通信438 「初学者の言語運用能力の状況」伊藤耕一

週刊ハンガンネット通信】第438号 (2023年4月24日発行)

初学者の言語運用能力の状況 
伊藤耕一
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マレーシアでは4月21日にラマダンが終わり、22日からハリラヤ休暇が始まりました。
ハリラヤは日本のお正月のようなもので、国全体がお休みモードに入ります。
公休日は2日しかありませんが、私の会社ではマレー人が従業員の95%程度を占めるためか、前後の土日を入れて10連休となります。
連休明けは日本のGWがあり、今回は長めの休暇を取ることができ、この通信を日本で書いています。

早いものでマレーシアに来て1年4ヶ月が経ちました。
今回は、私のマレー語の運用能力がどれほどになったか、恥ずかしながら振り返ってみたいと思います。

聞く力
マレーシアに来たとはいえ、普段の仕事は英語、買い物やちょっとした用足しも英語で済ませられるため、マレー語に接する機会はほとんどありません。
少しでもマレー語を聞く機会を持ちたいと思い、通勤時の車内ではマレー語のラジオを聞くようにしています。
繰り返し流れるCM、音楽を紹介する時のフレーズ、天気予報など定型的な言い回しは徐々に理解できるようになりました。
私にとっての外国語である英語と韓国語を覚えた時のことを思い出すと、会話の実践で最も役立ったのはリズム感と抑揚でした。
そこで、聞く時にはそこに注意を向けています。
最初は全く聞き取れなかったマレー語が、少しずつ聞き取れるようになってきました。
これは、ざるで砂利をすくった時に、最初は全てが零れ落ちていたのが、大きな石から順にざるに残るのに似ていると思っています。
時間をかければ、ざるの目がもっと細かくなり、零れ落ちる砂がだんだん少なくなっていくイメージを持ちながら、マレー語を聞き続けています。

話す力
日常のあいさつ、単文は語彙力の範囲で話せるようになりました。
会社では月に1回、スピーチの時間があるのですが、1〜2分程度の原稿を作り、それを読むことを続けています。
日本語で文章を書いて、それをGoogle翻訳でマレー語に変換します。便利な世の中になったものです。
翻訳されたマレー語が適切かどうかは、マレー語を英語に変換して確認します。
すると、経験的に全体の20%ほどは手直しが必要になるのですが、英語を修正してマレー語に変換、マレー語を日本語に変換、日本語を修正してマレー語に変換、マレー語を英語に変換…このような作業を数回繰り返すと、手直しが不要な程度の文章が出来上がります。
それを社員の皆さんの前で読むのですが、最初は目を細められたり、首を傾げられたりすることがありました。
最初の頃は単純な文章しか話さなかったので、ひとえに発音が悪かったのだと思います。
最近は、「おはようございます。元気ですか。」と言うとタイミング良く「元気です。」と返してくれたり、ウンウンと頷いてくれたり、伝わる言葉を喋れていることを実感します。
先日、社長とこのことについて話す機会があり「発音は問題なく、だいたい聞き取れる。」とおっしゃっていただけたので、とても嬉しくなりました。
みんなの前で話すことは、月に1回であっても話す力を着実に高めてくれることを実感します。
今後は語彙と言い回しを覚えて、原稿なしで話せるようになりたいと思います。

読む力
スピーチの効果だと思いますが、文字が書いてさえあれば、ゆっくりと文章を読むことはできます。
しかし、語彙力と文法力がなさ過ぎて何が書かれているのかは、分かる時と分からない時があります。
日本語の外来語のように、マレー語には英語由来の単語が多いので、読んで発音するとその音から意味を類推できることが結構あります。
これはハングルで書かれた文章から、音を頼りに漢字を類推して韓国語の意味を捉えるプロセスにも似ています。
実感するのは黙読して分からない時に、声に出して読むと分かる時があることです。
声に出すと、英語に似た音の単語を類推できたり、ラジオで聞いた音が思い出されたり、インプットされた単語やフレーズが頭の中から取り出されるような気がします。
改めて音読は効果的だなと実感します。

書く力
学生の頃のように、ノートに手書きする時間を今はなかなか取ることができず、書くことはほとんどできていません。
聞き取れた単語を書いても、綴りが間違っていることが多々あります。
パソコンで書く時には、英語や日本語はスペルチェックや校正機能が助けてくれるのですが、マレー語はほぼ全ての単語に波線が表示されてしまい、この機能の力を借りることもできません。
書く力はやはり、ペンとノートと時間を使い、地道に築き上げるしかないように思います。

私はマレー語について「聞く>話す>読む>書く」の順番で力を付けようと思っていましたが、現時点では「話す>聞く>読む>書く」の順番になっているようです。
これは、そこそこ適切な文章を手軽に入手できる自動翻訳機能と、話す機会に恵まれている環境のおかげだと思います。
30年以上前に私が韓国語を学び始めた時は「読む≒書く>聞く>話す」でした。
最も手軽な学習法は「読む」ことでした。
二番目に手軽な学習法は「書く」ことでしたが、辞書と文法の教科書を何度もひっくり返すことが必要でした。
しかも、書いた文章が正しいかどうかは、その場で自分では検証できません。
韓国語を聞くにはラジオやテレビを録音・録画したり、先生の音声が録音されたカセットテープを受け取ったりするしかなく、「聞く」は自分の環境(ラジカセやテレビや録画機を買う等)を整え、機会を逃さない姿勢(番組の録音・録画、先生に録音をお願いする、旅行に行く等)が必要でした。
話すことは、交通費をかけて誰かに会いに行く、電話で話すなどコストが高すぎ、学生の私には最も難しいものでした。

今はスマートフォンがあれば、動画を通じて聞くことができ、自分の音声を手軽に録音することができ、それをすぐに誰かに送ることができ、通話アプリで格安に会話ができ、音声も文字も瞬時に翻訳することができ、「聞く」こと「話す」ことの方が、やる気さえあれば安く簡単にできる時代になったように思います。
この30年で随分と環境が変わったものだなと、あらためて驚かされます。

学習歴が1年を超えた韓国語学習者の中には、私と同じような状況にある人がいるのではないかと思いながら、今回の通信を書いてみました。
皆様のご参考になれば幸いです。

ここからは余談ですが、日本に帰って来ていつも感動するのは、耳に入って来る音声のほとんどが聞き取れて理解できることです。
外国にいる時には空港の搭乗前のアナウンスでさえ「どの座席ゾーンに搭乗できる」と言ったのか、全神経を耳に集中させています。
日本ではさほど集中しなくても、何を言われたのか理解できるので、全集中する必要がなく、その分の脳みそのリソースをセーブできるような気がしています。
マレーシアに来て以来、恥ずかしながら、お酒も飲まないのに夜9時には猛烈に眠くなってしまいます。
全集中する必要がない分、日本ではもう少し夜遅くまで起きていられるのではないかと思い、連休中にそれを検証してみたいと思っています。

通信437 「学習者のすそ野を広げるために」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第437号 (2023年4月17日発行)

学習者のすそ野を広げるために
アイケーブリッジ外語学院 幡野 泉
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第434号のペ・ジョンリョルさんの通信「韓国語業界の世代交代 」には唸ってしまいました。当校も書籍の校正を依頼されることが多く、
「○○先生の原稿をチェックさせていただくなんて光栄だ」と身の引き締まる思いで業務に取り組んできましたが、ここ最近はぺさんのおっしゃるような原稿も少なくありません。

韓国語を学ぶ人が増えるように、これを手に取る人が迷わないようにと、やはり手を抜かずに取り組んでいますが、モヤモヤとしていたところ、ぺさんに言語化していただいた感じです。

さて、通信講座大手のユーキャンから「はじめての韓国語講座」がこの4月にリリースされました。こちらは当校が約1年かけて先生方と力を合わせて制作してきました。
https://www.u-can.co.jp/houjin/course/line_up/1813/

先方の要望を汲みながらなので、いろいろと折れながら進行しましたが、大変良い経験になり、思い出に残る1年でした。

テキスト1でハングルや発音を学び、テキスト2と3で基本文法と会話を学び、さらには旅行や食事、インターネットなどいろんなシチュエーションの生きた会話が載ったフレーズブックもあり、合計4冊のテキスト、しかも動画解説やウェブテストがつき、質問もすることができ……、2,980円×10回払いです。

先程申し上げたように、韓国語を学ぶ人が増えるように、韓国語学習の楽しさを感じてほしいという思い一つで取り組んできましたが、当校のレッスンと比べてしまうと(比べられないのですが)随分とリーズナブルだなぁと、思いは複雑に……(笑)。

しかし、学習者のすそ野が広がり、且つ当校のことを知っていただき、直接学びにいらしてくださる方が増えることを願いつつ、一方で、既存の受講生のレッスンをまずは充実させることも怠ってはいけないと、改めて感じています。

これからも多様になりつつある韓国語学習界を盛り上げていきたいと思います。

通信436 「指導案の書き方」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第436号 (2023年4月10日発行)

指導案の書き方
ミレ韓国語学院 前田真彦
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「指導案の書き方」

「教え方の学校」では、4月14日(金)21時~80分間、指導案の書き方の説明をし、その後実習をしてもらう。

指導案とは何か?

その授業の目的と方法・手順をはっきりさせ活動内容と留意点、時間配分を書く。
そして受講生の反応を予測して対策を立てる。

板書計画も大事だ。
どのように板書するのか、色の使い分けもあらかじめ考えないと黒(白)ばかりになってポイントの分かりにくい板書になってしまう。
(オンラインで板書の仕方もずいぶん変わったが書いて説明する基本は変わっていない。)

いうなれば授業のレシピだ。

これがないと、講師の知識を適当に羅列するだけで終わってしまう。

授業の準備の中で一番大事なものだ。

「教え方の学校」では授業の作り方を基本から実習を交えながら実施している。

見学に来てほしい。

通信435「1年間」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第435号 (2023年4月3日発行)

1年間
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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4月になりました。
学校年度としては2023年新年度の幕開けです。

私がもう何年も毎週欠かさず見ているテレビ番組にNHK Eテレの語学番組「ハングルッ!ナビ」と「中国語!ナビ」があります。
近年リニューアルされたので、正確にはその前身の番組からの継続視聴です。

見どころは様々ありますが、生徒役のモチベーションも見どころのひとつとなっています。

2022年度の「ハングルッ!ナビ」の生徒は、アイドルグループJO1のメンバーの河野純喜さんでした。3月最後の出演回のあいさつでは、「別にいま外国語をやらなくても日本語でコミュニケーションできる友人もいるし…」と学習当初はあまり積極的ではなかった心情を語り、ところが周囲のサポートもあって一大奮起し本気で勉強を重ねたことを感じさせてくれる内容を語っていました。そして自らで韓国語詞をつけて自身のグループの曲を韓国語で歌い、韓国のアイドルグループメンバーと中身の濃い韓国語会話をし、その成長ぶりに感動させられるエンディングとなっていました。

2022年度の「中国語!ナビ」の生徒役は前年度に引き続き2年連続抜擢のイモトアヤコさんでした。
生徒のやる気をあの手この手で番組が支えている印象の1年間でした。毎週週替わりでネイティブのゲストを呼んだり、「ようこそ先輩」というコーナーでは日本人の中国語学習者からその上達のコツを教わるなど、生徒のモチベーションにつなげようとする番組の努力を感じました。言い方を変えれば、とんでもなく贅沢に人件費を使って個人レッスンをした計2年間といった印象でした。
イモトさん卒業回で、ミュージカル舞台経験者である他の出演者がなぜか「英語」の歌で送り出すフィナーレはある意味衝撃的な語学番組のエンディングでした。

イモトさんを送り出したのち「中国語!ナビ」の最後の1回は、学習者の悩み相談(発音が難しい、単語が覚えられない等)という形をとって2023年新年度のNHKの中国語学習番組の番組宣伝となっていました。
その中でひとつ「へー」と思ったことがありました。

中級学習者向けラジオ番組「ステップアップ中国語」は2022年度から、前期(4月~9月)と後期(10月~3月)は全く同じ内容を放送しているということです。

記憶には「ワーキングメモリー(短期記憶)」と「長期記憶」があると説明し、外国語を使えるようになるのに必要な、短期記憶が長期記憶となるには、繰り返し接することが必要で、その効果を狙っての番組編成と説明していました。

ラジオ番組の半年スパンの1年間の放送内容が前後期どちらも同じというのは、テキストも年間半分のコストですんだり、学習者の進度のタイプによってはありがたく感じる人もいるアイデアかと思いました。

私も一部クラスでは、習った教科書で再度教科書前半からやり直すことをやっていますが、このクラスは、とうとう理解できた、覚えられたといった喜びが共有されていてクラスの雰囲気はとても良いです。

1年のうち半年ずつ2回全く同じ内容を繰り返す授業カリキュラムのあらかじめの告知は、週2回放送の中級学習者向けラジオ番組ならではでしょうが、繰り返しの大切さのメッセージは伝わります。

通信434 「韓国語業界の世代交代 」ペ・ジョンリョル

【週刊ハンガンネット通信】第434号 (2023年3月28日発行)

韓国語業界の世代交代 
株式会社HANA ペ・ジョンリョル
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某大学で教授を務められている先生から3月で定年退職されるとの連絡をいただきました。私が韓国語を手掛けるようになった20年ほど前、すでに韓国語の学習書を出版されていて、NHKテレビのハングル講座も担当されました。私も2002年に立ち上げたばかりの『韓国語ジャーナル』でずいぶんお世話になった方です。でも、ご退任のニュースを自社内で共有する際に、その先生を知らないスタッフが何人かいたので、どんな先生でどんな関わりがあったかを説明する必要がありました。

今年は「韓流20周年」に当たるとのこと。この韓流をきっかけに韓国語学習の一大ブームが起きました。当時から継続的に学習を続けている人は学習歴20年ということになりますが、弊社への読者ハガキなどで読者の学習歴を見ると、このブームをきっかけに韓国語を始めた(可能性のある人は)ごく少数です。これは今に始まった話ではなく、『韓国語学習ジャーナルhana』を創刊した2014年当時もそうでした。弊社の中上級レベル書籍の読者の中には、学習歴数年という人も結構います。

この20年の間に、教える方側も学ぶ側も絶え間なく世代交代しているわけです。制作する側もそうだと思います。その中にあって、幸いなことに私はいまだ現場との関わりが少しあります。それ以前の草創期に活躍された大先生たちとも仕事をする機会があったので、このまま元気に仕事を続けられれば、この分野の生き字引の一人になれるかもしれません。

何年か前にある出版社の知人に聞いた話ですが、その会社では企画書を出すとまず聞かれることが「著者はネットで有名なのか? フォロワーはどれだけいるのか?」だそうです。今は出版社がユーチューバーの人気に便乗して本を売る時代です。韓国語学習書も例外ではなく、ある大手出版社は、ユーチューバー、ブロガーなどのネットで人気のある人をどんどん起用し、韓国語学習書の分野でどんどん実績を上げています。

弊社は他の出版社の下請けの仕事もやっていたので、こうした本の校正依頼をよくいただきました。そうした仕事の中には、著者の方が原稿を書くことに慣れておらずなかなか大変なときもあります。やるからには手を抜かずに仕事するので、校正紙が文字通り「血の海(修正指示の赤字だらけ)」になるのですが、こうなると仕事としても手が掛かりすぎて割に合いませんし、それ以上に自社の最も貴重なリソースを浪費して競合商品の付加価値を高めてあげているようで、かなり複雑な心境になります(なので最近この手の仕事は断っています)。

もちろんネットで人気を集めている韓国語の先生の中にはしっかりした内容を配信されている方もいらっしゃいます。逆にユーチューブに新たな活動の場所を作ろうと積極的に行動されている「旧世代」の先生もいらっしゃいますね。HANAでもそういう先生の本を出しています。つまり先生の人気に便乗することをやっているので、他社を悪く言うことはできません。大事なことは、こうして学習者にとって選択肢が増えることが韓国語の普及のためにとても望ましいということだと思います。

ただし、ネットから無料で学べる世の中にしてしまうと、紙の本を商売としている自分の首を絞めることになります。ブログ、メルマガ、ツイッター、インスタ、ユーチューブと、どうすれば次々現れる新しいメディアを自社のビジネスに役立てることができるかと、日々苦慮しているところです。

通信433「韓国語学習者の学習目的はさまざま」浅見綾子

【週刊ハンガンネット通信】第433号 (2023年3月20日発行)

韓国語学習者の学習目的はさまざま
浅見綾子
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韓国語学習者の学習の目的はさまざまです。たとえば、
①「留学したい」「韓国語を使って仕事をしたい」「推しの話している内容を理解したい」など、ある程度上達することを目的としている、
②「韓国語を学ぶこと自体が楽しい」「週に一回韓国語教室で仲間に会って一緒に勉強することが楽しい」「韓国語を勉強している間は他のストレスの要因を忘れられる」など上達することが一番の目的ではない、
③「ルーティンとして勉強をこなしている」「勉強の後の飲みがメイン」など別の目的がある

いろんな方がさまざまな目的を持って、一緒の教室(オンライン含む)で学びます。または独学で韓国語を勉強をします。

いろんな目的の方がいる中、上達することを目的にしている人向け(がメイン)ばかりの進め方でいいのか、悩ましいところです。

ある学習者さんがこんなことをおっしゃられていました。
「短い期間で喋れるようになる秘訣の動画がよくあったり、検定何級をとったとか、留学するとかしたとか、翻訳通訳になるとか、韓国語を勉強していると言うと、それを活かす仕事をしないともったいないと言われたり、目標を掲げないと上達しないと言われたりします。だけど長く趣味として続けている、それだけで私はいいのです。」

別段上手くなることを目指していないという方がストレスを感じず勉強できる環境を作ることも考えないといけないですし、上達を目指している方がしっかり勉強できるような環境を作る配慮もないといけないですし、悩みは尽きないですね。

通信432 「豊富な語彙」寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第432号 (2023年3月17日発行)

豊富な語彙
寄田晴代
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子どもの卒業式で、保護者代表で先生方に感謝の挨拶をすることになりました。
いざ原稿を書き始めてみると、納得のいく表現がなかなか出てきません。自分が持っている日本語の語彙量はたいしたことないのかと、ちょっと悔しくなりました。
語彙で思い出したのは、アメリカに住んでいた韓国人の友人から聞いたことばです。
「ルームメートがユダヤ人だったので、私はたくさんの英語の単語が身についた。ユダヤ人は語彙が豊富なんだ。」
それが本当か嘘か知りませんが、民族によって語彙の豊富さに違いがあるの?と驚いた覚えがあります。
こんなことばも聞いたことがあります。
「ヨーロッパの人は何でもことばで説明できると思っている。特にドイツ人。」
ほんまかいな、と突っ込みたくなりました。
日本ではことばで言わなくても「察する」という文化があり、また、寡黙なことはそんなに否定的に見られないと思います。
たくさん話す必要がなく、SNSの短いメッセージのやり取りで済むのなら、少ない語彙でも事足りるでしょう。
他言語話者と比べて、日本語母語話者の語彙が多いのか少ないのかはわかりませんが、語彙が豊富だと自分の気持ちを相手に伝えるとき、とても良いことは確かです。
先日、怒りなどの不快な感情を解消する方法として、自分の気持ちを書き出す方法があると記事で読みました。
詳しくここでは述べませんが、「筆記開示法」というのだそうです。
そして、自分の感情を豊富な語彙できめ細かく表現できる人ほど、ストレスに強く、心身の健康状態を良好に保てる事実があるそうです。
語彙力が外国語習得だけでなく健康にも関わるとは、これは真剣に語彙力をつけなくてはと思わされますよね。

通信431 「韓国の子供向け教材」加藤慧

【週刊ハンガンネット通信】第431号 (2023年3月6日発行)

韓国の子供向け教材
加藤慧
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授業で韓国の教材を使用するとなると、多くが外国人学習者向けのものになると思いますが、私は個人レッスンで、韓国の子供向けの教材を利用しています。
小説やエッセイなどを読むにはまだちょっと早いくらいのレベルの受講生の方から大変好評です。

慣用句レッスンにはこちらの本を使用しています。

□문향숙 <국어 실력에 날개를 달아주는 우리말 관용구>(계림북스)

他にも、最近見つけて面白かった慣用句の教材をご紹介します。

□박수미 <초등 선생님이 뽑은 남다른 관용어>(다락원)
□곽영미 <도대체 뭐라고 말하지? 알쏭달쏭 관용 표현>(한솔수북)
□이규희 <오지랖과 시치미와 도루묵을 찾아라! 전통문화 속에 숨어 있는 재미난 우리말>(그린북)

韓国史レッスンでは、こちらの教材を一緒に読んでいます。

□황은희 <그림으로 보는 한국사 1~5>(계림북스)

絵も豊富ですし、比較的平易な韓国語で書かれているので、中級以上であれば十分読むことができます。

上記の本はいずれも電子書籍で日本からも簡単に入手できます。

子供向けとはいえ、検定試験上級レベルの単語も出てきますし、韓国の生のテキストを読めているという達成感を味わいながら、興味を持って読んでいただくことができるので、生きた韓国語が身につきやすいと感じています。

今後も面白そうな教材があれば、積極的に取り入れていきたいと思っています。
先生方のおすすめも、もしありましたら教えていただけるとうれしいです。

通信430 「電子帳簿保存法」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第430号 (2023年2月27日発行)

電子帳簿保存法
伊藤耕一
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今回は電子帳簿保存法について書いてみたいと思います。
こちらは前回書いたインボイスとは異なり、消費税の課税非課税は関係なく、個人を含む全ての事業者に影響があります。

これまでは「電子的に受け取った帳票類」を「電子的な形式のまま保管」しても「印刷して保管」してもOKでした。
ところが、来年2024年の1月1日以降は「電子的に受け取った帳票類は、電子的な形式のまま保管」しなければならなくなります。
※今回の通信の下書きをした後に「相当の理由がある場合は紙保存も事実上容認することを検討中」との情報を見つけました。「検討中」とのことですので「もし容認されなかったらどうしなければならないのか」という視点でお読みいただければと思います。

保存の手段としては電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引の3つがあり、整理すると次のとおりです。
①パソコン等で作成した帳簿書類を電子データで保存する「電子帳簿等保存」
⇒自分で電子的に作成した帳簿や請求書控えや領収書控えを紙に印刷することなく電子的に保存しておくことができます。
②紙で受け取った書類をスキャン/撮影して電子データで保存する「スキャナ保存」
⇒他社や取引先から受け取った紙の証憑類をファイリングすることなく、スキャン/撮影により電子的に保存しておくことができます。
⇒要件さえ満たせば、スキャン後の紙の証憑類は捨てることができます。
③メールやECサイト等で受け取った取引情報を電子データで保存する「電子取引」
⇒例えば〇mazon等のサイトで電子的に取得した請求書や領収書等は印刷してはならず、電子データのまま保存することが求められます。

上記のうち①と②は任意なのですが、③は強制であることに注意が必要です。

また、事業主として「事務処理規程」を作って用意しておく必要があります。
規程などと聞くと面倒そうですが、下記国税庁のページからダウンロードして自分の名前や法人名を書いて作っておけばOKとのことです。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm

最近よく見るテレビCMの「いよいよか!」は上記のことを指しています。

ここまでは、昨年のうちに下書きしてあったのですが、上記※印に書いたように、下記の情報を発見しました。
税務当局の本来の方向性は上記のとおりだったのですが、昨年11月に当局がやや軟化し「相当の理由がある場合」は、当面③は紙に印刷して保存しても良いことになったとのことです。
https://www.youtube.com/watch?v=cBwZDBdw7EQ

「相当の理由」とは「会計ソフト導入が資金的に難しい」といった理由でも良いそうです。
そういうわけで今までどおりのやり方でもOKになりそうですので、電子帳簿保存法に対しては、今すぐ何らかの行動を起こす必要はないように思います。
しかし、遅かれ早かれ③の紙印刷保存が禁止になることは予想できますので、徐々に電子データ保存に慣れたり移行したりすることはお勧めしたいと思います。

電子帳簿保存で当初言われていたのは「日付・取引先名・金額の3情報が検索できれば良い」だったので、私の場合は下記のような感じで保存してきました。
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しかし、売上5,000万円以下の事業者はこの検索情報の記載も不要になるとのことで、これまでの私の手間は何だったのかと思ったりもしました。

いろいろと書いてきましたが、個人で売上5,000万円は相当な水準なので、おそらくハンガンネットの会員の皆様のほとんどは電子帳簿保存法を今のところはいったん無視できるものと思います。

今回のテーマは、結果的には今までどおりのやり方でも良くなったようで、今後の経理処理の参考にしていただければと思います。
今回も「上記は税務当局との見解と合致しない可能性があることをご了承ください。」と申し添えます。