通信456 「質に見合った料金設定」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第456号 (2023年9月11日発行)

「質に見合った料金設定」
アイケーブリッジ外語学院 幡野泉
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日下先生やぺさんが、検定試験の話題と共に、いくらだったら払うか等、学習とお金にまつわる話題を取り上げてくださったので、私も乗ろうと思います。

当校はプライベートレッスンの料金見直しを行い、10月よりアップすることにしました。18年間、変更せずに来ましたが、講師への謝礼をアップしたいというのが一番の理由です。

長い間プライベートレッスンを運営してきて、当校のレッスンシステムも改良を重ね、講師の実力も上がってきているのに、同じレッスン料金というのはどうだろうと、だいぶ前から思っていました。

『激安ニッポン』という書籍がベストセラーになっています。
物価が上がらない、人件費が上がらない、日本は(質に比べて)‘安い’国になっています。

韓国語講師を募集しても、以前ほど応募がありません。(就業を見据えた)留学先として、就職先として、日本は魅力を失ってきているのではないかと思います。

しかし、質の高いレッスンは提供し続けなければいけない、というジレンマでここのところとても悩んでいました。

私たち教育業界の人間は、また、日本人の傾向として?お金を頂くということに何か罪悪感のようなものを感じるでしょうか。学校の先生たちの「働き方」も社会問題になっていますね。

前も取り上げましたが、当校が制作したユーキャンの「はじめての韓国語講座」は、教科書が4冊、動画もついて、質問のサポートもあり、29,800円です。
あの労力を考えると、値段にマルをもう一つ付けたいくらいです。(ミリネさんご著書、HANAさんより出版された『hanaの韓国語単語<上級編>』も、もう一つマルを付けたいですね!)

「〇円以上は払えない」と言われてしまうと、なんだか悪いことをしているような、なんとも言えない気持ちになります。20年以上学院を運営している私でもそうです。

インターネットには無料レッスンや格安レッスンがあふれていますが、当校を選んでくださる方にはそれとは別物として、捉えていただきたいと思っています。

ハンガンネットの会員の皆さんは、経営に携わる側の方と、講師として働く側の方がいらっしゃると思います。お金の話はなかなか大っぴらに語ることができませんが、この何回か続いている投稿のように、できる範囲で情報交換ができたらいいですね。

通信455 「教え方も上達する」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第455号 (2023年9月4日発行)

「教え方も上達する」
ミレ韓国語学院 前田真彦
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当たり前のことですが、教え方も上達します。

ミレでは、「教え方の学校」金曜21時~、「韓国語教育ラボ」日曜16時~、
を毎週実施しています。

内容は大きく分けて2つ

1,韓国語の理解を深める (『韓国語概説』などを講読しています)
2,教え方の訓練 (10分間模擬授業・音声添削など)

それぞれ輪番制で私もその一人として発表しています。

受講生の教え方の成長ぶりを目の当たりにして感動しています。
ここでは10分間模擬授業について簡単に報告します。

指導案付きの10分間模擬授業を毎時間輪番制で実施しています。
受講生のみなさんは授業をした経験がありませんから、
最初は当然、みなさんお下手です。
学習指導案(教案)もまともに書けません。指導案の添削もします。
模擬授業の予行も別途することもあります。

そういう人が、毎回他の受講生の模擬授業を見、自分も数回模擬授業をやっているうちに、
次第に着実に腕を上げてくるのです。

授業の進め方、説明の仕方、指名、コメントなど、どんどんうまくなっていきます。
自信が付くと、声の張りも表情も変わってきます。

模擬授業であることを忘れ、私もその授業で一緒に学び、ポイントをメモしたり、
一受講生として質問したりするようになります。

授業のやり方は様々ですが、おさえないといけない基本のポイントはいくつかあり、その指導が必要です。
また切磋琢磨し、相互批評する仲間がいることも大切です。
そして回数をこなすことが何より必要です。

10分間模擬授業を毎週実施していると、
模擬授業にも順序があること(テーマによって難易度の違いがある)ということも分かってきました。

教え方のカリキュラムも作っていかなければなりません。

市民講座の講師養成は急務です。

通信454 「検定試験の勧め」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第454号 (2023年8月28日発行)

「検定試験の勧め」
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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生徒が全員主婦のグループレッスンにて、韓国語学習のモチベーションにと検定試験を勧めました。
「検定試験受付が始まりますね。申請してみてはどうですか。自分で思っているより少し上のレベルを狙うのもモチベーションアップにつながるかもしれませんよ。」

するとこんな答えが返ってきました。
「受験料って高いんですよー!絶対に受かる級じゃないと受けられません。」

なるほど、その視点が欠けていたかと気づきました。高い受験料、決してもったいないものにしたくないという心理。
クラスメート全員が共感します。「そうなんですよー」

そんな検定試験の受験料はいったいいくらなのか検索してみました。

ハングル能力検定試験
1級 10,000円
2級 7,000円
準2級 6,300円
3級 5,300円
4級 4,200円
5級 3,700円

また上記料金は2022年に改訂されたものでそれまでの料金はこちらだったようです。
1級 10,000円
2級 6,800円
準2級 5,800円
3級 4,800円
4級 3,700円
5級 3,200円

確かTOPIKはもう少し安かった印象がありましたが、いくらなのかこちらも検索してみました。

TOPIKⅡ 7,000円
TOPIKⅠ 5,000円

むむ?? TOPIKってこんな料金でしたか?
上記は2023年7月試験からの改定料金で、その前は、
TOPIKⅡ 6,000円
TOPIKⅠ 4,500円
だったということです。

ただ上記も2022年に改訂された料金で、その前は、
TOPIKⅡ 5,500円
TOPIKⅠ 4,000円

ただ上記も2021年に改訂された料金で、その前は、
TOPIKⅡ 4,000円
TOPIKⅠ 3,500円
だったということです。

TOPIKⅡの場合3年ほどの間に 4,000円→ 7,000円という値上げが行われていたのですね。
結構大胆な値上げペースに思います。

これらが高いか安いかは英語のTOEICや日本語のJLPTなどの試験や他国との比較なども必要かもしれません。

先の韓国語学習者主婦グループの場合、聞いてみたところ5千円以上になると気軽に受けられる値段ではないということです。
彼女たちにとっては検定試験合格が今後履歴書作成に必要な項目というわけでもないので、
モチベーションのためだけに5千円以上は難しい金額のようです。

これがそのまま主婦の学習者の一般的考えだと仮定すると、
TOPIKⅠ、TOPIKⅡ、ハングル能力検定3級以上は、今後主婦の受験者は減ることになりますが、さて実際はどうなのでしょうか。

幅広い年齢層の学習者が増えている韓国語ですが検定試験の今後の推移も気になるところです。

通信453 「学習の評価について」 田附和久

【週刊ハンガンネット通信】第453号 (2023年8月14日発行)

「学習の評価について 」 
田附和久
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私は、高等学校と一般市民対象の教室、それぞれで長く韓国語教育に携わってきました。同じ韓国語教育といっても、高校と一般対象の語学教室とでは多くの違いがありますが、もっとも大きく異なるのは、学習の評価に関する点です。

現在私は一般を対象とした教室では、定期試験等は実施しておらず、成績表を渡すこともしていませんが、学校では必ず学期末ごとに成績評価を行い、それを成績表の形で学校を通して本人に伝えなくてはなりません。学校の成績は、受講者のその後の進路、人生に大きな影響を与えるため、客観性、公平性が厳しく問われます。疑義が生じたときには、成績を算出した根拠をきちんと示さなくてはなりません。

高校の成績というと定期試験の結果に基づいた5段階もしくは10段階の評価・評定を思い起こす方が多いと思いますが、2022年度の学習指導要領改訂に伴い、日本全国の高校では昨年度入学生から全ての科目において「観点別学習状況の評価」(観点別評価)というものが導入されるようになりました(小・中学校ではすでに以前から導入されています)。これは、「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」の3観点別にそれぞれA・B・Cの3段階で評価し、それをもとに1~5の評定をつけるという評価法です。

この新しい観点別評価の背景には、従来の知識偏重の教育ではなく、知識及び技能の習得と、思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視した「主体的・対話的で深い学び」を目指すという新学習指導要領の基本方針があります。新学習指導要領では、知・徳・体にわたる「生きる力」を育むために、全ての教科が、①知識及び技能、②思考力、判断力、表現力等、③学びに向かう力、人間性等の3つの柱で再整理され、観点別評価の3観点もこれに基づいて設定されています。

観点別評価が基本方針として目指しているのは、①児童生徒の学習改善につながるものにしていくこと、②教師の指導改善につながるものにしていくこと、③これまで慣行として行われてきたことでも、必要性・妥当性が認められないものは見直していくこと、の3点です。企業で働いていらっしゃる方には古くから親しまれているPDCAサイクル(Plan
計画、Do 実行、Check 評価、Action 改善 の循環プロセス)が、近年では学校教育の現場でも強く意識されるようになっています。

ここまで長々と理念的な話を書きましたが、実際のところ、観点別評価の導入によって高校の教育現場がどのように変わったかといえば、正直な話、まだ評価法が確立せず、かなり多くの学校で混乱が見られているのが現状であろうと思われます。

いくら理念が立派でも(理念が立派であるだけに)、それを現実に実践しようとすると、多くの準備が必要となります。従来であれば、普段の小テストや授業態度等から算出される平常点と期末試験の点数との総合によって比較的機械的に成績を出すことができましたが、観点別評価を実施するためにはそれだけでは足りず、思考力、判断力、表現力を評価できるような課題や、主体的に学習に取り組む姿勢を評価する方法等をきちんと考えておかなくてはなりません。私が担当している韓国語の授業でも、通常の期末試験のほかに、おぼえた単語や表現を用い、思考力、判断力、表現力を発揮して発表を行ってもらう課題(例えば、ソウル旅行計画を作成して発表する等)を出題していますが、初学者の段階でそれだけの発表を行えるようにするためには、あらかじめ様々な仕掛けを用意しなくてはなりません。正直な話、授業準備の時間がいくらあっても足りないほどです。それでもまだ外国語は、こうした課題を作成しやすい科目であるように思います。体育や音楽等の実技中心科目の先生方は相当苦労されていることでしょう。一方で、教師の過重労働が問題となり学校でも働き方改革が叫ばれる中、多くの先生方がこれまで以上に時間のやりくりに困っているのが大半の現場の実状であるようです。

さて、冒頭で、私は一般対象の教室では現在定期試験実施に基づく学習評価は行っていないと書きましたが、一般対象の授業であっても学習評価自体はきちんと行い、その評価を受講者に伝えるべきだと考えています。正しい評価活動を通してこそ、学習者は自らの到達度や足りない点を理解して今後の学習改善につなげられるようになり、また教師も自らの指導の足りない点や弱い点をより正確に把握できるようになり、授業改善のためのPDCAサイクルが回り始めるようになるでしょう。

評価方法には工夫が必要です。大人の皆さんは、学校で行ってきたような試験の実施は嫌がる方が少なくありません。私も、可能な限り普段の授業のやり取り等を通して評価を行い、その結果を上手に受講者と共有する方法を模索しているのが現状です。

難しいけれどとても大切な学習評価を、皆さんは普段の授業においてどのように実施していらっしゃいますか。ぜひ皆さんの学習評価に対するお考えやご経験も紹介いただけるとうれしいです。

通信452 「夏休み前に…」奈良美香

【週刊ハンガンネット通信】第452号 (2023年8月7日発行)

「夏休み前に… 」 
下関市立大学 他 奈良美香
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時期的に期末試験の採点及び成績判定処理に追われる頭の痛い毎日となりました。期末試験の点数や平常点など、総合的に判断した結果、「不可」認定を与えなければならないケースの場合は、心が穏やかではありません。大学で授業を担当されている先生方は、同様な状況ではないでしょうか。

新学期がスタートする際に、毎回初回の授業で学生に「今学期の到達目標を決めよう!」というシートを作成させます。その内容は

① 今学期の到達目標を3つ書いてください。
② 目標を達成するための学習目標または方法を書いてください。
③ 自己紹介を書いてください。

上記の3つを作成後に、自己紹介も兼ねながら①の到達目標から一番に達成させたいもの1つだけ発表させ、「有限実行」できるように今学期終了までお互いに頑張りましょうと動機付けをし、15回目の最後の授業の際にその用紙を学生に返却し、振り返りシートを作成させます。授業開講時に設定した自身の到達目標を達成できたかどうか、反省点などの自己評価と授業に関しての感想も書いてもらいます。回収した内容には、「目標を2つは達成できた」、「授業の活動を通して簡単な文を韓国語で話せるようになった」、「読めるようになったが単語の意味を書くのは難しい」、「自分が当たるところを答えるのに必死で、他の問題の解説をまともに聞けてない」など、この作業を通して学生本人も、当初の目標設定時と現在の状況を比べ、今学期の韓国語学習に対して具体的に振り返ることができたようです。私自身も回収した内容から、授業への評価がわかり、励まされ今後の改善点などの参考になります。この結果をふまえ、後期からスタートする授業準備に備えたいと思いますが、いよいよ大学は夏休みに入ります。教養科目になると、後期の初日には、韓国語力がリセットされているケースがあるので、学生の韓国語学習のモチベーションがアップできるようなアプローチを考えないといけません。私の奮闘はまだまだ続きそうです。

猛暑が続きますので、先生方みな様もお身体にはご自愛くださいませ。

通信451 「ハン検1・2級受験者のための単語集を作りました」 ペ・ジョンリョル

【週刊ハンガンネット通信】第451号 (2023年8月1日発行)

「ハン検1・2級受験者のための単語集を作りました」
株式会社HANA ペ・ジョンリョル
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つい先日、544ページの本を校了しました。ハン検1・2級受験者を対象とした単語集『hanaの韓国語単語上級編 ハン検1・2級レベル』という本です。著者は本ネットワークの会員でもあるミリネ韓国語教室の金玄謹先生で、先生がご自身の学校で開催されてきた「ハングル検定1級・2級対策講座」の教材がベースになっています。

今回の単語集で取り上げた単語は5000語以上になります。まず固有語単語と韓日で漢字や用法が異なる漢字語(이재민[罹災民]=被災者、기상[気像]=気性など)を最優先に選び例文と例文訳、必要に応じて補足説明を加えました。その他、韓日で一致する漢字語や動植物名などは最短で覚えられるよう一覧掲載し、接辞、依存名詞、冠形詞も短い複数の用例とともに掲載しました。もちろんハングルと日本語の索引もあり、音声のダウンロードも可能です。

この本には、ハングル能力検定協会が発行する『合格トウミ上級編』の単語がほぼ網羅されています。本の設計にあたっては、字が小さくなりすぎないようにしつつも、1冊の本にいかに多くの語彙を効率的に入れられるかという点に気を配りました。その結果、B6判で544ページ、背幅26㎜の本になりましたが、必要なものはなんとかギリギリ収めることができたと思います。

弊社内に1人、ハン検1級所持者がいますが、検定試験の頂点ともいえるハン検1級合格のためには、この本で取り上げた上級単語に準2級以下の単語も加えたボキャブラリーが当然必要で、彼女はこれらすべてを覚えたそうです。ハン検の5級から準2級までの出題範囲は7000語弱(弊社調べ)なので、上級単語と合計すると、1万2000語くらいのボキャブラリーは必須とされるわけです。

本を作ってみてよくわかったことは、私が1級を受験したら確実に不合格になるということです。2級もあぶないと思いました。普段から韓国語を使って仕事をしてはいますが、だいたいわかったつもりになっているだけなのでしょう。1級に受かるくらいのボキャブラリーを身に付ければ、聞き取れる韓国語の「解像度」が高まるでしょうし意思疎通や読書、映画・ドラマ鑑賞などをもっと滑らかに進められるのは間違いないと思いました。久しぶりに学習意欲が湧いてきたので、本が出たら、自社のこの本で勉強しようと考えています。

ハン検のHP(https://hangul.or.jp/siken-top/pastexam/)に掲載されている今年春の出願者数を見ると、1級が120人(受験者106人、合格者20人)、2級が426人(受験者370人、合格者70人)とのこと。1・2級共に合格は狭き門ですが、前回は1級合格者が20人も出たと(多すぎると)話題になったそうです。

会社としては採算度外視の本ですが、いつかは元が取れるよう、今後検定上級の受験者が増加することを期待しています。本は8月12日頃から店頭に並ぶ予定です。

通信450 「第2回TOPIKフォーラムに行ってきました」浅見綾子

【週刊ハンガンネット通信】第450号 (2023年7月26日発行)

第2回TOPIKフォーラムに行ってきました
株式会社HANA 浅見綾子
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先日7月15日に開催された第2回TOPIKフォーラム「TOPIKの持続可能な発展に向けた多言語TESTとの比較―教育現場での活用を中心にー」に参加してきました。

TOPIKの教材を出している出版社としては非常に有益な情報をたくさん聞くことができてとても行って良かったです。

フォーラムは1部と2部に分かれて進行され、1部は運営者、教育者、学習者の観点からの「問題提起」、2部は韓国語以外の言語(英語、中国語、フランス語)のTESTについての紹介がありました。

まず1部パートでTOPIK運営者の方からのお話の中に知りたかった情報がたくさんありました。
・日本でのTOPIK試験の回数が現在の年3回から年4回になる
・年間の受験者数が4万人(2020年)に達した
・受験者の56%は20代、15%は10代、合わせて71%
・スピーキングの試験は会場確保が難しく、しばらくの間は日本では難しそう
などです。

今後は年間受験者数10万人を目指したいとのことで、期待していきたいところです。

私がもっとも興味深く聞いた発表は2部の新多了先生からのCEFR(セファール)に関するお話でした。

CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)とは、外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠のことで、言語の枠や国境を越えて、外国語の運用能力を同一の基準で測ることが出来る国際標準のことです。

英語だけでなく、日本語や中国語を含む全40言語で参照枠が提供されており、教材開発や教員研修、教育課程の改革など、あらゆるシーンで幅広く用いられているそうです。

CEFRの評価の基準は「その言語を使って具体的に何ができるのか」。それを6段階で評価します。
「ネイティブ・スピーカー」モデルではなく、「複言語者」モデルを目指すということをお話しされながら、これまでは「ネイティブ・スピーカー」のように話すことがよしとされていたところから、今後は「質」、その言語を使って何ができるのかが求められるとのことです。

CEFRで検索するとたくさん関連サイトが上がってくるのでぜひ調べてみてください。

通信449 「外国語が聞き取れる話の続き」寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第449号 (2023年7月22日発行)

外国語が聞き取れる話の続き
寄田晴代
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447号のハンガンネット通信「外国語が突然聞きとれるようになる瞬間」を読んで、韓国語が聞き取れるようになった瞬間を覚えているか?が、我が家で話題になりました。(レベルの差はあるが、うちの家族は韓国語が聞き取れる。)
家族メンバーAは、聞き取れるようになった瞬間は覚えていないけれど、自分が覚えた単語がドラマの中に出てきたときは「ホントにこうやって使うんやぁ」と感激したそうです。(学習に感激は強い味方ですね。)

メンバーBは英語が聞き取れるようになった瞬間を話してくれました。
毎日NBAの試合を英語の放送で見ていたおかげなんだそうです。当時、他にすることがなくて毎日毎日毎日毎日見ていたそうです。初めはアナウンサーが何を言っているのか全くわからなかったのですが、そのうち、選手の名前を言っている部分がわかるようになり、次にバスケットのルールに関する用語を言っている部分がわかるようになったそうです。これらは繰り返し出てくるのでわかるようになったらしいのですが、すると、その二つのパーツ以外の部分が、急に聞き取れるようになったというのです。
今まで切れ目すらわからなかった言葉が「選手名」と「バスケット用語」で区切られ、意味の固まりをつかむきっかけになったようです。

ところで、Bの韓国語の方はどうだったかというと、韓国に語学留学に行って3カ月くらいは全然上達しなかったようです。
それでも、聞き取れなくても韓国語で話しかけられれば、何でも「ケンチャナヨ」と笑顔で答えて韓国人の友人たちと交流していました。
ところがある時「『ケンチャナヨ』ってどういう意味かわかってるんですか?」と友人に言われてしまいます。(これを通訳したのは私でした。)
トンチンカンな使い方をしたのでしょう。こう言われて、Bはこのままではいけない、と思ったそうです。(その後、韓国語で仕事ができるくらいにまで上達できました。)
「失敗って効果あるよねー」と、この思い出話をしながら言っていたのですが、できれば失敗したくない大人になってしまったとも思ったのでした。

「作文力が上がれば聞き取り力も上がるのではないか。」という伊藤先生の「実験」結果を楽しみにしています。

通信448 「東京外国語大学での翻訳実習ワークショップ」加藤慧

【週刊ハンガンネット通信】第447号 (2023年7月10日発行)

東京外国語大学での翻訳実習ワークショップ 
加藤 慧
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ありがたいことにご縁をつないでいただき、東京外国語大学で、ゲストスピーカーとして学生さんたちとの交流を行うことになりました。
現在その準備に追われています。

朝鮮語専攻の学生対象の翻訳演習形式の授業の一環として、韓国文学翻訳院の支援で学期に一度翻訳家を招待し、学生たちと話し合う時間を設けることになっているそうです。

早速質問集をお送りいただいたのですが、さすがに鋭い質問が多かったです。
身が引き締まると同時に、翻訳への関心の高さを改めて感じました。

質問にあった内容を中心に、これまでの歩み、翻訳出版に至った経緯、翻訳で苦労・工夫したところ、文芸翻訳者のキャリアパス、そして今後の活動などについてお話しようと思っています。

今回渡韓を控えており、スケジュール的に余裕がなくオンラインでの実施となりましたが、それでもとても楽しみです。

講師としても翻訳者としてもまだまだ未熟者ですが、学生さんたちと近い目線で、少しでも役立つお話ができればと思っています。