通信526「2025年3月の韓国」加藤慧

【週刊ハンガンネット通信】第526号 (2025年3月24日発行)

「2025年3月の韓国」 加藤慧
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前回の伊藤先生の通信で、韓国に行きたくなった方も多いのではないでしょうか。偶然にも、私の今回の通信も韓国旅行についてです。

先日一年半ぶりに韓国に行ってきました。最初の目的地は光州。仁川空港から高速バスで向かいました。光州市は私の住む仙台市と姉妹都市でもあり、いつか行ってみたいとずっと思っていた都市です。昨年ノーベル文学賞を受賞した作家ハン・ガンさんの『少年が来る』を読んでその思いはますます強まり、次の渡韓では必ず行こうと決めていました。

「光州事件」の現場となった場所のなかでも、特に全日ビル245に残る245発の弾痕は大変生々しく、ことの恐ろしさを物語っています。こうした歴史があるからこその、昨年12月3日のあの速やかな議員たちと市民の行動があったのだと改めて実感しました。ビルには「광주가 왔다! 파면이 온다!」 という垂れ幕がかけられていました。

その後KTXで移動したソウルでは、今度は途端に弾劾に反対する横断幕が目につきはじめました。たまたま市庁駅付近に行く用事があったのですが、太極旗と星条旗を持った大統領弾劾反対派の人たちが集まり、なかには泣き叫んでいる人もいたりと、異様な雰囲気が漂っていました。若い人は少なく、ほとんどが年配の人でした。

そこから光化門の教保文庫に移動しようとすると、警察のバスで道路が完全にブロックされており、地下を通るしかありません。週末だったこともあり、警察官も多く動員されていて、緊張感のある雰囲気が漂っていました。

教保文庫に入ると、ようやくたどり着けた変わらない景色に一安心という感じでした。買い物を終え、今度は弾劾賛成派の集会が行われている光化門前に移動しましたが、こちらは一転、若者が多く、ペンライトを振りながら明るく連帯する雰囲気です。一緒にいた韓国人の友人と夫とともに行進に参加しました。少し前に目にした光景とのあまりの雰囲気の違いに、道路を隔てる警察バスの車両が、そのまま韓国社会の分断を象徴しているように感じました。

メディアやYouTubeなどには偏った情報が多く、心配になることもありますが、今回光州、そしてソウルで感じたことを、授業のなかでもしっかり伝えていかなければと思いました。また、韓国の友人が韓国文化や社会の今を日本語で発信するPodcastを配信しており、「光州事件」やその後の政治ニュースについても詳しくとりあげているので、こちらも生徒さんたちにおすすめしています。
https://www.youtube.com/@seoul2sendai
先生方にもご視聴の上、ぜひ生徒さま方にご紹介いただきたいです。

今回肌で感じた2025年3月の韓国の空気は、きっと忘れないことでしょう。一日も早く、韓国社会に再び平穏が訪れることを願うばかりです。

通信525「地球の歩き方」伊藤 耕一

【週刊ハンガンネット通信】第525号 (2025年3月17日発行)

「地球の歩き方」 伊藤耕一
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先日、実家に帰った時に「地球の歩き方 韓国 ’92〜’93版」を見つけました。今から32年前、私が学生の時に買った本です。私が初めて韓国に行ったのは1993年の夏、大学3年を修了し休学中の時でした。

まず思い出したのは、初めての韓国で食べた食事です。ガイドブックにあるものを端から試して食べました。
갈비탕, 설렁탕, 곰탕, 해장국, 매운탕, 떡국, 냉면, 칼국수, 삼계탕, 비빔밥, 순두부찌개…
辛いのか辛くないのかよく分からずに注文し、辛さに悶絶したこともありました。

当時は金浦空港に降り立って、ソウルまで路線バスで移動したことを思い出しました。最初に支払ったウォンだったせいか、うっすらと記憶があり「確か500ウォンくらいだったのでは」と思い、ペラペラとページをめくると「空港バス 料金:W580 ワンマンバスなので、運賃は乗車時に支払う。」と書いてありました。学生だったので、時間よりもお金を優先する旅でした。

この時は同級生が語学堂に留学中で、彼と待ち合わせて半日ほどソウル市内を案内してもらいました。「バスに乗るので『トークン』を買った方が良い。」と教えてもらい、キオスクのおばちゃんから買いました。穴の開いたコインを乗るたびに料金箱に入れて「とても合理的な支払い方だ。」などと当時は思っていました。当時の日本の路線バスは160円とか180円を現金で料金箱に入れていて、いちいち両替が必要でしたので、トークンというシステムにはとても感心しました。

都市間の移動は統一号という急行列車を利用しました。ソウル⇒温陽⇒全州⇒麗水⇒忠武⇒鎮海⇒釜山⇒大田⇒ソウルと移動し、2週間ほど旅したような記憶があります。当時は、李舜臣のことをテーマに卒業論文を書こうと考えていて、ゆかりの地を訪ねようと考えていました。

セマウル号や無窮花号は高いと思って統一号を使ったのですが、ソウル⇔釜山間の値段はこのように書かれています。
セマウル号:W16,400(250分)、ムグンファ号:W9,000(290分)、トンイル号:W6,600(326分)。
ソウル⇔釜山間が当時のレートで約1,000円、5時間半の旅だったことに改めて驚きます。
今のKTXはW59,800(最速135分)とのことで、隔世の感を感じます。

麗水⇒忠武の移動は엔젤호という高速船に乗りました。亀甲船が行き交ったという海域の美しさは忘れられません。

時間を見つけて、韓国に旅に出たくなってきました。

通信524「上級者を指導者として育てることから生まれる好循環」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第524号 (2025年3月10日発行)

「上級者を指導者として育てることから生まれる好循環」
アイケーブリッジ外語学院 幡野 泉
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先週のハンガンネットメルマガで前田真彦先生が触れられていましたが、3/2(日)に開催されたハンガンネットセミナーは大変有意義でした。

まず、ミレ韓国語学院さんで「毎日一文録音マラソン」を受講している受講生の音声を聴き、それをミレさんの、前田先生でない講師の方がどうフィードバックしているのか、そのフィードバックの音声(も)聴く、というものでした。

受講生と講師、両方の音声という豊富なサンプルをご用意くださった前田先生、ミレ韓国語学院の講師の方々、そして受講生の方、どうもありがとうございました。

ミレさんではこのように講師として添削指導にあたる日本語話者の方々を育てていらっしゃるということで、頭が下がる思いがしました。

上級者を指導者として育てて、韓国語で仕事をする人を増やし、ご自身が苦労して身に付けた韓国語の発音・イントネーションのコツを多くの人たちに伝えていく……とても良い循環ですよね。

おっしゃるように、スマートフォンの普及で音声の学習も添削も気軽にできるようになりました。

ミレさんのようにはいかない部分もありますが、当校もできることをしていきたいなと思った次第です。

通信523「実践交流をもっとやっていきましょう」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第523号 (2025年3月3日発行)

実践交流をもっとやっていきましょう ミレ韓国語学院 前田真彦===============================================

昨夜のハンガンネットセミナーは楽しかったです。

私の「毎日一文録音マラソン」の実践報告と音声添削の実習(というより意見交換)でしたが、いろんな先生方の取り組みや、コメントが参考になりました。

音読指導は韓国語講師ならだれでも避けて通れない最重要テーマです。

それだけ奥が深く、指導内容も多岐にわたり、効果も大きいだけに、もっといろんな先生方の実践の公開や報告があればいいですね。

オンラインになって、発音・音読の指導は一気にやりやすくなりました。

ミレを立ち上げた当初(2010年)は、カセットテープに録音し、それを郵送でやり取りしていました。カセットテープのダビング機や郵送するときに包むプチプチなど、まだミレ教室に残っています。今や、スマホで録音し、すぐにメールやラインで共有できるようになりました。急速に発達する技術を、私たちが有効に使いこなせていない現状です。

実は音声指導だけでなく、普段の授業も、欠席者のために録画したり、保存したりしやすくなりました。この録画を活用して、授業を部分的に(たとえ5分でも)、交換し、批評し合うことも、ハンガンネットセミナーでできればいいな、と考えています。

私の次回の発表当番の時は、授業を録画して、授業の実際を皆さんに見てもらおうと計画しています。

スピーチ指導、変則活用の説明とドリル、TOPIK読解問題の解き方やTOPIK作文の書き方など、授業の実際を交流できればいいなと願っています。

民間の市民講座の韓国語教育は、まだ始まったばかりです。実践を公開し、交流し、蓄積し、改良を加えよりよいものに作りあげ、共有財産にしていくのがハンガンネットの役割ですね。

昨日のセミナーをしながら、もっとこういう教育実践の交流・意見交換があればいいな、と感じました。

通信522「AI 및 무료 툴을 활용한 교실 홍보」김현근

【週刊ハンガンネット通信】第522号 (2025年2月17日発行)

「AI 및 무료 툴을 활용한 교실 홍보」 미리내한국어교실 대표 김현근
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안녕하세요.
미리내한국어교실을 운영하고 있는 김현근입니다.
지난번에 타즈케 선생님께서 생성Ai의 활용 방법에 대해서 글을 써 주셨는데, 저도 요즘 넘쳐나는 AI 및 무료 툴을 활용한 교실 홍보 및 동영상 제작에 대해서 소개를 해보고자 합니다.

교실을 운영하는 입장에서 가장 힘든 것은 사실 홍보입니다. 잘 기획된 강의와 커리큘럼이라도 사람들이 알 수 없다면 무용지물이기 때문이죠.
저는 주로 트위터를 활용해서 새로운 수업을 홍보하고 있습니다만, 일단 트위터에 올리기 쉽게 이미지를 만들어야 하는데, 그게 매우 번거롭습니다.
아시는 분은 아시겠지만, CANVA( https://www.canva.com/) 툴을 쓰기 전까지는 파워포인트를 활용해서 이미지를 만든다거나 직접 그린 다음 어디선가 편집을 해서 올렸습니다.
그런데, ‘캔바’는 무료로도 다양한 편집 및 폰트, 템플릿을 제공하므로 <소설 낭독> <한글검정대책> <TOPIK대책> 등 다양한 강좌를 알리는 이미지를 만들기 쉬워졌습니다.

게다가, 강좌의 특징을 나타내는 이미지 생성도 아래의 Bing 이미지 크리에이터를 쓰면, 생성형 AI로 원하는 이미지를 마음껏 만들어서 쓸 수 있습니다.
無料の AI Image Generator – Bing の Image Creator
물론, AI로 만든 그림은 누가 봐도 티가 나기 때문에 되도록이면 일러스트레이터가 그린 것처럼, 명령어를 심플하게 넣어서 만듭니다.
예를 들면 <책을 읽고 있는 사람의 일러스트를 배경 없이 심플하게> 이렇게 적은 다음, Deepl을 이용해서 영어로 변경한 후 넣습니다.
한국어로 명령어를 넣어도 되지만 AI가 어떤 식으로 번역하는지 모르므로, 일단 Deepl에서 번역한 영어를 쓰는 게 더 효율적이라고 생각합니다.
이 DeepL (https://www.deepl.com/ko/translator)로 AI를 활용한 번역기이기도 하지요.

자, Bing에서 원하는 이미지를 생성하고 나면 따로 파일을 저장할 필요도 없이 그대로 스크린샷이나 노트북의 prt sc 버튼으로 캡쳐를 한 다음에 바로 CANVA에서 생성해 두고 있는 폼에 박아 넣습니다.
제가 트위터에 올린 이미지(아래)는 그렇게 해서 만들어졌습니다.
https://x.com/mirinaejp/status/1892445380308267428

image

정리하면, ❶CANVA에서 트위터용 폼을 생성하고 ❷DeepL애서 원하는 이미지를 만들 문구를 영어로 작성한 뒤, ❸Bing 이미지 크리에이터에서 이미지를 생성한 뒤 화면캡쳐를 해서 ❹다시 Canva에 박아 넣고 다운로드를 하면 끝! 강의 광고 만들기가 매우 쉬워졌습니다.

또 하나, 저희 교실에서는 매주 메일 매거진을 발행하고 있습니다만, 이것도 음성이 필요하다 싶어, 회화문과 표현을 회마다 유튜브에 동영상으로 만들고 있습니다.
이때, 동영상 편집이 정말 귀찮은 일이 아닐 수 없습니다. 그때 쓸 수 있는 것이 바로 Vrew(브루)입니다.
Vrew도 한국어나 일본어 음성을 AI로 만들어주기도 하는데, 무엇보다 자막을 넣는 데 정말 편리합니다.
Vrew( https://vrew.ai/ja/) 를 이용해서 만들면 2-3분짜리 동영상도 1-2시간에 편집을 끝낼 수 있습니다.

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Vrew로 편집한 메일매거진 동영상 예: https://youtu.be/iWb81Lo7Nw4

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Vrew를 이용해서, <메일 매거진 동영상>뿐만 아니라 도 레벨별로 만들어서 공유하고 있습니다.
물론, 이 섬네일도 CANVA와 BING 이미지 크리에이터를 사용해서 만들기 때문에 매우 간편하게 작업할 수 있습니다.

다른 교실에서는 어떤 툴을 쓰는지 모르겠으나, 현재 제가 쓰고 있는 AI를 활용한 모든 툴은 일단 무료입니다.
물론 Vrew를 무료로 쓸 때는 초기화면에 Vrew의 로고가 들어가기도 하지만, 뭐 Vrew 홍보 차원에서도 나쁘지 않다고 생각해서 그대로 쓰고 있습니다.

물론 음성도 Ai를 써서 다양한 예문을 만들까 했었는데 아직까지 Ai로 생성한 음성은 약간 어색한 부분이 있어서 초기에 쓰다가 그만두었습니다.
여러분들은 어떠신가요?
AI는 무엇보다 시간 절약에 도움이 되며, 어느새 우리 생활 속에 성큼 다가와 있습니다.
앞으로도 수업 커리큘럼 및 홍보, 그리고 학생관리에 AI를 활용할 수 있는 방법이 없을까 좀 더 궁리를 하고 싶습니다.

※ 위 한글이 너무 많아서 읽기가 번거로우시면 Deepl에 넣어서 번역기를 돌려보세요. 편하게 그리고 빠르게 읽을 수 있습니다!

通信521「続・生成AIの活用について」田附和久

【週刊ハンガンネット通信】第521号 (2025年2月10日発行)

「続・生成AIの活用について」 田附和久
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前の私の担当回では、生成AIの活用方法を学ぶために悪戦苦闘する日々の様子をご紹介しましたが、今回はその後の状況をご報告します。

引き続き生成AIの活用に慣れることを目指して、様々な努力を重ねています。日常の仕事や生活の中で「この季節の手紙の書き出しはどうしよう」とか「英文で作成したメールの件名をどうしよう」とか、小さなことでも課題が出てきたときには、なるべく意識して生成AIに候補を出してもらうようにしています。この程度の内容では、それほどの効率化にはつながっていないかもしれませんが、それでも自分の頭だけで考えたときにはひねり出せなかった表現で文章を作成できるようになり、思いのほか早く作業を終えられるようになってきたと感じています。

文章、画像の生成に続いて、動画生成にもチャレンジしてみました。毎年12月に子どもたちのクラスで小さなクリスマス会を開催しているのですが、今年は動画生成AIのテンプレートを使って作成したサンタクロースに登場してもらいました。セリフには、参加する子どもたちの名前や当日のプログラム内容をあらかじめ含ませておき、決まった時間に会場のPCに届くように設定しておいた動画ファイルを開くと、「〇〇ちゃん、〇〇のゲームは楽しかったかな?プレゼントは玄関に置いておいたよ」とサンタクロースが子どもたちに直接話しかける動画を見られるようにしたのです。例年、人間が扮装したサンタクロースには、「髭が付け髭だ」、「ずいぶん若かったから、あれは偽物に違いない」等と厳しい評価を下す子どもたちも、今回はひょっとすると本物かもしれないといった表情を浮かべていたように見受けられました。

サンタクロース

動画生成に慣れてくると、文書生成と動画生成を組み合わせて、「日韓の歴史認識問題の解決方法について200字程度で語る韓国の大学生」などといった動画も作れるようになりました。
https://drive.google.com/file/d/1RM9kVzUCAC62_p_Xd74uy3GP7ewlwN6c/view?usp=sharing

そして、個人的に最も関心の高い、語学教育での生成AI活用についてより深く考察するために、今年に入ってから生成AIを用いた英会話アプリでの学習を始めてみました。私の英語の実力と言えば、日本では多いタイプかと思いますが、受験勉強のおかげで英文のニュース記事等はそれなりに読めるものの、会話は苦手です。旅先の空港、ホテル、レストラン等ではブロークンな英語を使ってそれなりの意思疎通をすることはできても、いざ英語を使ったビジネスミーティングになると、相手の発話内容が上手く聞き取れず、また自分の言いたいことをなかなか表現できずに悔しい思いをすることが少なくありません。少しでも英語での会話の機会を増やそうと、在宅勤務が多かった2年ほど前、フィリピン在住講師と1対1でのオンラインレッスンを行う大手英会話スクールのコースに申し込み、一時期は1回30分のレッスンを週に1~2回程度受講していましたが、在宅勤務が減ってきた近頃では、受講料が毎月継続して引き落とされているにもかかわらず、1ヶ月に1回も受講できない月がたびたびあるという状態になってしまっていました。

そんな中で生成AIを使ったアプリによる学習を始めたわけですが、今のところ、ほぼ1ヶ月毎日(!)続けることができています。続けられている理由を考えてみましたが、何と言っても大きいのは時間帯および学習時間の制約がないという点です。アプリですのでスマホさえあれば、起床直後、昼休み、就寝前、いつの時間帯でも、どんなに短い時間でも、その場で学習できます。オンラインレッスンも比較的自由に時間帯を選べますが、それでも事前に予約しなければならず、また1回の講義時間も決まっているので、アプリほど自由なわけではありません。またアプリの場合、自動的に送られてくるリマインドのお知らせも、学習継続を後押ししてくれます。連続受講の日数が途切れてしまいそうだという警告のお知らせが届くと、日付が変わる前に数分だけでも学習しようという気持ちにさせられます。

レッスンは想像していた以上に、多様な内容が用意されていました。まず講師による講義を聴きながら発話をするレッスン、そこで学んだ表現を定着させる反復練習、学んだ表現を使ったAIとの対話練習等、たいへんよく整っています。うまく答えられなかったり、答えを間違えたりした場合には、その箇所に関する問題を再度出題してくれるのはうれしい点です。また通常のレッスンコース以外に、単語や慣用句をクイズ形式で学んだり、AIと自由会話を楽しんだりすることもできます。自由会話の後にも、発話の中にあった間違いを指摘してくれるのですが、この指摘内容が、冠詞のつけ忘れや前置詞の間違い等、人間の講師であれば案外そこまで丁寧には指摘してくれないのではないかという点に至るまで、実に漏れなく、きめ細かいのです。自身で振り返ってみると、このアプリでの学習を始める前よりも、冠詞や複数形、前置詞等を間違えずに話そうという意識が明らかに高くなったように感じます。

学習者としてもっとも気になる費用に関しては、オンラインレッスンの半額以下ですので、コストパフォーマンスはかなり高いと個人的には感じています(フィリピンの講師とのオンラインレッスンは解約しました)。

以上、長々とAI英会話学習アプリの紹介ならびに感想を書き連ね、まるで宣伝のようになってしまいましたが、すでに様々なものが登場しつつある韓国語学習アプリに関しても、この程度の水準のものが出てくるのは、それほど先のことにはならないのではないでしょうか。学校教育で文法の基礎や多くの語彙を学ぶ英語学習とは単純に比較できないかもしれませんが、韓国語教育の分野においても、既存の語学スクールのかなりの受講者がAIを使ったアプリに流れることは、ある程度覚悟しなければならないだろうという思いを強くしています。

そうした時代を迎える中で、既存の教室にはどのようなレッスンが求められ、市場から淘汰されないためには、何に重きをおくべきなのかということを述べるのは、またまた次の機会に先延ばしさせていただくことになります。
先が待てない方、生成AIについてどうしても一言述べたいという方もいらっしゃるかと存じます。どうぞご遠慮なく皆様のご意見をお寄せいただけるとうれしいです。今後避けることはできないであろうこの問題について、できるだけ多くの皆様とご一緒に考えていければと思います。

通信520「『hana』の休刊」ペ・ジョンリョル

【週刊ハンガンネット通信】第520号(2025年2月3日発行)

「『hana』の休刊」ペ・ジョンリョル
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小社から発行していた季刊韓国語学習誌『hana』が、先月発売された『Vol. 54』で休刊になりました。昨年の春『Vol. 51』の誌上で「あと3号出したら休刊する」とお知らせしたので、そのとおりに予定を消化したことになります。

『hana』は2014年4月に生まれました。韓流から始まった韓国語ブームもしぼみ、時の韓国大統領の行動もあって日韓関係が暗転していた時期です。国内で激しい嫌韓デモが盛んに行われ、書店の韓国語学習書売り場がどんどん狭くなっていましたが、そんな中にあってもまだ多くの人が韓国語を学び、新たな経験や喜びを得ていることを私たちは知っていました。

小社も本が売れず苦しい時期を過ごしていましたが、学習者を応援するために、のるかそるかの覚悟でこの『hana』を創刊しました。

幸いなことにその後10年もの間『hana』を続けることができました。振り返るとあっという間でしたが、よくぞここまで続けられたと思います。

まず、このネットワークにはさまざまな形で『hana』を助けてくれた方々がいらっしゃいます。この場をお借りして感謝申し上げます。

創刊時のメンバーはみんな一緒に10歳年を取りました。私にはもはや創刊時のような馬力はありませんし、他のメンバーも同じかもしれません。そのかわりに、経歴に相応した能力や知識が身に付いたので今後さらに大活躍、と信じたいところです。

この間にイベントや取材、読者ハガキなどを通じて多くの読者と出会いました。常に読者に近い位置で読者の顔を思い浮かべながら仕事をできたのは大変貴重な経験だったと思います。休刊にあたってある読者の方から「『hana』のおかげで自分が一人ではないと思えた」という主旨のお言葉をいただきました。創刊当初から「韓国語学習者たちの伴走者になる」ことを目標の一つに掲げていただけに特に嬉しく思いました。

読者の中には学習をさらに進めて、韓国語の先生になったり韓日の翻訳者なったりと、各自のキャリアを広げた方もいます。『hana』がこうした人たちの後押しもできたのであれば光栄に思います。

今日無料のコンテンツが多く現れ、それで韓国語を学べるようになりましたが、きちんと手を掛けたものを世に出してその対価をいただくというのが私たちの考えですし、出版社には同じ考えを持つ人が少なくないと思います。でも最近こうした出版社の旗色は決していいとはいえません。

一度立ち止まって今後のあるべき姿を考え直したほうがいいと、『hana』が10年の節目を迎えたときに考え、今回の休刊に至った次第です(『hana』を出していると本当に忙しくて他のことを考えられないのです)。

10数年くらい前に、クリス・アンダーソンという人が書いた『フリー』という本を読みましたが、こういう世の中になるということが書いてあったように思います。その時は「でも結局タダじゃ続かないんじゃないの」と思いました。想像力不足で本の肝心な部分を理解できなかったのかもしれません。いまさらですが、自宅のどこかにあるその本から読み直してみようと思います。

通信519 「『HANA韓国語スクール』運営担当に」浅見綾子

【週刊ハンガンネット通信】第519号 (2025年1月28日発行)

「HANA韓国語スクール」運営担当に
~2025年の新たなスタートに向けて~
浅見綾子
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私ごとですが、2025年1月より「HANA韓国語スクール」の運営を担当することとなりました。
これまでは主に出版部門の編集を担当しておりましたが、新たにスクール運営の仕事に携わることとなり、意気込んでおります。どうぞよろしくお願いいたします。

◆スクール運営に感じた課題と今後の展望
まだ担当して1か月も経っておりませんが、スクール運営の現状を見つめ直し、課題を整理する中で、多くの気づきを得ることができました。

スクールを運営するには、「鳥の目」(全体を俯瞰する視点)と「虫の目」(細部に気を配る視点)の両方が必要です。しかし、忙しさに追われる中で虫の目のみに偏りがちであることを実感しています。

以下に現状と改善の方向性について記載しましたが、先生方にとっては当たり前のことと感じられるかもしれません。その場合は、どうぞ新米担当者の拙い意見としてご笑覧いただければ幸いです。

1.専用ホームページの必要性(マーケティング)
恥ずかしながら、現状HANA韓国語スクール「専用」のホームページがありません。
よって、学習者の皆さまが情報を見つけにくいという課題があります。これは大きな課題であり、早急に対応が必要だと感じております。専用のホームページを構築し、魅力的で分かりやすい情報を発信できる場を整えていきたいと考えています。

2.講師の魅力を発信(マーケティング)
スクール運営の中で感じることは、何よりも講師の皆さまの素晴らしさです。
先生方ごとに個性があり、それが授業の魅力となっています。
今後は、先生ごとの特長をさらに引き出し、それを効果的にアピールする取り組みを進めていきたいと思っています。

3.生徒の声を大切に(コミュニケーション)
編集業務と異なり、スクール運営では、生徒さんからのリアルな声に直接触れる機会が多くあります。その中には感謝の声だけでなく、改善に役立つご意見や厳しいご指摘も含まれています。どのような声にも真摯に向き合う態度が必要だと感じました。

先生方にお伺いしたいことがあるのですが、個人レッスンではないグループレッスンの場合、「開講最低人数」を設定されているかと思います。その際、最低人数に達しない場合は授業を開講しないという方針を徹底されているのか、または、赤字を承知の上で開講されることがあるのか。
HANAスクールでは、これまでお申し込みがあった授業については、たとえ赤字になる場合でも、なるべく開講するようしてきました。しかし授業数が増えるとそうも言ってられません。先生方のご経験やお考えをぜひお聞かせいただけますと幸いです。

2025年3月の「ハンガンネットオンラインセミナー」のお知らせ

038-07ハンガンネットセミナー

3月2日(日)20時30分~22時 90分 1000円

<1部 前田実践報告>
<毎日1文録音マラソン 音読ジム 概要と成果>
 音読指導で効果を実感している「毎日1文録音マラソンの概要について説明します
  ・どのような趣旨で始めたのか  
  ・どのようなやり方なのか
  ・どのような成果があったのか 

<2部 実習 音声添削>
  受講生の音声を聞いてどのような批正ができるのか
  実際にやってみましょう。
  参加する方には、1週間前に受講生音声をお送りします。
  3分間で批正の音声を吹き込んでください。
  いろいろ具体的に話し合いましょう。

参加条件:講師志望生

定員:なし


<お申込み> 参加費:1,000 円
【参加費は事前に銀行振込よりお支払いください。】
⇒振込先 PayPay銀行 本店営業部 普通 2174994 ハンガンネットマエダタダヒコ