通信429 「今後の語学学校の在り方は~移転します」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第429号 (2023年2月20 日発行)

今後の語学学校の在り方は~移転します
アイケーブリッジ外語学院 幡野泉
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当校の入る虎ノ門一丁目地区が、東京都の都市開発区域に指定され、3月頭に移転することになりました。もう4年以上前から話があり、しかしその後のコロナ騒動などで延びに延びて、やっと移ることになりました。

移転先は、長く通ってくださる近所にお勤めの受講生や講師・スタッフに対する変化を最小限にとどめようと、同じ通り沿いの、歩いて数分のところになります。

移転先を考えるこの間、コロナ禍があり、語学学校の在り方についていろいろ思考するきっかけになりました。

極端なことを言うと、すべてオンライン授業にし、講師・スタッフもすべて在宅勤務にすれば、高い家賃を払って都心に事務所兼教室を構える必要はないのです。そういう学校、ビジネスモデルはたくさんありますね。

稼働していないときの空室は本当に無駄です。家賃という大きな固定費を払わなくて済むということを選択することもできるタイミングではありましたがやはり、コミュニケーションは人と人の直接の触れ合いがいちばん、オンラインでない出会いから生まれる情報量とシンパシーを大切にしたいという原点に立ち返り、対面授業ができる従来の教室を維持することにしました。

ただ、以前ほど対面授業は多くないので、教室数は今よりも減ります。それから、対面授業ができると同時に質の高いハイブリッド授業ができるような設備も整えようと、いろいろ調べているところです。移転を機に、効率が良く、受講生にとっても便の良い環境を整えることができるようにしたいと思います。移転をし、落ち着いたころには先生方にも是非いらしていただきたいです!

移転に際し、ホワイトボード、机、椅子…不要なものが出てきました。
不要なものは引っ越し業者さんが処分をしてくださる予定ですが、必要な先生方はいらっしゃいますでしょうか…。
改めて、写真付きでお知らせしますので、必要な先生におかれましてはご連絡を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いします!

通信428 「授業ストップモーションは今後の授業研修の中心になっていく」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第428号 (2023年2月13日発行)

授業ストップモーションは今後の授業研修の中心になっていく 
ミレ韓国語学院 前田真彦
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授業の研修で、以前もやったことがありますが、「授業ストップモーション」というのがあります。授業を録画して、それを先生方に見ていただきながら、ところどころ止めて、解説を挟んで行くというやり方で進めていきます。「この活動の意図は~」「ここはこういう点を注意しながらやったのですが、意外な反応が出ました」など、録画を見ながら授業者が解説し、参加者の意見を聞いていくのです。

以前は、ビデオカメラを準備して録画しなければなりませんでしたので、それだけでも大変な手間でした。

ですが最近はZOOMで授業をしながら、録画が簡単にできるようになりました。
「この活動の仕方は有効か?」「もっといい方法はないか?」
「自分はこうしているけれど、○○先生はどうしていますか?」
ということが、具体的に教室活動を見ながら行えるようになりました。

授業実践報告は、よほど目新しいことをしない限り、教室活動の実際が分かりにくいものです。模擬授業は有効ですが、受講生役の設定など一定の手間がいりますし、先生方が生徒役ですので臨場感が出にくいです(その改善策として、「ライブ授業」をやってきたわけです)。

それに対して、「授業ストップモーション」は日々の実践をそのまま研修の材料として生かせるので、今後の授業研修の中心になって行くのではないかと思います。

<注意点>
・受講生に内部資料として研修で使わせてもらう了解を得ること。
・日々の授業の記録なので、ともすれば、狙いのぼやけた活動になりかねない。
きちんと指導案を書き、意図的に構成された授業を対象とすること。

通信427 「4年前と変わったこと」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第427号 (2023年2月6日発行)

4年前と変わったこと
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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前回の私の執筆回(第419号)で出題した「パク・ウンビンさん、次のドラマはどちらを選ぶ?」クイズの答えです。^^
로맨스 vs 코미디
彼女の選択は 로맨스 でした。^^
考えてみてくださった方々、当たりましたでしょうか?

さて2023年も2月に入り、コロナ3年度の最終授業をむかえようとしています。
私が教えている専門学校では、
2020年度の、5月に入っても新年度の授業が始められない学年、
2021年度の、まだまだ対面授業予定がオンライン授業に変更の連絡が来る学年、を経て、
2022年度はすべて対面授業で行われた学年となりました。

専門学校では2022年度はすべての授業が対面で行われましたが、ふとコロナ前には行なわれていたあることが行われなかったことに気づきました。
それは年に一度行われていた地震防災訓練です。

この3年で学校がすっかり忘れてしまったのか、あるいは訓練の必要はなしと判断したのかはわかりません。
今年度新任の先生もいたはずですが、その人たちは地震発生時の生徒への指示行動を把握して授業をしていたかは疑問です。
どうもこの3年間は明らかに大規模自然災害の備えよりもコロナにかかりきりだったような気がします。

2011年3月11日の地震の経験者は、大きな学習をしていると思われます。そしてこの日をきっかけにするならば、これから起こる災害の備えができる期間は12年が経とうとしています。

そうした中、コロナ期に起こったトイレットペーパー買い占めは、デマであるとわかっていても冷静に行動できない人々と日常を共にしているということを目の当たりにし、この人たちは2011年の大地震を経験していないのだろうか、日ごろから数日分のトイレットペーパーの備えもしていないのだろうかと思ったものでした。
ちょうどこの時期ワーキングホリデーで日本にやって来た私の教え子(日本語学科の韓国人)が、アパートに着いたもののトイレットペーパーが買えなくて本当に困ったと話していたのを思い出します。

検温は毎日行いますが地震防災訓練は久しくしなくなった学校。コロナのことばかりでないがしろにされているものに気づく時、災害発生時の対応や避難経路など、身の回りを今一度再確認してみるのもよいのではないかと思いました。

通信426 「大量の本を収める本棚」裵正烈

【週刊ハンガンネット通信】第426号 (2023年1月30日発行)

大量の本を収める本棚
株式会社HANA 裵正烈
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弊社は韓国語の専門出版社ということもあり、気になる韓国語学習書、参考になりそうな韓国語学習書があったら参考資料としてちゅうちょせずに購入しています。また弊社の雑誌『韓国語学習ジャーナルhana』のインフォメーションページで本の紹介を行っていることもあって、多くの出版社さんからも新刊の見本が送られてきます。そういうこともあって、韓国語学習書の蔵書が増えており、年末にざっと数えてみたところ1000冊を越えていました。一方で日々増えていく本をどう収納していくのかという問題があります。今日は韓国語とはあまり関係のない、本棚のことについて少し書いてみたいと思います。

今日、本棚もしくは本棚になり得るさまざまな収納棚が市販されていますが、多くの本棚の奥行きは30cm以上あります。30cmという奥行きは結構なもので、私たちの狭い室内空間をさらに狭めます。30cmという奥行きは本を収めるにも広すぎて、本を置いた前の空きスペースにさらに本や物を並べることになりがちです。すると背表紙が見えなくなった奥の本がすぐに見つからなくなったり、奥の本を取り出すのに前の本や物をまずどかす手間が生じたります(取り出した本を戻すときも、さらに同じ手間が生じます)。

市販の本棚に関する私のもう一つの不満が、木くずや紙を接着材で固めた素材(板)にあります。ケミカルで長持ちしない、大量生産・大量消費の負の象徴のようなもので、時にわざわざ木肌のプリントを表面に施したりしているのを見て、そのチープな意図に嫌悪感を感じたりもします。

まあ、後者は個人の嗜好の問題なのでさておくとして、要は、余裕のない室内に大量の本をしっかり、機能的に保管できるぴったりの商品がないと常々感じているということです。そしていい商品がないのなら、自分で本棚を作ってしまうのが自分にとっての最適解の一つということになります。

語学学習書で一般的な本の判型と左右幅は、

B6判 12.8cm(CD付きのB6変型は13.1cm)
A5判 14.8cm
B5判 18.2cm

です。雑誌によく見られる大判のA4でも21cmなので、棚板の奥行きが20㎝程度の本棚を作れば、ほとんどの本が無駄なく収まります(奥行き30cmがいかに本に合っていないか分かっていただけるかと思います)。

それで弊社では、加工しやすいシナ合板(182X91cm)を幅20cmでカットしてもらい本棚を組みました。それを階段の脇などのスペースにぴったり合わせて設置しています(写真)。写真の4列の本棚には1000冊以上の韓国語学習書が収まっていますが、同様の本棚が一つ上の階の階段とフロアにもあります(これらは韓国語学習書以外で使用)。板の厚みは最初にお金をケチって1.5cmにしたので、すべてそれで統一しましたが、これはあきらかに失敗でした。1.8cm厚や2.1cm厚にすればより強固な本棚になったのにと後悔しています。

IMG_3080

なお会社の棚では合板を使用しましたが、自宅の本棚は1X8(ワンバイエイト=幅18.4cm、厚さ1.9cm、長さはいろいろ)という規格の使いやすく廉価な無垢板で作りました。好きなオイルやワックスで塗装を行い、無垢材本来の木目や質感、経年変化の味わいを楽しんでいます。

多くのホームセンターでは木材カットや電動工具、軽トラック貸し出しなどのサービスを提供しています。カットしたパーツを持ち帰って組み立てるだけなら、もちろん個人によりますが、作業自体の難易度はさほど高くはないはずです(組み立ての際、電気ドリルは必須)。手間はかかりますが、同等の市販品を買うよりは費用も安く済むと思います。

以上、私の本棚についての個人的な考えと経験を記しましたが、作り方についてはあまりにアバウトな説明だったかと思います。「清く正し本棚の作り方」というサイト(https://www.todaproduction.com/books/bkshelf/bkfrm.htm)には、上記のような本棚を作る根拠や方法がより具体的に説明されており、その内容は書籍化もされています。本棚の自作に興味がある方はぜひご参照ください。

通信425 「『韓国語学習ジャーナルhana』売れ筋の特集内容」 浅見綾子

【週刊ハンガンネット通信】第425号 (2023年1月24日発行)

『韓国語学習ジャーナルhana』売れ筋の特集内容
浅見綾子
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アンニョンハセヨ。
HANAの浅見綾子です。

弊社代表から『韓国語学習ジャーナルhana』の売上のエクセルが送られてきました。
明日会議があるのですが、何を言われるのかビクビクしております。

さて、『hana』も先日出版した最新号(2022年12月発売)で46冊になりました。
創刊号から35号までは弊社の代表が編集長を兼任し、36号からは私がバトンをもらい、現在まで『hana』の編集を担当しております。

これまでに特集した内容と売上を見ながら、よく頑張ったなあとしみじみ。
編集者はどの号も心を込めて(内心は売れてくれ~とも思いながら)作っていますが、可能であれば特集の内容に左右されず、一定量売れてくれるのを望んでいます。
そのためには読者の方に内容はどんなものであれ『hana』を買う、となっていただけるようにならなければならないので、ひたすら頑張るのみです。

これまでの特集は下記の通りで、『hana』では学習モノ(勉強法、学習情報など)と文化モノ(旅行、料理、映画)などをまんべんなく特集を組むようにしています。

hana実績

これまでの特集の中で、特に売れたものに★印を付けてみました。
★の着いているものを見るとほとんどが「学習モノ」です。
やはり『hana』は学習雑誌なので「学習モノ」が売れるのか、もしくは一般的に「学習」にはお金を出しやすいけど、「文化・趣味」に財布の紐は厳しく

なるのか。
ただ、「学習モノ」が売れるからと言って、学習モノばかりを出すと途端に学習モノまでが売れなくなってしまうという経験もしています。読者の心理を読むのは難しいものです。
売上にあまり振り回されず(そうは言ってられませんが)今後も学習者にとって有益な本を作っていきたと思います。

通信424 「 教科書選び」寄田晴代通信424

【週刊ハンガンネット通信】第424号 (2023年1月16日発行)

「 教科書選び」
寄田晴代
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新年になったと思ったら、もう1月も中旬。早いですね。
来年度の授業に向けて、準備も始まっていることとと思います。
準備の中で私が毎年悩むものの一つに教科書選びがあります。
毎年出る様々な新刊教科書を見ては、こんなのも使ってみたい、いや、去年と同じものでいこう、などど楽しみながら悩むのです。
みなさんは何を基準に教科書を選ばれるでしょうか。

受講者によって選ぶ教科書も変わってきますが、市民講座の場合は、1.字が小さすぎないこと、2.わかりやすい説明があるもの、をまず最初に探します。
市民講座では高齢の方もたくさんいらっしゃるので、字が読みやすい大きさであることが結構大事だと思っています。(字が小さいだけでストレスになるというのは、最近私も共感できるようになってきました。)

2.については、自分で予習復習するときに、教科書に説明がわかりやすく書いてあると助かる、と受講生の方々に言われたことがあるからです。こちらとしては授業で聞く説明を書き留めればいいのでは、と思っていたのですが、授業中に聞きながら書いて、考えて、というのは結構忙しいので、メモし損なったり聞き逃したりすることもあると気づきました。
教える側としては、文法の練習問題だけでなく、聞き取り問題や会話できる活動があると嬉しいのはもちろんですが、困るのは、未習事項が何の説明もなく突然文中に出てきたり、家族のことについて尋ねる活動が出てくるときです。

以前、敬語を学ぶ課で「お父さんは何のお仕事をなさっていますか」と尋ねる練習がありました。若い学生に「お父さんに会ったことないからわかりませーん」と言われてヒヤッとしたことがあります。それ以来、何の話題にしてもデリカシーのない質問にならないか気を配るようになりました。

また、学習内容とは直接関係ないように思われますが、挿絵も私は影響を受けます。私の場合、挿絵が気に入るとそのページのフレーズと一緒に頭に格納されるのです。楽しげな挿絵があると、学習内容が難しくないように思わせる効果があるのではないかとも思っています。
それからもう一つ、重い教科書は避けたい、と思うようになりました。
お正月を迎えるたびに、注文が増える自分を感じています。

通信423 「日本語の良さ、韓国語の良さ」加藤慧

【週刊ハンガンネット通信】第423号 (2023年1月9日発行)

日本語の良さ、韓国語の良さ
加藤慧
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昨年、韓ドラファンの方々の間で人気だった日本のドラマの脚本家の発言が、SNSで話題になりました。
ざっくり言うと「日本語の良さは他の言語に翻訳されたら意味が伝わらないから、自分の作品は日本人、日本語がわかる人に観てほしい」という趣旨の発言でした。
いろいろな意味で聞き捨てのならない排他的な発言だと思うと同時に、ことばを学び、教え、翻訳する身として、この「日本語の良さ」という部分について非常に考えさせられました。

日本語に限らず、すべての言語にはその国の言語でしか表現できないものや、その文化の人にしかわからない情緒というものがたしかにあると思います。
でもそのときに、その言語にしかないから「伝わらない」と切り捨ててしまうのではなく、ないからこそ歩み寄り、踏み込んでいきたいし、学習者の皆さんにもそうあってほしいです。

その言語にしかない〝なにか〟を少しでも理解したいからこそ、私たちは外国語を学ぶのだと思うのです。
このことは、韓国ドラマを字幕なしで直に聞き取りたい、推しのことばを通訳なしで聞き取りたいという動機で韓国語を学んでいる人が多いことを見ても明らかでしょう。
例え100%はわからなくても「この国ではこういう言い方をするのか」という味わい方をするのが、本当の意味で海外のコンテンツを楽しむということではないでしょうか。

それぞれの言語にはスペクトラムがあり、その違いが面白くもあり、翻訳するときの難しさでもあります。
韓国語にしかない表現、韓国語の良さ、美しさ——そしてそれを作っている韓国の方々の情緒まで、伝えられるような授業をしていきたいなと思いました。

通信422 「インボイス制度」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第422号 (2022年12月26日発行)

インボイス制度
伊藤耕一
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最近のGoogleを見ていると日本では「インボイス制度」について騒がしく記事がアップロードされています。
このインボイス制度、すでに消費税を納税している法人や個人(課税事業者)にとっては大きな影響がないのですが、消費税を納税していない法人や個人(非課税事業者)にはとても大きな影響があります。
語学教室を運営する皆さんにも無視できない影響があると思い、個人的に思うところを書いてみたいと思います。

そもそもインボイス制度がなぜ導入されるのかはいろいろな方が記事に書いているのでここでは省きますが、非課税事業者が受け取っている「益税」の排除が主目的と私は理解しています。
「益税」は現状では合法なのですが、来年10月からは「益税が発生し得ない仕組み」になり「益税が消滅」することになります。
「益税はずるい」と考える人も多く、その面では公平になるのですが、一方で非課税事業者がインボイス制度に沿った経理処理をしようとすると、経理の手間がかなり増えることになります。
この「経理の手間の増大」が問題と考える人もいて、この手間の増加を苦に感じ「廃業が増えるのでは」と心配する人がいたりします。
その一方で売り上げ要件に該当すればインボイス制度を無視することもできるのですが、その場合「仕事と売上を失う事業者」が出る恐れがあり、結果として「廃業が増えるのでは」と危惧する人がいたりします。
一般的にはこのような問題や心配があるのですが、語学教室を運営する法人や個人には具体的にどんな影響がありそうなのでしょうか。

課税事業者への影響
すでに消費税を納税している課税事業者には大きな影響はないのですが、大きくない影響としては下記のようなものが考えられます。
・「適格請求書(インボイス)」を発行しなければならない。(システムを使えば一定の手間は省けますが、システム利用料等が発生します。)
・非課税事業者と取引(講義を外注している講師が非課税事業者であるなど)すると、自身の消費税負担額が増える。(キャッシュフローが悪化する。)

非課税事業者への影響
課税事業者である語学学校等と業務委託契約等に基づいて講義する講師(非課税事業者)は、契約書に消費税金額が記載されていないことが多いと思います。
この場合「非課税事業者は消費税を受け取っていないと認識できる」「語学学校等は消費税を支払ったものとして経理処理できる(仕入税額控除)」という矛盾した経理処理が今は認められています。
この矛盾が「益税」の源泉です。
これが今後は次のように変わり、結果として大きな影響が出る可能性があります。

①非課税事業者が来年10月以降も非課税事業者であることを選択した場合
・非課税事業者は「適格請求書(インボイス)」を発行できないので「普通の請求書」を発行する。
・課税事業者は「普通の請求書」を受け取っても「仕入税額控除」できず、消費税の納税金額が増えキャッシュフローが悪化してしまうので、課税事業者は非課税事業者との取引をやめる可能性がある。
・または消費税分の値下げを非課税事業者に要請する可能性がある。
・非課税事業者は、取引停止による売上減少と値下げによる売上減少の影響を受ける可能性がある。

②非課税事業者が来年10月以降、課税事業者になることを選択した場合
・課税事業者となれば「適格請求書(インボイス)」を発行できる。
・課税事業者は「適格請求書(インボイス)」を受け取れば「仕入税額控除」できるので、顧客は取引(講師の依頼)を続ける可能性が高い。
・消費税が含まれた講師委託料を受け取っても、そのうちの10%は「預り消費税」であり、講師委託料の総額が同額である場合、実質的な売上金額(収入)は減少する可能性がある。
・経費(交通費や教材費)に含まれる「仮払消費税」と上記「預り消費税」を相殺する経理処理が新たに発生し、相殺後の消費税を納めなければならなくなる。(この相殺後の消費税が「益税」だった金額)
・この経理処理はかなりの手間がかかるので、新たに経理ソフトを使ったり、税理士にその処理をお願いしたりすると今までよりも経費が増え、手元に残るお金はその分減る。

「ずるい益税」は消滅しますが、課税事業者にも非課税事業者にも大小の影響があり、この影響が事業者の手間の増大や手元キャッシュの減少につながり、景気の冷え込みや廃業につながるのではないかと主張する人が増えてきたのが、騒がしい記事の原因だろうと思っています。
しかし、このような心配がある一方で、心配しないためには次のような方法も考えられます。

③非課税事業者を選択するが、顧客である学習者が全員個人である場合
・個人が受講料を支払う時は「仕入税額控除」する必要がないので、消費税が含まれているか含まれていないかは考えなくても良い。
・この場合、個々人から受講料を受け取った非課税事業者は受け取った全額を売上収入とすることができる。
・経理処理は今までと同様に、収入から費用を差し引くだけ。
・この場合はインボイス制度の影響を全く受けないため、心配する必要がない。
・課税事業者から講師を依頼されても戦略的に引き合いを断るという方法もあり得る。

④自身の講師としての存在が唯一無二であり、他に比肩する人がいない場合
これはある記事に書いてあったことですが「この先生に絶対に講師になって欲しい」といった優位性を持っている場合は、事実上インボイス制度を無視できます。
仮に顧客が課税事業者で「講師料について消費税分を安くして欲しい」と言われても「それなら仕事を引き受けません」と強く断ることができ、その課税事業者が自分以外の講師を探すことができないならば、成立するかも知れません。

⑤課税事業者を選択するが、さらに「簡易課税制度」を選択する
簡易課税制度は課税売上高が5,000万円以下の事業者が選択することができます。
語学講師は「第5種事業」に該当するものと思いますが「みなし仕入率が50%」とあるので、次のような計算となります。
仮に課税売上が500万円とします。
・500万円×10%=50万円(売上に係る消費税額)
・50万円×50%=25万円(仕入控除税額)
・50万円-25万円=25万円(納税額)
このケースでは25万円を消費税として納めることになります。
この制度は「仮払消費税と預り消費税を相殺」する必要がなく、経理処理を大幅に省くことができる一方、毎年必ず消費税を納めなくてはなりません。
ですが、経理処理に要する費用(事務員や経理ソフトや税理士の費用)と本則による消費税納税額の合計を比べ、これが25万円よりも大きいならば、メリットがあるかと思います。

インボイス制度を批判する声を受けて、政府では12月になって様々な軽減措置を決めています。
インボイス制度を解説する動画を見ると、その説明は複雑多岐にわたり、私もついて行けていない部分があります。
税理士の皆さんがいろいろな動画をアップロードされていますので、そちらをご覧いただくのも良いのではないかと思います。

結構、厄介で難しい問題なのですが、我々が選んだ政権が決めてしまったことなので、従うしかありません。
約束事で書かなければならないのですが「上記は税務当局との見解と合致しない可能性があることをご了承ください。」と申し添えます。

今年は皆様にとってどんな一年だったでしょうか。
来年が良い年になることを願っております。
どうぞ良いお年をお迎えください。

通信421 「シゴトの韓国語とジェンダー問題」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第422号 (2022年12月19日発行)

シゴトの韓国語とジェンダー問題
アイケーブリッジ外語学院 幡野泉
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先日、当校の出身生、受講生対象の年末イベントをオンライン形式で
開催しました。前田先生にいらして頂き、先週ご感想をお寄せ頂きました。
本当にありがとうございます。

また、先週末は前田先生の学院のスピーチ大会も拝見することができました。
熱い感動的なスピーチを聞かせていただきました。
これらの両学院の催しについて感想を述べる機会があればと思います。

さて、本日は表題のテーマを書きたいと思います。

先日メールマガジン417号でHANAの浅見さんが最新号『韓国語ジャーナル
hana Vol.46』の特集「初めてのビジネス韓国語」について書かれていました。

水平的呼称システムのこと、韓国語での面接のことなど(先日、ワーホリに
行く当校受講生の方がネットで韓国での仕事を探していると言っていました)、
時代はどんどん変化し、それに伴いビジネスマナーや言葉も変わりつつ
ありますね。

ハッとさせられることや初めて知るような情報、言葉もあり、これまで
なかった視点を持つことができました。

そして、特集の最後に、拙著『シゴトの韓国語』をご紹介くださっています。
本当にありがとうございます。

初代シゴトの韓国語を出版したのは約20年前。現在発売中のものは、
約10年前に改変を行い、新たに出版し直しました。基礎編、応用編ともに
細々と…なんとか3刷まで販を重ねました。

増刷するたびに修正すべき・したい点を出版社に伝えるのですが、それは
CD音声に関わらない部分に限られるため(最近の書籍は音声ダウンロード
等なので変わってきていると思いますが)、ここ数年、直したい
(削除したい)のにそれができず、ずっと悩んでいることがあります。

たとえば、ここに書くのもお恥ずかしいのですが、

사모님이 미인이시네요.

というような文章です。敬語を教えることが目的の文章ではありますが、
以前はそのように褒めたりするのが潤滑油になったりすることもあり
載せたと思います。

しかし、近年のジェンダー問題などを考えたとき、この例文に潜む
様々な違和感については、言うまでもありません。

ビジネスマナーや言葉遣いの更新以前に、このあたりを取り残したままに
してはいけないと思っています。

いろいろなハードルはありますが、ここに書いたからには…!ということで、
出版社の担当編集者さんと真剣に話し合おうと思います。是非、先生方の
お知恵もお貸しください。