通信075 北国の春:仙台研修に向けて

【週刊ハンガンネット通信】《第76号》(2013年4月1日(万愚節)発行)

北国の春

阪堂千津子(ハンガンネット 世話人代表)

ハンガンネット会員のみなさま、おはようございます!

今日から新しいスーツをきた新社会人の登場ですね!ウイウイしい彼らを見ていると、こちらまで若い気分になりますからありがたいです。
わたしも新入生に間違えられました~ (^^*)>

さて先週、ハンガンネットの会員でもある山下誠先生(神奈川県鶴見総合高校)のお誘いで、私は重い腰を上げて気仙沼の被災ボランティア活動に参加してきました。
「私のような中年の腰痛持ちはお荷物じゃないか」という当初の不安は杞憂でした。
「来てくれてうれしい」オーラ全開の気仙沼の人々の温かさに圧倒されました。

着いたらすぐに働くのではなく、まずは「なぜその仕事をするのか」「私たちの作業はどんな過程の一部なのか」「結果(目標)は何なのか」を、
丁寧にレクチャーしてもらってから、具体的な作業の説明を受けて工具を渡されて作業に入るので、とても働きやすかったです。
(こう考えてみると、ゴールを明確に提示して必要な語彙(工具)や文法(手順)を教えて練習(実行)させる、という理想的な韓国語の授業設計方法にも通じますね!)

今回は、津波で店を流されたレストランのオーナーが、県から木材を購入して、
ボランティアの力を借りながらログハウスを組み立てて、新しいお店を4月にオープンさせるのですが、
私たちはその過程で出たごみを可燃ごみと不燃ごみにわける作業を手伝いました。

スーパーの駐車場で木くずと小石をふるいで分ける作業です。
私はほんの1時間強しか働いていないのでボランティアというには恥ずかしい体験でしたが、童心に帰って楽しく働きました。
そして作業を終えた後、実際にログハウスが立っているレストランに連れて行ってもらい、
オーナーさんにもお会いして、オープン前の準備の様子も見学させていただきました。

被災地の様子って、テレビで見たつもりになりますが、(韓国についても同じように)、実際に行ってみるのとでは大違いですね。
そして、現地に行ってみて初めてわかるものもたくさんありました。
また、現地の人とつながりができることによって、自分が手伝った店がオープンしたあとも応援したいという気持ちが沸いてきました。

私はきっと、そのうち訪れることでしょう・・・なぜならば・・・そう、8月には仙台研修があるからです!

ハンガンネットでは今、8月14(水)-18(日)に開かれる仙台研修の事業計画を東京韓国文化院と企画しているところです。

これまで名古屋、北海道、新潟と行ってきた研修の2013年度版です。
全国の韓国語講師および講師志願者に1人でも多く参加してもらうためにはどんな研修が必要か、
世話人一同であれこれず~っと考えながら意見を出し合っています。

今年は東北学園大学や東北学院大学の先生をはじめ、ミレ韓国語学院の前田真彦院長や横浜のコリブン語学堂のキム・スノク院長、
そして新宿の新大久保学院のカリスマ講師など、市民講座の第一線でご活躍の人気講師陣を揃える予定ですが、
それでも、私たちのアイディアだけではなんだか不安です。

参考までに、案としてあがっている研内容をご紹介します。
カテゴリー別にしてあります。日程表ではありませんので、ご注意ください。

 

(1) 教師・授業論~ゴールと評価を意識したカリキュラム・デザインとは
Ⅰ オリエンテーション
  本研修の目的及び研究授業発表について、受講生自己紹介など
Ⅱ やる気を引き出す授業法
  望ましい教師とはなにか、やる気を出す授業にするための50のテクニック
Ⅲ カリキュラムとは何か
  授業運用に必要なカリキュラム・学習(授業)・評価の関係を理解する
Ⅳ 学習支援のための評価法
  既存のペーパー方式でない学習者の能力を真正に評価する方法の理論と実践
(2) 発音・文字教授法
Ⅰ 学習者のための発音指導法
  日本語母語話者の弱点を研究しつくした学習者中心の発音指導法
Ⅱ 韓国語語文規定の理解
  韓国語正書法の理解
(3) 模擬授業を見て具体的な授業をイメージする
Ⅰ 講師による模擬授業 [1]
  会話力を伸ばす授業例
  授業の進め方、ゴール設定の仕方などを学ぶ
Ⅱ 講師による模擬授業 [2]
  多技能を連携させた授業例
  読む授業と話す授業の連携、ゴール設定などを学ぶ
(4) 語彙・文法の指導法~文法をどう教えるか
Ⅰ 語彙教育法
  効果的な語彙教育
Ⅱ 韓国語文法教育法
  韓国語の文法を日本語母語話者にいかにわかりやすく教えるか
Ⅲ 中級以上の文法指導法
  日本語母語話者の間違えやすい文法の効果的な教育方法を実例を挙げて講義
Ⅳ 文法を授業でどう取り入れるか~「文法嫌い」克服のために
  会話能力向上と文法教育の取り入れ方を模擬授業等を元に批判的に考察
(5) 研究授業実習~これからの授業のために
Ⅰ 研究授業の準備 [1]
  最終日の研究授業に向けてテーマを選定、教案作成の方法とアドバイス
Ⅱ 研究授業の準備 [2]
  ゴールを意識した授業作りを考え、ゴールの選定を元に発表日の班分け
Ⅲ 研究授業の準備 [3]
  3日目の講義・講師による模擬授業を元に教案の再考を進める
Ⅳ 研究授業の準備 [4]
  翌日発表のための予行練習
Ⅴ グループ別研究授業実習(模擬授業)
  全体の質疑応答
  グループ毎に進行及び指導講師が1名ずつ付き、1名20分程度の研究授業 自習を発表し、みんなで考える

 

こうしてみると若干、文法教育に偏っていますね。

さて、皆さんは、この研修に参加したいですか?(参加してくださいね >⑧<)
ぜひとも、「参加するならこんな科目がほしい」「これはいいね!」「これはちょっと・・・」という忌憚のないご意見を寄せてくださいませんか?

今回の研修のコンセプトは一言でいうと、「やる気の出る授業」「受講生がどんどん来る授業づくり」・・でしょうか。
例年よりも講義科目を減らし、さらに「授業づくり」に集中してカリキュラムを考えてみましたが、
これがはたして世の中のニーズにあっているのかどうか、我々の悩みの種であります。・・・

ですので、どうかどうか、みなさんのフレッシュな頭で、意見をください。おまちしています。

そしてこの研修の後には、有志で被災地ボランティアに行きませんか?(あ、もちろん、行きたい方だけですよ~)
被災地の現状はまだまだ楽観できませんが、復興作業を見ていると「人間はなんでもできる」という気分も体感できますよ。

さあ、みなさん。ことしの夏は仙台でリフレッシュしませんか!

*追伸:このメールで1つだけウソがあります。さて、それは何でしょう?

通信074 音声学との出会い

【週刊ハンガンネット通信】《第75号》(2013年3月25日発行)

音声学との出会い

伊藤耕一

韓国語ジャーナルの休刊は、とても残念ですね。私より生徒さんたちの方がもっとショックを受けていました。

春はお別れの季節ですが、出会いの季節でもあります。3月も下旬になり、大学入試に合格した皆さんは、学生生活を心待ちにしている頃でしょう。

20数年前の今頃、私は大阪に住めることが嬉しくて嬉しくて仕方なかったことを思い出します。
昔のことを少し思い出したので、今回は学生時代のことを書いてみたいと思います。

私が大学に入ったころ、外大は1年次から専攻科目があるのですが、朝鮮語の先生がこんな質問をしたことがありました。
「これを読んでみてください。『しょうがっこう』、いかがですか?」

一人一人「しょうがっこう」と順番に読んで、ひととおり読み終わったあと、先生はこんなことをおっしゃいました。
「読んでもらうだけで東日本出身の人か西日本出身の人か、だいたい分かるんですよ。」

私が音声学に強く興味を持った瞬間でもありました。
先生は「しょうがっこう」の「が」を濁音で発音するのか、鼻濁音で発音するのか、聞いていたのです。

一般的に、東日本出身の人は「が」を鼻濁音で読み、西日本出身の人は「が」を濁音で読むそうです。
韓国語で書くと「쇼옹악고오」「쇼오각고오」といった感じでしょうか。

私は韓国語の文字を教える時、この話をして生徒さんの発音を確かめるようにしています。

面白いことに、「が」を鼻濁音で読む人は「ㅇパッチムと母音」を最初から上手に発音することができますが、「화가」を「황아」みたいな音で読むことが多く、母音の後の「가」をうまく発音できません。

反対に、「が」を濁音で読む人は「강아지」を「가가지」みたいな音で読むことが多く、「ㅇパッチムと母音」を上手に発音することができません。「화가」は上手に発音できるのですが。

日本人は「がぎぐげご」を濁音で発音しても鼻濁音で発音しても同じ音と認識してしまうので、自分の発音を客観的に捉えることができるようになるまで、こんな感じになるのだろうと思っています。

スペイン語を勉強した時には、こんなことがありました。
最初の授業で自己紹介をしたのですが、隣に「矢島さん」という方が座っていました。

自己紹介では「メジャーモ ヤジマ」と言うのですが、それを聞いたとたん、「あなたの名前はスペイン人には難しすぎます!」みたいなことを先生はおっしゃいました。
スペイン語は「や行の音」と「じゃ行の音」を区別しないので、そうなるのだそうです。

なので「メヤーモ ジャジマ」と発音してもOK、というかスペイン語話者には全く気にならないんですね。
個人的には 「や」と「じゃ」の中間くらいの音が美しいのではないかと思っています。

発音は理屈で教えてもなかなか身につかないように私は思うのですが、結果として私の発音指導はかなり甘くなっていると思います。

英語でいうと「f」と「h」の音の違い、「t」と「th」の音の違いのようなもので、英語を勉強する中学1年生と同じくらいのレベルの生徒さんに厳しく発音指導しても、発音が嫌になって韓国語を嫌いになってしまうのではないかと、つい考えてしまうのです。

スペイン語の「や」と「じゃ」の発音のことを知ってから、私の発音指導は一層甘くなったような気がします。

皆さんはどのように発音を指導されているでしょうか?

通信073 「韓国語ジャーナル」休刊にあたり

【週刊ハンガンネット通信】《74号》(2013年3月23日発行)

『韓国語ジャーナル』休刊にあたり

アイケーブリッジ外語学院 代表

幡野泉

韓国語学習者が楽しく学習でき、そしてためになる
アルク社の『韓国語ジャーナル』が2013年春号で休刊となりました。

韓国語学習、韓国語教育に関わるすべての方が、この知らせを受け、
驚き、残念に思ったことでしょう。

先日、韓国語ジャーナル編集部の皆さんが主催される休刊小宴に
参加してまいりました。

会場には編集部の皆さんはもちろんのこと、これまでジャーナルに執筆
されてきた先生方や、雑誌の運営に携わっていた皆さんがいらっしゃり、
それぞれが一言ずつ、雑誌に対する思いを語りました。

皆さんのお話を聞いていて、この雑誌の社会的意義と、ほんとうに多くの
方が力を注ぎ、そして愛されてきたのだということが分かりました。

何より胸を打ったのは、編集部の方々の、これまでの雑誌制作に対する
誠意と情熱です。

一会社の決断に部外者がもの申すことはできませんが、会場にいた
全員が、「なんとかならないものか」と思ったはずです。

今回、同社の『中国語ジャーナル』も休刊となりましたが、それを知った
当校の中国語講師が、「こんなことになるなら、もっと応援したかった。
悔やまれる。」と話していました。

ほんとうに、その通りです。

もしかしたら何らかの形で復刊も……?そんな想像もしてしまいます。
もしそんな話があったら、「必ず数ヶ月に一回手にできるもの」という
感覚を捨て、韓国語教育に携わる人間の使命として新たな出発、
そして維持を応援したいと思いました。

通信072 『韓国語発音クリニック』

【週刊ハンガンネット通信】《73号》(2013年3月12日発行)

『韓国語発音クリニック』-臨床的な個人指導が特徴

ミレ韓国語学院 学院長

前田真彦

2月末に『韓国語発音クリニック』(前田真彦著/白水社/3月24日発行予定)を校了しました。ミレの「発音クリニック基礎」の教材から作った粗原稿と企画書を白水社に送ってからほぼ1年。去年11月から急ピッチで作業が進み、2月末ですべての校正作業が終わり、今は発刊を待つばかりです。

今回の執筆は特に楽しかったです。楽しかった理由を、ちょっと説明しましょう。

本書は韓国語の発音に特化した内容ですが、単に発音に関して解説した本ではありません。各章の発音の解説の後、「加藤さん」「鈴木さん」を一人ずつ診察室に呼んで前田が発音の矯正をするのです。「クリニック」たるゆえんです。

「加藤さん」は初級を終えた方、「鈴木さん」は中級を終えた方。それぞれ受講生の代表的なタイプを想定し、会話体でクリニックが進んでいきます。<診察室>と題したこのコーナーが、この本の最大の特長です。

12月ごろキャラクターのイラストが上がってきました。イラストは『前田式韓国語中級文法トレーニング』(アルク)で素敵な「前ちゃん」を描いてくださった原田祐仁子(ゆみこ)さんにお願いしました。今回もキャラクターが決まるまでもいろいろ紆余曲折がありましたが、その話はまた今度。

イラストができてから、俄然面白くなってきました。「鈴木さん」「加藤さんが」生き生きとし始めたのです。私の頭の中ではっきり、「加藤さん」「鈴木さん」の表情から声まで聞こえてきます。本の中から出てきて先日は本当に夢にまで出てきました。

この本が私の13冊目の著作(翻訳含む)になりますが、自分が作った人物が、表情を持ち、声まで聞こえてくるとは、本当に驚きです。楽しい執筆作業になりました。

発音に特化した書籍は、とかく難しくなりがちですが、読み物として楽しく読んでいただけたらと思います。

通信071 教授指導案

【週刊ハンガンネット通信】《72号》(2013年3月4日発行)

「教授指導案」

韓教室 ハンギョウシル

김영우

안녕하세요? 김영우입니다. 일본은 다음 달부터 새 학년이 시작되지만, 한국은 오늘부터 새 학년이 시작되는 날이네요.

신학년에는 새롭게 뭘 시작해보려고 마음먹고 계신 분들도 많으리라고 봅니다.

전에 한도 선생님이 학생들의 포토폴리오에 대해 얘기하신 것처럼, 시민강좌의 학생과 예를 들어,어학연수생들의 목표는 서로 다르기 때문에 시민강좌에서는 학생의 포토폴리오가 그다지 필요하지 않다는 사실에는 동감입니다.

그렇지만 꼭 만들어 두면 편한 게 있어요. 바로 ‘교수지도안’인데요, 대부분의 선생님들은 이미 이 ‘교수지도안’을 작성하셔서 사용하고 계시리라고 봅니다만, 어떠세요?

한번, 만들어 두면 나중에 조금만 수정을 하는 것만으로도 훌륭한 지도안이 되기도 하고, 수업 준비가 수월해지기도 하기 때문에 요즘은 시간이 없더라도 꼭 만들고 있어요.

전에는 어떻게 가르칠지를-예외나 비교 문형 등-포스트잇에 써서 교재에 붙여두었는데요, 나중에는 그 포스트잇이 없어져, 다시 만들고.이렇게 하면서 얼마나 시간을 낭비했는지, 지금 생각해보면, 어리석었다는 생각이 듭니다. 한 장의 종이에 다 적어두었다가 쓰면 될일을….

교수지도안에 포함되는 내용으로는 문형, 학습목표, 도입, 제시, 연습, 생성, 정리의 순서로 이어집니다. 각 단계마다 학습자료나 배분시간, 지도상의 유의점 등도 적어넣을 수 있어서 한번 만들어 두면 정말 편리해요.

일본에서 사용되는 한국어 교재는 거의 문형 표현이 일본말로도 되어있어서,

도입 부분에서는 문형을 이해시키는데 그다지 힘이 들지 않아요.

수업 준비를 할 때도 지도안을 보면서 단어 카드를 준비하기 때문에 시간이 절약됩니다. 그리고 문형에 따라서는 쓸 수 없는 단어가 있다는 것에 주목을 하게 됩니다. 그래서 이제까지 당연하게 여겼던 모국어 표현에 ‘왜?’ 라는 질문을 해보고 그 이유를 인터넷 등에서 찾아 메모해 두면서… 이렇게 하면서 조금씩 조금씩 ‘한국어 공부’의 기쁨을 느끼고 있어요.

그리고, ‘지도상의 유의점’을 적으면서 느끼는 게, 한국어를 모국어로 하는 사람과 한국어를 배우는 외국인은 한국어를 보는 관점이 서로 다르다는 걸 조금은 실감할 수있습니다. 한국어를 가르칠 때는 외국인의 시선으로 봐야 한다고 매번 연수 때 듣는 얘기인데도 막상 자신이 실감해 보면 정말로 와 닿는 게 많아요.

아직, 교수지도안을 사용해 본 적이 없으시다면, 새 학년에는 교수지도안으로 수업을 더욱 알차게 꾸며보시는 건 어떠신지요?

通信070 尹東柱について

【週刊ハンガンネット通信】《71号》(2013年2月25日発行)

「尹東柱について」

林鳩順

2月16日は朝鮮半島でもっとも有名といっても過言ではない
詩人 尹東柱の命日です。

韓国と北朝鮮でも、在日の民族学校や日本の筑摩書房の教科書にも
尹東柱の詩が紹介されていますね。

以前より尹東柱について関心があり、
数年前に韓国できれいな花が描かれた詩集を買いました。

日本では金時鐘先生の翻訳本や伊吹剛さん、茨木のりこさんが
日本語に訳された詩を詠み、
詩の翻訳の難しさや多様さをあらためて感じていました。

尹東柱が逮捕されたのは京都で、しかも私がよく知っている場所。
現在は京都造形芸術大学の映像学科の建物がある場所に、
尹東柱が住んでいた武田アパートがありました。
私が若い頃、通勤で毎日通っていた道沿いです。

今年の命日を数日後に控えたある日、知り合いの紹介で電話があり、
18年前から続いている詩碑の前での献花式のあと、
二部のイベントで私に司会とナビゲーターの依頼がありました。

同志社大学は、NHKドラマ「八重の桜」で、
最近は観光客も多く訪れているそうです。
創立者の新島襄さんの奥さんが八重さんですね。

キャンパス内にあるクラーク記念館は、
新島襄さんが亡くなられたすぐあとに建てられた素晴らしい建物で、
今年はここで記念行事を行うというので、私も迷う事なくOKしてしまいました。

「序詩」、「食券」、「たやすく書かれた詩」、「春」、「恐ろしい時間」他、
詩の朗唱とヘグム演奏、アカペラでの独唱と解説で1時間の舞台。
短期間にいろんな資料を読みあさり、原稿を仕上げました。

今日、皆さんにお話したかったのは、
私が今まで朝鮮語・韓国語を長年教えてきて、
尹東柱についてあまりにも無知であったということです。

これからはほんの少しずつでも尹東柱について知り、
韓国語を学び教えるということの意味をかみしめたいと感じました。
そして来年の命日の献花式には、
受講生の詩の朗唱を披露したいと思います。

母語で詩を書く事が治安維持法にふれた時代は、
そんなに昔のことではなかったのです。

アカデミー賞授賞式、韓国大統領就任式も気になり、やっと書き上げた・・・
林鳩順でした。감사합니다.

ご参考までに、いくつかのサイトを。
http://homepage2.nifty.com/taejeon/Dongju/Chikuma.htm
http://homepage2.nifty.com/taejeon/Dongju/dongju.htm
http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2006/06/0606j0627-00001.htm

通信069 できない生徒の気持ち

【週刊ハンガンネット通信】《70号》(2013年2月22日発行)

「できない生徒の気持ち」

阪堂千津子 (はんどう ちづこ)

ハンガンネットの先生方、アンニョンハセヨ?
今日は「2月22日」、何の日でしょうか? 竹・・・?アニアニ。
ニャンニャンニャン。

そう、猫の日です!
猫とウニマタリしていたら、月曜日に発行すべきこの「通信」が金曜日になってしまいました。
許してにゃん。

最近、春休みを利用して中国語を習っております。

学生時代に中国人たちとくらしていたので、耳のほうはなんとな~くわかったようなふりが
できるのですが、読みや書くのはまったくできない、という問題児でございます。

今はネイティブの留学生や大学教授を引退された日本人の先生から習っておりますが、
わざと中級以上の自分の実力よりうんと背伸びしたクラスで受けています。

「できない生徒」になってみよう、という体験授業も兼ねているからです。

こうして生徒になってみると「わからない授業」を受ける気持ちがよくわかりますね。
いずれの先生もほぼ直接法(日本語を使わない)なので、とても参考になります。

私も中級以上の授業では、日本語で訳すことをせず、文法の説明以外は、なるべく日本語を使わないようにしています。
また、わたしの話す韓国語を日本語で復唱する方がよくいらっしゃるのですが、なるべくやめていただいています。

例えば・・・こんな感じです。
私: チグム ミョッシエヨ?
生徒さん:  ミョッシ? ああ、何時? ええと・・・・

日本語で口に出してから考える方、みなさんの生徒さんの中にもいらっしゃいませんか?
実はわかっているのに確認するための方が多いんですよね。できる方にかぎって こういう方が多い。

そこで、ためしにこれを禁じてみたところ、日本語→韓国語への自動化がより速くなり、
レスポンスがてきめんに早くなったので、なるべくやらないように、と授業では諭しております。

・・・が。これは、できない生徒にしてみると、とてもありがたい「救いの手」なんですねえ。
自分が答える番になると緊張しますから
できる隣の人が「ああ、何時ね」とつぶやいてくれると 助かります。
そういえば、つぶやく方たちは、みなさん隣にできない方とセットで座っていらっしゃいます。

「できない」側からすると、なんて優しい人なんだ~、と感激してしまいます。
(わかっていても確信できて心強い。)

「できない生徒」は
それでなくとも「自分はこのクラスにいてもいいのか」と少し後ろめたい気持ちになっていますから、
こういう優しさをもらえると受け入れてもらえたみたいで安心できますね。

「できない生徒」は、「みんなの迷惑になるし、いつやめようか」と毎回、足取りが重くなるものなんです。
実は 「できる」生徒さんたちは、そんなに負担に思っていない場合が多いのですが(あまり差がある場合は別ですが)…。

だから、クラスのみなさんとの一体感ってとても重要なんだ、と思いました。
学力面での「引け目」って、思いのほか参加意識に大きく左右するんですね。

恥ずかしながら、私は今まで、ハングルで「できない生徒」側になったことがなかったので、気が付きませんでした。
これも実際に自分が体験してみて よくわかるようになりました。

もう1つ発見したこと。
先生から、たとえば
「チンジー。京劇ですね。チンジーは(ここから中国語で)地方によって種類があります」
と、 難しい単語はその場で板書するか、日本語で言ってくださると、助かりますね。文脈があるので、すぐに覚えられるし。

私の場合は
「文脈から推測することもテクニック(ストラテジーなどという難しい言葉は使わず)の1つなんです。わからなくてもそのまま我慢して聞いてみてください」
って、授業では厳しく言ってましたけど、実は生徒さんたちに過度にストレスを与えていたのではないかな~ と反省しました。

もちろん、これらの話はすべて「人による」と思います。が、生徒さんの今までの声を思い出してみると、私に近い体験をされていたのだと反省しきり。
何をいまさら、と笑止千万な方もいらっしゃると思いますが、これが今まで私がまったく気が付かなかった「できない生徒の気持ち」です。

そして、できないながらも、新しい言葉を覚えていくのが「こんなに楽しい」って感覚も、よおくわかるようになりました!

ところで、みなさんは、授業中に日本語は使っていますか?
まったく使わない、という方もいるでしょう。
どのように使うのが効果的なのか、いろいろなご意見をきかせていただければ幸いです。

通信068 日本人が間違えやすい面白い韓国語

【週刊ハンガンネット通信】《第69号》(2013年2月11日発行)

伊藤耕一

 

新年あけましておめでとうございます。韓国はお正月まっただ中ですね。

おかげでこの時期は取引先の動きが鈍くなるので本業の仕事が円滑に進まず、苦労する時期でもあります。
今回も私が教えるクラスで起きたことを書いてみたいと思います。

日本人が日本人の発想で韓国語を書いたときの面白さ。
これは韓国語を教えながら思いがけず発見したことですが、韓国語を教えていて最も楽しいことのひとつです。

韓国語の用言活用と助詞と時制をある程度理解できて辞書も引けるようになると、生徒さんは韓国語を書くのが楽しくて仕方ないようです。
いろいろな韓国語を書いてきては楽しませてくれます。

学生時代に私自身も間違えたところをほぼ同じように間違えるので、「昔の私と同じ間違いをしているだけですから問題ないですよ。次に間違えないように気をつけましょう。」などと励ましています。

まずは、英語の第2文型的な文章です。
日:昨日、先生は休みでした。
한:어제 선생님은 휴일이었어요.

日本語の場合、特に不自然ではないのですが、韓国語に直訳すると不思議な文章になります。
日本人としては、このような韓国語を、つい書きたくなってしまうものです。

「これだと、先生が休日そのものになってしまいますね。『先生は(体調不良で)(講義を)休みました。』みたいに具体的に書くと、良い文章になりますよ。」といった指導をします。

改めて考えると、日本人はどうやって「先生は休み」を「先生は休んでいる」と頭の中で理解しているのか、わからなくなります。
文型的には「先生は美人」と一緒なのですが、「美人」は補語として捉えていますし、「休み」は述語的に捉えていますし、不思議です。

次は、進行形を教えるとよく目にする文章です。
日:私は座っています。
한:저는 앉고 있어요.

「これ、韓国語だとスローモーションで座るような動作ですよ。」と言いながら、ゼスチャーを見せたりすると、おかしな文章であることを理解してもらえます。
そして、日本語の「~している」には3つの意味があることを言います。

「歩いている」は進行、「座っている」は状態、「予約している」は完了、それぞれ “걷고 있어요.” “앉아 있어요.” “예약했어요.” と書くことを教えます。
日本人は日本語を話す時、進行なのか状態なのか完了なのか、何も考えずに「~している」と話すことが多いと思います。

「何も考えていないのに、同じ『している』という音で3種類の意味の使い分けができるのは超人的ですね。」「もっとスゴイのは聞く方もそれで正確に理解できてしまうことですけどね。」みたいな話をします。

言語学的に日本人は頭の中でどうやってこの違いを理解しているのか、ご存じの方はいらっしゃいますか?

長くなるので、これで最後にしますが、日本語をそのまま直訳して秀逸だった文章です。原文はこんな感じだったと思います。

日:久しぶりに美容院に行きました。こういう女磨きは必要ですね。
한:오래간만에 미장원에 갔어요. 이러한 여자 연마는 필요하지요.

きっと「磨く」を辞書で引いて「연마」を見つけたのでしょう。
「女磨き」を “여자 연마” と訳したのが面白すぎて深く印象に残っています。

韓国語には一言で「女磨き」という言葉はないような気がしますが、どうやって韓国語に訳せば良いか、一緒に教えている韓国人の先生と一生懸命考えました。
確か「自分がきれいになって嬉しい。」というような表現にしたような気がします。

生徒さんには「皆さんが書いた面白い韓国語を集めて本を出しましょ う。テーマは『日本人が間違えやすい面白い韓国語』、うまく売れたら、印税で韓国に遊びに行きましょう。」などと言っては、教室を続けています。

そんな日が来るのを楽しみにしています。

通信067 本の紹介と最近のトレンド

【週刊ハンガンネット通信】《68号》(2013年2月6日発行)
「本の紹介と、最近のトレンド」

アイケーブリッジ外語学院 代表

幡野泉 (はたのいずみ)

ハンガンネットの先生方、アンニョンハセヨ?アイケーブリッジ外語学院の幡野です。今年ももう2月になりましたね。

昨年は3冊の本の出版でてんやわんやでしたが、やっと落ち着きました。この場を借りて少しご紹介させてください(^^;)。
3冊のうち2冊は「シゴトの韓国語」シリーズの改訂版ですが、以前に比べると、別の本のように内容が随所で新しくなりました。

ビジネス韓国語が必要な生徒さんがいらっしゃいましたら、是非お使いいただけると嬉しいです。応用編の特徴をブログにアップしましたので、ご覧いただき、是非お手にとって頂ければと思います。
http://ameblo.jp/ikbridge-h/entry-11459710603.html

基礎編はハングル検定4級以上、応用編は準2級以上程度を目安としています。
(※『シゴトの韓国語 基礎編』:http://www.amazon.co.jp/dp/4384056680)
(※『シゴトの韓国語 応用編』:http://www.amazon.co.jp/dp/4384056699)

また、残り1冊は初級者向けのフレーズブックで、500ものフレーズを書き、
そしてその全てにカタカナルビと解説を書く、というものでした。
(※『リアルな日常表現が話せる!韓国語フレーズブック』

これまでも書籍にルビを振ったことはありましたが、これほど膨大な
量に一つ一つ加えていくという作業は初めてで、あらためて韓国語の
発音をカタカナ書くというその奥深さに圧倒されました。

「たかがルビ、されどルビ……」これまで初級書を書かれてきた先人の
先生方に心から敬意を表する次第です。

出版不況とは言われますが、それでも新しい本はどんどん出ていますね。
最近のトレンドは単語集やフレーズ集でしょうか。中上級向けの本も是非
ヒットしてもらいたいですね。

学習方法も多様化しており、スマートフォンアプリでも学習ツールが増えて
きました。最近、久しぶりに「All about 韓国語」の記事をアップしたのですが、
「無料のオススメ韓国語学習アプリhttp://allabout.co.jp/gm/gc/408182/
という記事を書きました。

これからも学習者の動きに敏感になりながらも、しっかりとした学習の道筋を
示せるよう努力していきたいと思っています。