 강화하는 방향으로 교재에 내실을 기하고 전국적으로 수강생들이 원하는 수업이 무엇인지 파악한 뒤 온라인으로 가능한 것을 중심으로 계획을 짜려고 합니다.
예를 들면 수강생의 레벨 체크 등을 온라인으로 받을 수 있도록 해서 언제, 어디서든지 한국어 강좌를 들을 수 있는 컨텐츠를 제대로 만들어 내는 게 중요하리라 생각합니다.

다른 교실의 선생님들은 올 한 해 어떻게 보내셨는지 궁금하네요.

시간이 정말 빨리 지나가는 가운데 개인적인 일이지만 한 가지 보고를 드리고자 합니다.

제가 미리내교실에서 운영하는 트위터(https://twitter.com/mirinaejp)에서 일본어 네이티브가 주로 틀리는 표현 등을 퀴즈로 냈었는데 올해 3월부터 출판사와 작업을 해서 이번에 출간하게 되었습니다. 책 이름은 クイズで学ぶ韓国語 – Asa出版입니다.
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제가 2010년부터 10년간 한국어를 가르치면서 파악했던 일본어 네이티브가 주로 틀리는 부분을 요약, 정리했습니다. 어려운 문법 책은 아니고 회화를 할 때 일본사람들이 틀리기 쉬운 표현을 회화와 함께 100가지 뽑아서 묶었으므로 레벨 관계 없이 보실 수 있으리라고 생각합니다. 관심이 있으신 분들은 한번 봐 주시기 바랍니다.

감사합니다.

通信371 「初の試み~翻訳大会」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第371号 (2021年11月1日発行)

初の試み~翻訳大会
アイケーブリッジ外語学院 幡野泉
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年末イベントを企画する時期になりました。ハキハキ、そして生き生きと発表されるミレ韓国語学院受講生の方々のスピーチ、記憶に新しいです。

さて、今年の当校の年末イベントは毎年恒例のスピーチ大会に加え、初の試みを実施することになりました。「翻訳大会」です。部門は3つ。日韓翻訳、韓日翻訳、映像字幕翻訳の3部門です。

ただ、すでに世に出ている作品を扱うとなると、課題となる作品の権利関係がやや気になりますよね。

そこで、日韓翻訳はとある出版社さんにご協力いただき、日本のエッセイの一部分を韓訳することになりました。中国語訳はすでに出ている書籍なのですが、韓国語はないので、作家さんご本人から「韓国語になるのが楽しみ」というお言葉をいただきました。

韓日翻訳は、当校講師がエッセイ風の文章を書きました。中級者でも辞書を引きながらチャレンジしようかなと思える文章レベルに調整しました。このあたりは韓国語の講師だと語彙の選択などでより良い工夫をしてくれます。

そして映像字幕翻訳の映像は、講師経由で制作会社さんに映像使用許可をいただきました。ただ訳を考えるだけでなく、字幕翻訳ソフトを使っていただき、イベント当日は映像とともに字幕を流します。当校で字幕翻訳を学んだものの、なかなかデビューができない方などが、実績作り、経験を積むためにチャレンジしてほしいと思っています。

スピーチ大会は、去年、画面の前だと発表する感覚が掴めないという意見があったため、発表する方は基本的に教室で発表し、配信、と考えています。もちろん、オンラインでの参加も可能としています。

年末ハイブリッドイベント、と題したイベントを成功に導くべく、講師・スタッフ一丸となって取り組みたいと思っています。

通信370 「オンライン時代のスピーチ大会」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第370号 (2021年10月25日発行)

オンライン時代のスピーチ大会
ミレ韓国語学院 前田真彦(まえだただひこ)
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12月11日(土)13時から、オンラインで実施します。
今回で11回目です。今まで大阪・東京2会場、土日2日連続でやっていました。
2年前からオンラインでの参加も可能にし、韓国から出演する人も出て来ました。

去年から100%オンラインにし、今回から、録画による参加もOKにしました。
出演者は募集枠の15人が集まり、締め切りました。15人中、2人が学生で、2人は録画参加です。

テーマは「その時私は変わった」。審査委員長は今年もイム・チュヒさんにお願いしました。
1人ずつ発表のあと、講評があるのがミレスピーチ大会の特徴です。

スピーチ大会は、ミレの年間行事の中でももっとも大きなイベントです。
普段の学習の成果を発表する場であり、出演することによって学習のレベルも一気に上がります。聞く人にとってもモチベーションアップの良い刺激になります。

2年前、幡野先生のアイケーブリッジさんのスピーチ大会を見学させてもらったのもよい思い出です。その時、「スピーチ大会にはその学院の個性が出る」ということをお話させてもらいました。スピーチ大会の運営の仕方、コメント、賞の出し方、採点講評の仕方、会場の雰囲気、出演者の発表内容などにも、その学院の個性が如実に出ます。

今回出演する皆さんの発表内容も個性的で面白いですよ。テーマがテーマだけに、韓国語学習途上の色んな失敗談や飛躍のきっかけが聞けて楽しいと思います。

スピーチ大会のオンライン実施は、本当に簡便です。会場を借りる必要もありませんし、舞台に出たり下がったりのロスタイムがないので、さくさく進みます。こんなに簡便なら、年に2回やってもいいかな、と思います。おまけに今回から録画参加もOKにしましたのでもっと敷居が下がりました。

今後は録画による、いろんなイベントを考えていきたいと思います。

オンライン時代のスピーチ大会、みなさんも一度見に来てください。観覧する人は顔出しなしだからもっと気楽に見られるはずですね。

https://youtu.be/dR-wHT3hbwg
あなたの火種はどこにある?ーTOPIK当日の朝に思うこと

通信369 「生徒力」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第369号 (2021年10月18日発行)

生徒力
日下隆博(くさかたかひろ)
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わたしは学生時代から数年間、音楽バンドのボーカルとしてライブステージに立っていたことから、ノリの良い観客の力を感じてきました。
ひるがえって、自分が観客の際にもステージ上のアーティストを盛り上げたい気持ちで声を出したりすることがあります。

そして現在、韓国語の授業でも生徒さんが場を盛り上げてくれることを意識し、それを実践することを促しています。

普段から「わたしは勉強が嫌い」と話す生徒さん。
-ㅂ니다/습니다 を学び終えた後の -아/어요 の学習時に、
「先生これでもう습니다 は忘れてもいいですよね!」
「ダメダメだめ~~!!」といった感じで盛り上がります。

数字はスーパーでの買い物など日常生活で使うことを授業で強調していますが、最近病院通いが増えた生徒さんは
「先生、血圧数値だけは韓国語で言えるようになりました。」
「素晴らしい~~!!」といった感じで盛り上がります。

生徒さんが場を盛り上げる方法のひとつとしては、教材の音声CDのオーバーアクション的発音をそのまま真似て発音した生徒さんには「主演女優賞!」などと言って大絶賛しています。

そうした効果もあってか究極の盛り上げ上手に、
私(日下)「잘생겼어요.は、どういう意味ですか?」
生徒「日下先生という意味です!」
私「大正解!!!!!」
といったものもありました。
韓国語単語を知っている人だけが大爆笑を共有できる回答で、
おおいに場が盛り上がります。

今回タイトルは「生徒力」と、わたしが勝手に作った一言ワードにしてみましたが、
現在放送中のNHK「テレビでハングル」の生徒役、満島真之介さんは
まさに生徒力を発揮して番組を大いに盛り上げている代表例と言えます。
先生でミュージシャンでもあるKさんがそれを引き出している部分もあり、
先生と生徒の学習する上での盛り上げ相乗効果がうまく発揮されている例に思います。

おもしろ発言を生徒側が楽しんでやってくれると、
授業というライブステージはさらに盛り上がり、そしてそれが、
脳を刺激し、語彙記憶にもつながっていく一助になればと思っています。

通信368 「オンラインスクールの1年を振り返って」裵正烈

【週刊ハンガンネット通信】第368号 (2021年10月11日発行)

オンラインスクールの1年を振り返って
株式会社HANA 裵正烈(ペ・ジョンリョル)
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弊社のHANA韓国語スクールでは、昨年9月からオンライン講座を始めました。ちょうど1年が経ちましたので、この1年を振り返りつつ、経験をいくつか共有したいと思います。

出版社である弊社が運営する当スクールには、社員や専属の韓国語教師はいません。授業は外部の先生に授業をお願いし、社員は講座担当として授業のサポートや実務を行っています。今年の3月までは私がスクールを担当しましたが、4月に社員が一人入社し、現在ではほぼ一人で運営に当たっています。授業ではオンライン会議システムZoomを利用しています。授業日には講座担当者がホストとして教室(会議室)を立ち上げます(そして講師を共同ホストに指名するかホストを交替する)。ひとたび授業が開始されたら、何かあったときにすぐ気付いて対応できる程度に授業をモニターしながら、他の業務を行っています。講師側のネット接続が悪くて授業が聞き苦しかったり、受講生側のネット接続が切れていつの間にか会議室から消えてしまったりするトラブルがときどきありますが、これまで授業がキャンセルになるような大きな事故はありませんでした。ただし通信状態が悪いとせっかくの授業が台無しになるので、講師・受講者の音声が明瞭か、画面が滑らかに表示されるかなどの確認には大いに気を使っています。担当者は、こうした授業のサポートの他に、講座の企画や先生との交渉、集客、受講生との連絡、配信物の送付などを行っています。

当スクールでは定員を8人としています。ただし、会話の授業では受講者6人までが限度だと感じています。一方で集客には苦労していて、1人も集まらず取りやめになった講座や、ギリギリの2人で開催した講座がいくつもありました。現在(10月)は9講座を進行しており、一定の売上が立ち、講師料を引いた粗利もそれなりに残るようになってきたのですが、担当社員の工数を考えると全体的にほとんど利益は出ていない状況です。1講座あたりのキャパシティの問題から利益を稼げる商売にはしづらいし、一方で、後述する集客の問題から「多売」に転じることもなかなか難しいと感じているのが現状です。講義や講演の形式でなら一度に参加できる人数を増やせるので、このような授業を混ぜることも一つの考えでしょうが、多人数になるとその分受講料を検討しないといけないでしょう。まだまだ試行錯誤は続きそうです。

受講者に聞くと、弊社のツイッターを見て講座の情報を知ったという人が多いですが、もちろん中には雑誌『hana』の愛読者も多くいると思われます(定期購読の発送作業をやっていると受講者のお名前をよく見掛けてうれしくなります)。当初、首都圏在住の参加者が圧倒的多数でしたが、半年くらい経つと全国各地からの受講者が増え、今では首都圏以外からの参加者が過半数を占める講座もよくあります。ただし海外からの参加というのがまだありません。またオンライン授業は教える側の講師も望む場所で授業を行えるのが利点ですが、現在開催中の講座の講師には、九州・博多在住の先生がいらっしゃいます。

授業を録画して後からたやすく閲覧できるという点は、オンライン授業のメリットです(先生にとってはちょっといやな機能かもしれませんね…)。当スクールの場合、Zoomの機能で授業動画をネット上(クラウド)に保存し、それを再生するリンクを授業翌日に受講生に知らせています。「自分の韓国語をテープに録音してチェックした」という習得者の経験談を聞いたことがありますが、オンライン授業だとすでにそのようなサービスがあるわけです。なお、録画を行うことについては募集時に明記しており、講座の初日にも「受講生に限り、次回の授業まで再生可能。各自のパソコンへの保存禁止」、つまりクラスの外部に録画は出ない・出させないということをあらかじめお知らせして、受講生の方の了解を得ています。授業を欠席した人はもちろん録画を見ることができますし、参加した人も大いに復習に利用されていらっしゃいます。

当スクールの場合、「入門・初級・初級2…」といった「コース型」の講座でなく、企画型の講座が主なので、講座を開くたびに受講者を集めなければいけません。講座に特色がなかったり、学習者に訴求する内容が欠けたりすると、たちどころに集客が難航します。出版社としてのHANAの名前があるので、他の学校の方からすると大変有利と思われるかもしれませんが、まだまだスクールの名前で受講者を集められるほどの力はありません。逆に、集客は講師の知名度や人気に明確に左右されます。こうした先生たちと接点があり交渉がしやすいという点では、雑誌を発行しているメリットを大いに利用しているいえます。

長くなりすぎたのでこのあたりで今回の投稿を終えようとしたのですが、出版社が運営している当スクールには他の教室・先生とは異なる面があると思いました。書きながら「あまり他の人の参考にはならないなあ」と思ったので、もう少しだけ話を続けたいと思います。

当スクールの体制上、担当者はいろんな先生の授業を見ることができます。多くの先生がオンライン授業の方法やZoomの機能を学習されて、新しいことを積極的に取り入れていらっしゃいます。逆にそうした機能に背を向けるような、でも印象に残る授業がありました。

教材の著者が講師を務める授業で、用いる方法はホワイトボードへの板書のみ。ホワイトボードを自分の右後に写るように配置し、講師自身はカメラにかなり寄り付き、画面の左前に映るポジションを取ります。授業中は、始終カメラをのぞき込むような位置で話し、必要に応じて板書を行い、それを背景にあるいは指しながら説明を行います。受講者が画面をスピーカーモード(発話者をメインに映すモード)にすると、常時目の前に先生の顔が大写しになり、先生が自分一人に個別に語り掛けているような感じになります。オンライン授業とはいえ、オンライン会議システムの機能はほとんど使わない(パソコン操作も一切しない)この授業を私は画面越しに見ましたが、すごい説得力がありました。そもそもその説得力の源は先生が持っている総合的な教授力にあるのでしょうが、オンライン授業に取り組んでいる人にも取り組んでいない人にも、オンライン会議システムの機能に頼らないこんなオンライン授業のスタイルがあるということをぜひ紹介したいと思った次第です。

通信367 「オンライン授業の前の雰囲気づくり」浅見綾子

【週刊ハンガンネット通信】第367号 (2021年10月4日発行)

オンライン授業の前の雰囲気づくり
株式会社HANA 浅見綾子
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アンニョンハセヨ。HANAの浅見綾子です。

私は韓国語学習者の立場でオンライン授業に個人的に参加することもあれば、
仕事上、編集の立場で授業を見学させていただくこともあります。

今日は授業の「雰囲気づくり」について感じたことを書きたいと思います。
今回はマンツーマンではなく複数人参加のグループレッスンで、
更には対面時代からの流れで既に仲の良いメンバーがいる授業ではなく、
知らない人同士の授業に限定して書きます。
また会話の授業ではない、試験対策や文法の授業でも雰囲気づくりは大切だと思っています。

授業を受けてみて、最終的に「満足した」と判断を下す理由はいくつかあると思います。
「先生の説明が分かりやすかった」「発言がたくさんできた」「当てられたことに答えられた」など他にも理由はたくさんあると思いますが、授業の内容云々の前に、クラスの雰囲気がどうだったかということが「満足した」と判断を下すのに大きく影響するのではないかと思っています。

これは授業回数が多ければ多いほど当てはまると思いますが、単発の1回~2回の授業でも「雰囲気づくり」は重要だと思っています。
この雰囲気づくりは先生の腕にかかっているわけですが、では雰囲気づくりとは何でしょうか。
・話しやすい、質問しやすい雰囲気を作る
・間違っても恥ずかしくない、傷つかない雰囲気を作る
・また授業の内容によっては話さないといけない雰囲気を作る
・カメラオンにしやすい雰囲気を作る
・ミュートを外しやすい雰囲気を作る

他にもあると思いますがざっとこんな感じでしょうか。
単発の授業なんかでは、先生の方も緊張しているのに生徒の緊張をほぐし、話しやすい環境を作るのは大変だと思います。
とはいえ、生徒の立場からすると、ガチガチのぎこちない雰囲気の中では、韓国語に集中したいのに他の色んなことが気になって授業に集中できなくなります。

集中講座などの短期講座に参加した際によく感じるのが、オンラインルームに入室してカメラオンなのかオフなのかということ。
最初から告知ページにカメラオンでお願いしますと書いてある場合は迷いませんが、そこに触れられてないとオンなのかオフなのか迷い、またどちらでもいいですよ、と言われると大抵はオフにするのではないでしょうか。
大人数参加のイベントなどではカメラオフはありがたいのですが、少人数の韓国語の授業でカメラオフだとどうも授業に参加しているという気持ちが下がってしまうような気がします。
とはいえ、自分がカメラオンにしたくとも、ほとんどの人がカメラオフだとどうもカメラオンにしづらい雰囲気があります。
ですので、最初から告知ページに明記しておいていただくか、先生は授業の最初に「カメラオンで参加してください」、どうしてもオンで参加できないという事情がある人のみオフにしてください、というようにカメラオンにしやすい雰囲気を作ってくださるとありがたいです。(もちろん、カメラオフの人が居づらい雰囲気を作ってはいけませんが。)

話しやすさについてですが、授業の内容によっては、ほとんど話す機会がない授業もあると思います。ですがそれでも、一緒に授業を受けている人がどんな人なのかというのは知りたいものです。授業の参加人数にもよりますが、10人以下程度でしたら、簡単な自己紹介を日本語でしてもらうのはいかがでしょうか。
韓国語だと逆に緊張してしまうかもしれませんし、時間がかかってしまいますので、日本語でパパッとでもやってもらえるとありがたいなと思うことがあります。相手がどんな人かがわかっている方が話しやすいです。

オンラインになってから、授業の雰囲気づくりはとても難しいですよね。
時々感じるのは、先生がとても学生さんに気を使っていて生徒の居心地の良さを優先しすぎたり、意見を聞きすぎかなと思うことがあります。
基本的に、生徒さんは自分と合う先生、好きな先生、興味のあることを教えてくださる先生、と前もって自分で選んで授業を受けているので、先生のカラーをどんどん出して、引っ張っていってくださっても全く問題ないと思います。
全ての個人的な意見です。

通信366 「発音苦労話」寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第366号 (2021年9月27日発行)
発音苦労話
寄田晴代
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昨日のハンガンネットセミナーには(第1部:発音クリニックリレーライブ 第2部:オンライン時代の教え方)40名を越える方々に参加していただき、盛況のうちに終えることができました。
ありがとうございました。
改めて「発音指導」への関心の強さを実感しました。

韓国語が母語でない私は、自分はできているのだろうか、というところがいつも気になります。ネイティブスピーカーのようにはいかなくても、講師としての信頼を得るためには、ある程度のレベルを習得していなければならないからです。
今日は、自分が学習者としての発音・イントネーションで苦労した話を書いてみます。

発音に関する思い出ならいくらでもあります。
韓国で、封筒(봉투)ください、と言ったのに、ボンドを渡されたり、タクシーの運転手さんに「明洞」と何回言っても通じなかったり。
(結局最後にはわかってもらえたのですが、運転手さんが「あ~,명동?」といったとき「私の発音と何が違うんだよっ!」と思ったのを
覚えています。)
「通じない発音」から脱却した後も「不自然な抑揚」が悩みの種でした。買い物に行って、一言話しただけで「日本人でしょ?」と言われるのです。(「釜山から来たの?」もよく言われました。関西アクセント韓国語だったんですね。)

韓国語の意思疎通では何も不自由がなかったのですが、日本人だとバレるのが嫌で、韓国に住んでいたときはタクシーに乗ったらほとんど口をききませんでした。家族そろってタクシーに乗る時も同じで、誰も口をききません。小学生の子どもたちまで、一言も話さず黙って窓の外を見ている。用があって話すときはひそひそ声。なんて不気味な家族を乗せてしまったんだ、と運転手さんは思ったことでしょう。

独学で韓国語を習得した私は、音声教材もほとんどない時代、一人で一生懸命音読を続けた結果、独自のイントネーションを身に着けていたと思われます。一方、韓国人と区別がつかないくらい、上手に韓国語を話す日本人の友人が身近にいたので、自分も練習すればそうなれるかも、と思って続けられたのでしょう。(その友人は日本人よりも韓国人と一緒にいる時間が断然長い人でした。)

ある時、知り合いの韓国人のおばさんにこう言われました。
「お笑い番組に、日本人の韓国語を真似をする芸人がいるんだけれど、あなたの話し方、その人にそっくりね。」
がーん。
悔しくて、練習に拍車がかかりました。やっぱり、自然に話せるようになりたいと思いました。
テレビを見ながら、ラジオを聴きながら、聞こえたものをずっと真似することを続けていました。
地下鉄の中で聞こえる会話も、大声で真似できないときは、ハミングで歌うようにイントネーションを真似していました。
(これが癖になり、日本人と話しているときもシャドーインしてしまうことも。)

学習者として飛躍したきっかけは私の場合「悔しさ」で、効き目があったのは「お手本に基づいたしつこい練習」でした。そして
後に教える立場になって韓国語の発音や抑揚に関する知識を本や講座から得て、実体験と合致し腑に落ちた、という感じです。

発音や抑揚を指導することは、こうして自分が練習を積んで身につけることとは、また違った難しさがあります。
学習者はどこまで指摘してほしいのか。通じればいいのか、もっと自然な発音や抑揚で話したいのか、人によって違うでしょう。
また、指導するときの表現、言い方にも配慮が欠かせません。
指摘内容は正しくても、伝え方を間違うと相手を傷つけたり、ストレスを与えたりしかねません。
特にオンライン授業だと、雰囲気を把握しにくかったり、授業後に相手の気持ちを修復する雑談などのチャンスがなかったりするので、対面よりも言葉に気をつけています。
でも、発音・抑揚ばかりは指摘してもらわないと一人で克服するのは難しいのですよね。

昨日の発音ライブ指導では、前田先生と金順玉先生の「明るく」「励まし」「テンポがいい」ご指導が印象的でした。

次回のハンガンネットセミナーは2月11日を予定しています。お楽しみに。

通信365 「ピアノのセンスと言語のセンス」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第365号 (2021年9月20日発行)
ピアノのセンスと言語のセンス
伊藤耕一
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私の土曜日の日課のひとつに「テレビ寺子屋」の視聴があります。
テレビ静岡制作の番組ですが、長野県では土曜日の5時半から放送されます。
頭がボーッとした朝の時間に、寺子屋講師のお話を聞くと、徐々に目が覚めてきます。

先日、ピアニストの樹原涼子さんの「センスの磨き方」というお話が放送されました。
音楽の世界の「センス」の話ですが、言語にも共通する部分があるなと興味深く聴きました。

この先生は子どもたちにピアノを教える時に、ピアノの音の減衰を聞かせるというのです。
ご存知のとおり、ピアノの鍵盤を叩いて音を出し、鍵盤から指を離さないようにしていると、徐々に音が小さくなってやがて消えていきます。
樹原さんはこの音がいつ消えるのかを子どもたちに聞かせて、消えたと思った時に手を挙げさせるそうです。
最初は音が消えきる前に手を挙げてしまう子供も、繰り返し聞かせると徐々に消えた瞬間に手を挙げることができるようになるとのこと。
これを樹原さんは「音楽教育で『センス』は、違いがわかることだと思っています。音の違いに『興味』を持つことがとても大切です。」とおっしゃっていました。
その後、複数の音を順番に「ド~ミ~ソ~」のように重ねて聞かせ、「~ド~ミ~ソ」の順に音が消えていくのを聞き分けられるようになった子供は、間違いなくピアノが上手になるとおっしゃっていました。
音楽ではこれが「センス」につながるそうです。
この基礎の「センス」が身についたら、「スタッカート(音と音を続けないで分離する演奏法)」や「レガート(音の切れ目を感じさせない演奏法)」などの技術を教えるのだそうです。

また、あることを言語化できる能力も「センス」を伸ばすのに必要とも話されていました。
「子どもたちはゲームやアニメのキャラクターの些細な違いも見逃さずに、名前や特徴の違いを認識しています。このとき質問をしてみるといいと思います。『言葉にすること』でセンスが伸びてきます。誰かに説明しようとすることで頭の中がどんどん整理されていくのです。まず興味を持つ、そして違いがわかって、それを言葉にしていく。すると良い循環が生まれてきます。音楽も勉強もスポーツも、どんなものでもこの循環に乗せてほしいと思います。」
この辺りは言葉の勉強そのものだと思いました。

先日の金英う先生の通信にもありった韓国人の「カ」と「ガ」の発音の傾向や、日本人の「카」と「까」の発音の傾向を言語化して説明できるまで学習したり、それを教えたりすることができたら、より深い理解につながるように思いました。

言語における「センス」には「発音」「文法」「作文」「対話」などの分野があります。
それぞれの分野を極めるには、どのように「センス」を磨いて行けば良いか、永遠のテーマのようですが、樹原さんのお話を聞いて、これを追求してみたいと思うようになりました。