通信491 コロナ後の「対面レッスン」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第491号(2024年6月24日発行)

「コロナ後の『対面レッスン』」
アイケーブリッジ外語学院 幡野泉===============================================

週末はハンガンネットセミナーでした。
主催された先生方、どうもありがとうございました。
ご参加された先生方、大変お疲れ様でした。
とても参加したかったのですが、当校が加盟する(社)全国外国語教育振興協会の総会と経営セミナー、そして視察研修があり参加することができませんでした。
残念ではありましたが、その経営セミナーでためになることを聞いたため、こちらでシェアしたいと思います。

セミナー発表は英会話教育最大手の方が担当されました。
そのスクールでは、コロナ後、強い要望が無い限りは「対面レッスン」を推奨し、ご案内しているそうです。

理由としては、オンラインでは話せるのに、リアルだと話せなくなるという受講生の声が少なくなかったためだったとか。
そして、これは私も驚いたのですが、人と人とのコミュニケーションで、いわゆる「言葉」の要素が占めるのはたったの7%だという研究結果があると。
それ以外は、環境、空間、予備的な背景知識、表情やジェスチャー、話しを紡いでいくコミュニケーション能力などが占め、それらを融合させないと、会話ができないのだそうです。

7%という少ない数字やその捉え方については反論される先生方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に会って会話をすることの重要性は否定できないと思っています。

大手英会話学校さんはいろんな場所に店舗があり、対面レッスンを推奨できるという羨ましい利点があります。
一方、当校は韓国語であり、他店舗もなく、通訳や翻訳、ビジネス韓国語などのニッチな講座を扱っているという点で、オンラインでないと最低開講人数を集められないという状況になっています。

しかしながら、オンラインの講座であっても、コース中1回は、来られる人は対面(ハイブリッド)にするとか、それができない場合はせめて交流会をするなどで、「言葉だけの7%」を変えることができないかなと思ったりしました。

通信490 「教育実習で鍛える」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第490号(2024年6月19日発行)

「教育実習で鍛える」
ミレ韓国語学院 前田真彦
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ミレ韓国語学院では「教え方の学校」という講座を開講しています。受講生の方には、定期的に「指導案付き10分間模擬授業」をしてもらっています。そして3か月に1回、一般の方を募集して「教育実習」も実施しています。

いろんな問題点が見えてきます。

1.指導案が書けない――書いたこともないので当然とも言えます。授業の目標を絞り込めないケースが多いです。

2.授業の活動を組み立てられない――受講生の実態、ZOOMの使い方をわかっていないと組み立てられません。

3.時間配分ができない――鼻音化の説明でどのくらいの時間がかかるのかが読めていません。

こうして考えてみれば、授業を組み立てるのは大変なことですね。

講師を目指す人たちは、韓国語の体系的な授業を受けてきていない人が大半ですから、自分が教える立場になっても、教え方がイメージ出来ないのだと思います。

さらにはZOOMでの授業を受けた経験も少ないので、ZOOMでどのような授業ができるのか、受講生をどのように動かすのかイメージがしにくいのだと思います。

ZOOM(またはハイブリッド)で一般市民を対象に、授業をどんどん公開していくのが、今のハンガンネットの講師に課された最大の任務ではないでしょうか?

教え方は一朝一夕に身に付くものではありません。学校の先生になるにも、専門の勉強が必要で、免許も必要ですし、採用試験もあります。市民講座の韓国語講師は、免許の有無は問われませんし、研修が課されるわけでもありません。

私たちが楽しく地道に研修をしていこうではありませんか。

<ハンガンネットセミナーのお知らせ>
6月23日(日)20時~22時
1部 ライブ授業 4色ボールペンディクテーションで伸ばす中級韓国語
授業:前田真彦 40分  (講生の募集は終了しました)
2部 最近の市民講座の問題点 座談会
金順玉 阪堂千津子 前田真彦 司会)寄田晴代

<先生方へ>
韓国語は文字と発音が乖離している言語です。
文字と発音の間を埋めるためにディクテーションが必要です。
4色ボールペンディクテーションとは、前田が編み出した方法で、書籍としてHANAから出版されています。
4色ボールペンディクテーションとその後の音読指導をライブ授業で、そのやり方を見てください。
臨時で募集した中級学習者6人を対象に40分授業を実施します。忌憚のないご意見をお聞かせください。

お申し込みはこちら 参加費1000円

通信489 「アンガールズ、アンジャッシュ、アンミカ」田附和久

【週刊ハンガンネット通信】第489号(2024年5月27日発行)

「アンガールズ、アンジャッシュ、アンミカ」
田附和久
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4月開講の入門クラスは、5月の連休が明けて数週間が経ち、雰囲気が落ち着いてきた頃ではないでしょうか。週1回の授業であれば、文字と発音の学習が後半に入り、今頃パッチムを学んでいるクラスも多いのかと思います。

パッチムを扱う単元は、文字と発音の授業の一つのハイライトと言えるのではないでしょうか。日本語にはない子音で終わる音は、日本語母語話者にとっては、違いを聴き分けることも、正しく発音することも、なかなか容易ではありません。「がっかり」、「はったり」、「やっぱり」、「あっさり」、「うっちゃり」、あるいは「パンと」、「パンが」、「パンも」等といった日本語の「っ」や「ん」の音を例として用いながら、受講生の皆さんに口の中の発音器官を意識してもらい、実際にその音を発音できるように導いていくこの単元の授業は、教師自身の言語学、音声学の理解度だけでなく、それをわかりやすく学習者に伝え、理解してもらう指導力そのものが問われます。

このパッチムを最初に学ぶ授業が楽しく盛り上がり、受講生たちが一つひとつの音の違いを理解して発音できるようになる様子を見るとき、教師としてはこの上ない満足感を味わいます。まさに外国語教師冥利に尽きる瞬間です。ちなみにここ数年私は、以前SNSを通して教えてもらった、「アンガールズ」、「アンジャッシュ」、「アンミカ」という例を用いて「ん」の音の違いを説明するのが好きです。これはなかなか受講生の受けがよく、笑顔になった受講生たちとの間で、「先生、アンジャッシュよりアンタッチャブルのほうがいいと思います」、「あのー、アンミカは芸人じゃないのでは?」等といったやり取りが生まれるのを楽しんでいます。

もちろんこの一回の授業がうまくできたからと言って、それだけで満足してはいけません。現実の対話の中では、반、방、밤のようなミニマルペアの聴き分けや言い分けが求められる機会はそれほど多くなく、実際には、文や単語の中に出てくるパッチムを正しく発音できるようになることこそが求められます。そのための指導は1回だけの授業で終わるものではなく、その後の時間にずっと続いていきます。

パッチムの発音で特に注意が必要なのは、ㄴ+ㄱ、ㄴ+ㅂ、ㅇ+ㄷ、ㅇ+ㅂのような日本語母語話者にとって難しい音の続き方になる場合です。恥ずかしながら、私自身、学習を始めてからの数年間、こうした場合のパッチムの発音を正しくできていませんでした。韓国に留学して、現地の人との会話の中で공장という基本的な単語が通じないという経験をして初めて、自分の発音が곤장となっていることに気付かされたのです。このときはたいへん恥ずかしい思いをしましたが、振り返ってみれば、このときに気付かせてもらえて、ほんとうによかったです。

今、授業の際には私自身のこの恥ずかしい経験も必ず話すようにしています。そして、공장、상담、전부、정부といった単語が出てくるたびに「アンガールズのアン!」、「アンジャッシュのアン!」と声を上げて、注意を促しています。

通信488 済州語と私 ペ・ジョンリョル

【週刊ハンガンネット通信】第488号(2024年5月21日発行)

「済州語と私」
ペ・ジョンリョル
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30年ほど前、東京の朝鮮高校で教師をしていたときに担任を受け持ったクラスに済州島出身の一世の男子生徒がいました。済州島で生まれ育ちましたが、両親をなくし村の人たちにしばらく育てられた後で、中学生のときに親戚を頼って妹と一緒に東京に移住しました。そして親戚のつてで、朝鮮学校に編入してきたそうです。親戚の支援のもと、きょうだい二人で生活しており、兄は朝寝坊で学校をさぼるので、たびたび私が車で起こしに行ったりしていました。

きょうだい同士で話すときは済州語でした。「済州語でした」と書きましたが、聞き取れない言葉なのでそう推察するしかなく、でも済州語でしかないだろうということで、これが私にとって初めて済州語を聞いた経験です。

その後、カラオケで「감수광」という曲の済州語の歌詞を知り、映画でも何度か済州語に触れる機会があり、おぼろげながら済州語の一部の語尾や単語を知ることになりました。

私の故郷は慶尚道で、済州島にはほとんど直接の縁がなかったのですが、おばが10年ほど前に済州島に移住してペンション経営を始めたことで、2018年、初めてこの島を訪れました。済州語は今ではほとんど使われていないということは知っていましたが、あちこちで注意して耳をそばだてていると、それらしき言葉を時々耳にすることができました。でも話の内容はわからない。すると職業柄か「済州語の入門書を作れないか」という考えがだんだんと湧いてきました。

以前、『話してみよう!釜山語』という本を試行錯誤しながら作った経験があるので、入門書を作ることはできます。でも商売としては成り立ちません。さらに具体的なあてがわけでなく、そのままになっていました。

ところが今年、済州島出身で韓国語教師のパパ友ができたのですが、なんと彼は済州語ネイティブで言語学専攻だとのこと。試しに弊社の釜山語の本を参考に原稿を書いてもらったところ、結構な内容と量のものをいただくことができました。済州語企画が少し現実味を帯びてきました。

実は6月に発売される『hana Vol. 52』で済州島を特集します。そこで済州語入門のページも作ってみました。誌面の都合上、基本の文法や語彙、フレーズなど、ごく簡単な内容しか載せられませんが、興味のある方はぜひご覧いただければと思います。

手元にある原稿は「hana」記事の数倍の分量があり、さらに内容を充実させて音声を補完することで、それなりの本を作れると判断しています。あとは資金をどうするかですね。

教え子の同窓会をきっかけに、前述した教え子にもたまに会うようになったので、この本で勉強して、一度済州語で驚かせてみたいです。

通信487 「授業のフィードバック」加藤慧

【週刊ハンガンネット通信】第488号(2024年5月6日発行)

「授業のフィードバック」
加藤慧
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「フィードバック」というと一般的には教師側が行う評価を指すかと思いますが、ここでは最近感じている「受講生からの」フィードバックの重要性について書きたいと思います。

受講生の方の反応をリアルタイムで確認しながら進めることのできる個人レッスンと違って、大学の講義では全ての学生の理解度やニーズを把握することが困難です。
今学期は8コマの担当科目のうち、受講者数70名のクラスがあるため、余計にそう感じます。

学期末になれば授業評価アンケートで反応を知ることができますが、ニーズを反映させながら授業を作っていくためには都度コメントをもらいたいと思い、課題提出のツールとして利用しているGoogleやMicrosoftのフォームに毎回記入してもらっています。

これは以前こちらで書かせていただいた、コロナ禍でのオンライン授業の名残です。
ミニットペーパーを利用していたころは一枚一枚読むのが一仕事でしたが、ペーパーレスになって確認と管理が本当に楽になりましたし、普段からスマホ入力に慣れているからか、たくさん書いてくれる学生が多い印象です。

難しかった箇所や授業のペースについてなどを詳しく記入してくれる学生もいますし、質問や「わざわざ質問するほどでもないけれどちょっと気になったこと」などを書いてくれる学生もいます。
その場合は、次の講義冒頭で回答しています。

フィードバックによってひとりよがりな授業になるのを防ぎ、インタラクティブな授業に近づけていると感じます。
毎回講義後にこのフィードバックを読むのが楽しみになりつつあります。

プラットフォーム上で提供しているレッスンの場合はクチコミというかたちで記入していただける場合がありますが(任意のため全ての生徒さんからコメントをいただけるわけではありません)、個人的に運営している教室の方でもフィードバックをいただけないものかと最近思案中です。

先生方は個人レッスンのフィードバックやアンケートをどのように実施されているのか、頻度や方法などについてご教示いただけると嬉しいです。

通信486 「日本語的な表現」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第487号(2024年4月30日発行)

「日本語的な表現」
伊藤耕一
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4月に半年ぶりに日本に戻って、数週間を過ごしています。
聞こえてくる言葉がほとんど聞き取れるというのは、とても楽なことだと、帰ってくるたびに感じます。
その中で、日本語的だなと感じた表現について書いてみたいと思います。

歯だけは、外国で治療を受けようと思っても海外旅行保険が適用されず高額になることがあるため、一時帰国するたびにクリーニングとチェックをしてもらっています。
今回のチェックでは、幸い虫歯はありませんでした。
その時の歯科衛生士の言葉に、このような表現がありました。
「それでは、上の歯から順番に診て行きますね。」
何気ない表現なのですが、少し違和感のようなものを感じました。

このような表現を英語にすると、こんな感じになろうかと思います。
“OK, let’s check from the upper teeth.”
直訳すると「それでは、上の歯から診ましょう。」といったところでしょうか。

私が気になったのは「診て行きます」という部分です。
英語なら「診ましょう」で済むのに、この場合は「診て」に「行く」を付け加えないと、日本語では少しもの足りない印象を個人的に感じます。
皆さんは、そのように感じられるでしょうか。

ここからは、私の個人的見解ですが「診て行く」のように「診る」と「行く」の2つの動詞を繋げないと、全ての歯の検査をしてもえないような気がしました。
一方で英語は「from」があれば「check」される歯は全てであると解釈できるような気がします。

私の場合、歯の治療はつい身構えがちになる(突然、痛みやしみを感じるのではないかという恐怖に備える)ので、こんな重たいことを言われると、その恐怖が増幅されるような気がします。
なので、できるだけリラックスした状態で治療を受けたいと思います。
そんなことを考えているうちに歯のチェックは終わり、年齢の割には歯茎の出血が少なく悪くはない状態とのコメントをいただき、歯磨きのブラッシングに気を付けるようにとのお話があって診察は終わりました。

「それでは、上の歯から順番に診て行きますね。」を無理して英語に逐語訳すると、こんな感じかと思います。
“OK, I will go and check your upper teeth first.”
家に戻ってから検証のためにDeepLで日本語に訳してみると、は「では、まず上の歯を診てきます。」となりました。通じないこともないようです。

もう一度「それでは、上の歯から順番に診て行きますね。」をDeepLで訳してみると、こうなりました。
“I will now examine the upper teeth first.”
これも悪くはないと思いますが、”OK, let’s check from the upper teeth.”と比べると、少し重たい感じがします。

また「それでは、上の歯から順番に診て行きますね。」をDeepLで韓国語に訳してみました。
「그럼 윗니부터 차례로 진료해 보겠습니다.」
私は韓国で生活したことがないので「차례로」が自然な表現なのかどうか、よく分かりません。
私の第一感では「순서대로」とか「하나씩」が浮かんで来ましたし、「진료해」も今回はチェックなので「확인해」くらいかなと思っていましたが、いかがでしょうか。

自動翻訳が手軽にできるようになったのは良いことですが、翻訳結果が自然なのか適切なのかの判断は、まだ人間がしなければならないなと、そんなことを考える機会となりました。

通信485 「白水社『言葉のしくみ』シリーズ 幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第485号 (2024年4月22日発行)

「白水社『言葉のしくみ』シリーズ」 
アイケーブリッジ外語学院 幡野泉
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前回の通信で、スペイン語の学習をしていると書きました。その後の寄田晴代先生による「外国語学習は何歳からでも」の記事投稿には大変励まされ、気持ちが晴れ晴れとしました。

さて、学習をする中で手に取った書籍があります。
『スペイン語のしくみ』(白水社)です。こちらはシリーズものになっていて、様々な言語があります(代表的な言語から、スワヒリ語、バスク語まで…!)
このシリーズ書についてご存じの先生方も多いと思いますが、私は初めて知り、手に取りました。

白水社のシリーズ紹介ページ
https://www.hakusuisha.co.jp/search/s6994.html )には、
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寝ながら読める外国語! 文法用語抜きで!
言葉にはそれぞれ大切なしくみがあります。細かい規則もいっぱいありますが、大切なのは全体を大づかみに理解すること。
最後まで読み通すことができる画期的な入門書シリーズ!
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とあり、本当に最後までスラスラと楽しく読めました。

少し勉強していたからより楽しめたという側面はありますが、もしまだまったく勉強していなくても、外国語に興味のある人なら面白く読み進められるのではと思います。

『スペイン語のしくみ』の筆者の先生の、なるべく易しく解説をしようとされる姿勢、そして「スペイン語学習の楽しさを伝えたい」という思いが垣間見られ感心しました。また、初心者の目線を保ちつつ、筆者の先生におそらく意見をされたりする編集者の方の力も大きいのだと思います。

また、韓国語について語るとき、このように分かりやすく楽しく表現できるだろうかと自問自答しながら、どのようにしたらいいだろうと思いながら読んだりもしました。

本腰入れて外国語を勉強するということは、なかなか思い切りのいることではありますが、こちらのシリーズ書だったら興味のある言語について、その世界を覗いたような、入り口に立てたような気分になれると思います。

気になっている言語のものを、何か一冊手に取ってみてはいかがでしょうか。

通信484 「韓国を理解するための基本知識」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第484号 (2024年4月16日発行)

「韓国を理解するための基本知識」
ミレ韓国語学院 前田真彦
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금강산도 식후경 「金剛山も食後の景色」=「花より団子」

中級で出てくることわざですが、金剛山がどこにあるのかを知らない受講生がいました。これはひとえに、このことわざを教えた時に、地図で金剛山がどこにあるのかを教えなかった講師に責任があります。実は私のことです。

以降猛省し、テキストに地名が出てきたら地図で指し示し、場所を教えることに決めました。前田の自宅とミレ教室のホワイトボードの横に、学校の教室に貼っているような大型の韓半島地図を貼っています。

韓国で一番高い山は? 漢拏山 1950メートル 한번 구경 오십시오 で覚える。

韓国で一番長い川は? 洛東江

高句麗と高麗、どちらが古い時代か区別がつかない人がいます。高句麗の末裔であることを意識して、高麗という王朝名を付けたわけですから、高句麗が古いのです。

以前は「韓国の常識」という言い方をしていましたが、私たち外国人にとっては常識ではなく、意識して覚えていくべき事柄です。「韓国を理解するために必要な基本知識」を計画的に覚えていかなければ、いつまでたっても北朝鮮と中国の国境を流れる川は「鴨緑江と豆満江」ということを知らないままになってしまいます。

専門知識が必要なのではありません。小学生が日本社会を知るために地理や歴史の勉強を小学校の先生から習うように、広く浅くても、基本知識をどんどん知っていく必要があります。英語学習がグローバルな関心を育てるとすれば、韓国語学習は、韓国文化への関心へと発展していくものですし、そういう関心が韓国語の学習を支えるものでもあります。

韓国語講師は韓国文化を理解するための基本知識も意図的に教えていかなければなりませんね。

通信483 「ドラマ」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第483号 (2024年4月8日発行)

「ドラマ<Eye Love You>」
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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3月末に という日本のドラマが最終回を放送しました。

日本の女性と韓国の男性の恋愛を描いたドラマで、
こうしたドラマが地上波で放送されるのが話題となったようです。

番組宣伝にも力を入れ同局のバラエティ番組などに主演俳優が出演していましたが、付き添う通訳さんのキャラクターも話題になりました。

同時にNetflix配信も行い日本のドラマをすぐに韓国でも見ることができるというのも新しい時代の形でした。

日本人女性は相手の「心の声」が聞こえるため、相手が声に出さなくても相手の気持ちがわかるという能力の持ち主ですが、韓国人男性の心の声は韓国語のため理解できないという設定でした。

この韓国人男性の心の声に日本語字幕がついていないということでも、韓国に感心のある人や韓国語学習者らの注意を引いたかもしれません。

そこで教材に良いかもしれないとドラマを見てみましたが、教材として継続使用はやめました。理由の最も大きいものに、韓国人男性の心の声という設定のため心の声が流れるところでは韓国人男性は口を閉じたまま、あるい日本人女性の顔の表情を映しているなどで韓国人男性の口の動きを見ることができないという点でした。

初回放送週、19歳女子が主な構成の韓国語クラス(全15人)にドラマを見たかどうか訊いてみたところ3人ほどが「キャーー」と興奮気味に手をあげました。
他の学生は「見てません」あるいは「何それ?」といった反応でした。
授業でこのドラマのことを話題にしたのはこの一度きりではありますが。

ドラマは韓日の男女が温泉施設に行ってデートをするシーンで韓国人男性が 양머리 を教えてあげるといった場面もあり、こうしたシーンはまだ韓国にあまり興味を持っていなかった人たちの中で新鮮な胸キュンシーンとなる人もいるかもしれないな、新たな韓国ファンを生むだろうなあと感じました。