通信477 「外国語学習の喜びと哀しみ」加藤慧

【週刊ハンガンネット通信】第477号 (2024年2月19日発行)

「外国語学習の喜びと哀しみ」 
加藤 慧
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幡野先生のスペイン語学習についての投稿、伊藤先生のマレー語脳についての投稿を楽しく拝見し、私も外国語学習について書いてみたいと思いました。

私は昔から外国語の勉強が大好きで、英語と韓国語以外ではスペイン語、タイ語、台湾華語の学習経験があります。
(NHKの語学講座で触れた程度まで入れると、イタリア語、ドイツ語、フランス語も入ります)

スペイン語は大学の第二外国語だったためなじみがあり、数年前にメキシコを舞台にした映画『リメンバー・ミー』をきっかけに再び学習を始めましたが、現在はお休み中です。(いつかは再開したいです…!)

タイ語は旅行をきっかけに勉強を始めましたが、文字と簡単な挨拶だけ覚えて終わり、残念なことに今ではすっかり忘れてしまいました。

どれひとつまともに習得できておらずお恥ずかしい限りですが、唯一ゆるく続いているのが台湾華語で、月に2、3回のペースでオンラインレッスンを受けています。
きっかけは注音符号が可愛くて興味を持ったことなのですが、その根底には学生時代に行った台湾旅行の楽しかった記憶と、もう一度旅行に行きたいという気持ちがあったと思います。
韓国で使われる漢字と近い繁体字に親しみを感じたことも大きいです。

複数語学を学ぶことのメリットはいろいろありますが、〝韓国語で〟外国語を学ぶことができるのもそのひとつです。
台湾華語のコンテンツは圧倒的に少ないため主に中国の中国語にはなるものの、この方法だと韓国語と外国語の両方を同時に学ぶことができて一石二鳥です。

さらに私の場合、韓国の小説の台湾華語版を読んで、ここはこう訳したのか、と翻訳の参考にすることもできました。
(まだ一人で小説を読めるレベルではないので、先生に教えていただきながらでしたが)

ですが一番の収穫はやはり何と言っても、生徒さんの気持ちがわかるようになったことです。

非ネイティブ講師の最大の強みは、「生徒さんと同じ言語の学習者であること」だと思っています。
生徒さんよりも早く韓国語の勉強を始め、たまたま深めることができただけの先輩で、語学学習にはゴールはないので、自分も生涯〝学習者〟です。
とはいえ上級レベルの学習者なので、特に初級の頃の気持ちというのはどうしても忘れがちです。

一方で台湾華語の学習には、頭で理解しているつもりの声調が口からは何故か出てこなかったり、習いたての単語の意味が思い出せなかったりして、苦戦するばかりです。
注音符号も読むのに時間がかかったり、似た形のものを混同してしまったりします。

授業で生徒さんがこのような状況に陥っているとき、台湾華語を学ぶ以前と比べてその気持ちがよくわかるようになり、寄り添いながら誘導できるようになりました。
それまでは「たった今教えた単語なのに…」と思ってしまっていたところがあったとすれば、今は馴染みのない音はすぐに覚えられるものではない、とわかるからです。

また、「復習してくださいね!」といつも呼びかけているくせに、当の自分はなかなかその時間がとれません。
仕事をしながらレッスンの復習時間を捻出するのは容易ではないこともわかりました。

私が韓国語を習得したのは、まだ頭も柔らかく、時間的な余裕もある学生時代だったので、この「大人になってから語学を学ぶ大変さ」というのは大きな発見でした。

発音が上手くできない、単語が覚えられないストレスや、復習する時間がとれない結果なかなか伸びない自分への失望感はたしかに〝哀しみ〟と言えるかもしれません。
でもその分、本当に少しずつでも自分の言いたいことが言えるようになったり、台湾ドラマや中国ドラマのセリフが一言でも聞き取れたり、先生と会話ができ、褒めていただけたりしたときの〝喜び〟はひとしおです。
そう思わせてくれる先生にも学ぶところが多く、「生徒」という立場になること自体が、私にとっては素晴らしい経験です。

このように、特に語学講師にとって新しい外国語の学習は、初心にかえり喜びも哀しみもわかるようになる絶好の機会だと思います。
私の台湾華語学習は、韓国語学習がそうだったように、喜びの方が大きいから続いているのだと思います。
生徒さんたちにも、そう思っていただけるような授業がしたいものです。

通信476 「外国語脳を作る」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第476号 (2024年2月12日発行)

「外国語脳を作る」 
伊藤耕一
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マレーシア生活も3年目に入りました。
最近困ったなと思うのは、単語を覚えられなくなったことです。
英語や韓国語を勉強していたころは、新出単語を一度覚えれば、ほとんど忘れることはありませんでした。
しかし、今は、過去に覚えたはずの単語の意味が思い出せない、そんなことを毎日のように感じます。

そんな時に、このような動画を見ました。
https://youtu.be/kfMWelITPpg?si=FqpY6MC0mwUFUx2M

「韓国語脳を作るには」とのテーマです。
そのために必要な前提として、基本的な「単語・文法・発音」を身に付ける必要があるとの話がありました。
私のマレー語を振り返ると、このような感じです。
・単語 圧倒的に語彙力が低い。
・文法 語順、修飾被修飾、格、前置詞といった基本的な文法は、ほぼ覚えた。
・発音 スピーチの時の話は通じているので、問題なさそう。

ということで、動画の話に納得するとともに、私の場合は「単語」が課題であることを再認識しました。

その動画では、単語の覚え方として「イメージで覚える」ことを推奨していました。
つまり、韓国語の単語を日本語に変換することなく認識するような手法です。
振り返ってみれば、学生時代には英語も韓国語も難しい単語は逐語的に覚えるのではなく、イメージで覚えていたことを思い出しました。
例えば「따뜻하다は、暖かい日差し」「어지럽다は、グルグル回るめまい」などのイメージが頭の中にあります。
今でも言葉を発した時の音とそのイメージが結びつくような感覚があります。

翻ってこの2年間で覚えたマレー語の単語を思い起こすと、マレー語を英語に変換して逐語的に覚えてきたような自覚があります。
「Kesihatan=Health」「Keselamatan=Safety」「Belajar=Learn」「Bekerja=Work」「Sedap=Delicious」
つまり、イメージとして覚えていないことになります。

また、韓国語を教えていた時、「(外出先で)これから私の家に来る?」と言う時の「来る」は「오다」でなく「가다」を使わなければならないと言っていたことを思い出しました。
「逐語的に覚えてしまうと、実際に言葉を発する場面では不適切な表現になる場合があるので、なるべくイメージで覚えましょう。」「自分の所有物や所属先を言う時にも「내」でなく「우리」を使うことが多いです。」などと言っていたような気がします。
このようなイメージの絵と解説をホワイトボードに何度も書きました。

image

しかし、欠点は、学習する側としては膨大な数のイメージの場面を覚える必要があり、教える側も膨大な数のイメージの場面を提供する必要があり、非常に手間がかかることです。
私はホワイトボードに絵を描くことが多かったのですが、本当はこのようなカードを用意しておくと、もっと効率的なのかも知れません。

私が韓国語を学習していた頃は、ふんだんな時間と旺盛な記憶力があったのですが、今は限られた時間と衰えた記憶力しかなく、これが一番のネックです。
いくつかのマレー語の単語を覚えたつもりが、翌日にはその半分ほどは忘れてしまい、まさに3歩進んで2歩下がるような感じです。
そうは言っても、マレー語脳を作るには、一歩一歩を積み重ねるように一語一語の単語を覚えて行くしかないなと思うのが、記憶力が衰えた学習者の開き直った本音のような気がしています。

通信475 「新しい言語の習得」幡野 泉

【週刊ハンガンネット通信】第475号 (2024年2月5日発行)

「新しい言語の習得」
アイケーブリッジ外語学院 幡野 泉
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正しくは、「新たに言語を習得するために勉強を開始する」ということなのですが、最近、スペイン語の学習を始めました。動機はスペインやキューバの音楽が以前から好きで、いつか行ってみたいと思っていたためです。

先生方の中に、スペイン語の知識も豊富な方がいらっしゃるかもしれませんね。
まだ開始してから1か月くらいしか経っていませんが、主語を言わなくていい代わりに、動詞の活用で主語を明らかにしたり、言語ならではの特徴がとても面白いです。

面白い、と強がってみましたが、やはり語学の習得というのはストレスを伴うものだなと改めて思います。マレー語の学習をされる伊藤先生のお話、いつも「すごいなぁ」と思いながら読んでいます。

スペイン語はローマ字が使用されているし、発音も特殊なものはあまりないので、文字と発音に関してはそこまでストレスはないのですが、男性名詞と女性名詞、単数と複数、1人称~3人称で活用が七変化します。
もちろん、不規則動詞もあります。終始、これらと格闘することになるのかな、と感じています。(ロシア語もそうでしたが…)

しかし、学習の唯一の救いは音楽でした。昔好きだったキューバ音楽のCDを引っ張り出して聞いてみたところ、その歌詞に出てくる単語は「あれ、これ、教材に出てきた!」となり、定冠詞と一緒に覚えられたり。
教科書に出てくる例文はなかなか覚えられないのに、歌を歌っているといつの間にか覚えていたりしますね。

以前、日下隆博先生とミュージカルの講座をご一緒していたとき、日下先生も同じようにおっしゃっていましたね。

最近、当校にいらっしゃる受講生の中には、教科書で韓国語を勉強したことがない。
K-POPやドラマだけで、話せるようになったという方もいますが、好きこそものの上手なれ、で、なるほど、やっぱりそんなことも可能なのかなと思います。

スペイン語技能検定は6級にはじまり、1級(最上級)まであるようです。
そのうち、検定試験を目標にしてみようかなとも思っています。

通信474「オンライン授業技術をシェアしましょう!」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第474号 (2024年1月29日発行)

「オンライン授業技術をシェアしましょう!」
ミレ韓国語学院 前田真彦
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先生方 ミレ韓国語学院の前田です。

ハンガンネットセミナーのご案内です。

2月12日(月祝)20時~22時 参加費:1000円
<1部:オンラインライブ授業 授業担当:飯田華子さん>
「韓国語の発音講座―ピッチパターン(音の高低)を練習―」
(受講生の募集終了しました)

<2部:講師同士のざっくばらん勉強会>
・ルーム1:オンライン授業のちょっとした工夫
司会進行 とんそく子 前田
話題例)オンラインの基本操作の確認は必要だ
・ルーム2:授業に関するあれこれ
司会進行 金玄謹 金順玉 阪堂千津子 寄田晴代(敬称略)
話題例)レベルの違う受講生が混ざっている授業の進め方はどうする?

ライブ授業とは、臨時の受講生を募って、その場で、実際の授業を展開することです。
講師が生徒役をする通常の模擬授業より、スリリングで授業の実際の様子がよくわかり、大いに参考になります。
担当講師には、臨機応変に対応する授業力が要求され、
負担も多いですが、その分収穫も多い研修方法です。
ライブ授業を引き受けてくださった飯田さんに感謝いたします。

2部の<ざっくばらん勉強会>
ルーム1では、オンライン授業をする時の基本的な操作などを共有したいと思います。
私は、「ZOOM授業片々の技術20連発」と題してちょっとしたZOOM授業のアイディアを出します。
参加なさる先生方も、1つでも2つでも持ち寄って
皆さんで技術をシェアしていきましょう。

ルーム2も授業を進める上でのいろんな問題点について
具体的に話し合います。

金玄謹先生と動画を撮りました。
https://youtu.be/yLLKWLWoFpE

韓国語を教える楽しさを、皆さんで分かち合い、
より楽しく、効果的な教育実践が出来るよう
みなさん、ご参加ください。

現役講師ばかりではなく、これから教えたいと思っている講師志望者も来てくださいね。

オンラインでの授業はまだ始まったばかりです。
技術の集積はこれから、私たちがしていかなければなりません

みんさんで少しずつ積み重ねていきましょう。

お申込みはこちらから
(終了しました。ありがとうございました。)

通信473 「かわいい」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第473号 (2024年1月22日発行)

「かわいい」
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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「かわいい」はパワーワードだ。
「ちいかわ」がはやっているんですよと聞かされて、自分には「そうなんですね」程度の反応しかできないが、「かわいい」に対する消費意欲は相当のように見受けられる。

教科書に’젊어 보여요’ という表現が出てきた時とある生徒さんが「’見えます’ は ‘ポヨヨ’?!’ポヨヨ,
ポヨヨ’…かわいいいーーー~~~~!」と興奮を隠せない様子。

「なるほど。韓国語は人によって音自体もかわいいのだ!」とその後私は少し複数方面に「かわいいと思う韓国語はありますか?」と尋ねてみた。

‘잖아~’と聞こえてくる語尾がかわいい。’엉’と返事するのがかわいい。などなどが収集された。

昨年末とある韓国語学習者の忘年会でふと「韓国語かわいい語選手権」投票をやってみた。

ノミネートは以下の五つ。
보여요
뽀뽀
줄래?
있잖아

さて投票結果は!
보여요 1
뽀뽀 1
줄래? 0
있잖아 9
엉 0

今回は投票者全員が意味がわかっての投票だったが、それにしても意外な結果に思えたのは私だけか?^ ^

「かわいい」はパワーワード。

機会があればみなさんもぜひ「韓国語かわいい語選手権」をやってみてくださいね。

通信472 「ピョンヤンからのメッセージ」田附和久

【週刊ハンガンネット通信】第472号 (2024年1月15日発行)

「ピョンヤンからのメッセージ」
田附和久
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2024年の年頭は、元日に発生した能登半島地震のために、正月のめでたい気分を満喫できなかったという方が多かったのではないでしょうか。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

地震発生後に朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)の金正恩国務委員長から日本の岸田首相宛に見舞いの電報が送られてきたというニュースに触れ、早速、로동신문(労働新聞)のサイトで原文に当たってみました。その中に「나는 피해지역 인민들이 하루빨리 지진피해의 후과를 가시고 안정된 생활을 회복하게 되기를 기원합니다. 」という一文がありました。ここに出てくる「후과」という単語が気になりインターネットで検索してみたところ、よくない結果を表す言葉として「北韓」で使われる単語であると説明する韓国のサイトを多くみつけました。「후과」という単語自体は韓国の辞書にも出てきますが、韓国では共和国におけるほど日常的に使われる頻度は高くないようです。

南北の分断から70年以上の歳月が流れ、今でも互いの言語は通じるものの、日常的に使われる単語や表現の違いが日増しに大きくなっていることは確かです。共和国で暮らすという役柄の人物が登場する『愛の不時着』等のドラマや映画をご覧になって、あらためてそのことに気付かされた方も少なくないのではないでしょうか。

今から四十年近く前、私が初めて朝鮮語を学んだ当時、「남북 공동 성명(南北共同声明)」(1972年7月4日)を教材として取り上げている教科書が何冊かありました。当時としては珍しい南北共同で発表された文書であり(南北統一の実現可能性を期待させてくれる文書でもありました)、同じ文書だけに南北それぞれの正書法や分かち書きの差異を学ぶのに適したテキストでした。私と同じ時期に朝鮮語を学んだ仲間の中には、「最近 平壌과 서울에서 南北関係를 改善하며 갈라진 祖国을 統一하는 問題를 協議하기 為한 会談이 있었다.」で始まる共同声明全文を今でも暗誦できる人が少なくありません。

それから半世紀近くを経た2018年に文在寅大統領と金正恩国務委員長が会談し、両者連名による「板門店宣言」が発表された際、南北双方から発表された宣言文を比較してみたことがあります。「남북 /북남」、「한 /조선」等のそれぞれの置かれた立場に基づく違いの外にも、「(南)정상 (北)수뇌」、「(南)왕래 (北)래왕」、「(南)민족 분단으로 발생된 (北)민족분렬로 산생된」、「(南)이산가족 (北)흩어진 가족」、「(南)전단 (北)삐라」、「(南)장성급 (北)장령급」等の南北間で異なる単語・表現が増え、共同宣言文も共通した一つのものを作れなくなってしまっている現実を悲しい思いで受け止めました(ほかにも、「(南)충돌의 근원이 되는 (北)충돌의 근원으로 되는」のような、文法的に気になる違いもありました)。

日本社会の中で韓国に好い印象を持つ人たちが若い世代を中心にかつてないほど増えている一方で、朝鮮民主主義人民共和国に対するイメージは好転することはなく、メディアでも「ミサイル」発射等をめぐる報道のほかには関心を向けられることがほとんどありません。学習している言語を日常的に使って同時代に生きている人たちの中の半分近くの人たちのことがイメージの中から全く欠落してしまっているという今の日本の韓国語学習者が置かれている現状は、たいへん悲しく、また残念なことだと私は思います。

確かに国交もなく、市民同士がたやすく交流できない状況の中では仕方ないことなのかもしれませんが、しかし今のような状況がこの先も永遠に続くとは思えません。思い起こしてみれば、私が朝鮮語を学び始めた1980年代当時の日本社会の韓国観も、今とは比較にならないほど冷たく、差別や偏見に満ちた厳しいものでした。

ちょうど40年前の1984年にNHKでハングル講座の放送がようやく始まり、『平凡パンチ』という男性週刊誌が韓国特集を組んで大いに話題になりました。大手マスコミでは軍事独裁政権による民主化運動弾圧のニュースのほかには韓国に関して伝えることがほとんどなかった当時、それでも韓国に暮らす普通の人々の生き様や文化を伝えようと努力した先輩たちがいました。それらの方々の働きを通してまかれた種が、時を経てやがて花を開き実を結び、韓流ブームが定着する今の状況へと至りました。韓国ドラマを日常的に楽しむ層が広がり、多くの高校生たちが韓国のアイドルや化粧品に夢中になり、紅白歌合戦には韓国のアーティストが何組も登場するような今日の日本社会の姿を40年前に誰が予想していたでしょうか。

そう考えれば、今から30年、40年先に私たちがピョンヤンに暮らす人々と自由に交流し、互いの文化を楽しむ時代が訪れていることも、全く可能性がないとは言えないでしょう。40年前に日本と韓国の間で交流の種をまいた先輩達にならい、今、かんたんには会えない仲間たちのことを思いながら、今この地でできる種まきの仕事を今年は何か始めたいという思いを新たにしています。

今回は年頭に当たり、個人的な新年の夢と目標を書かせていただきました。2024年が皆様にとって平和で穏やかな実り豊かな年でありますようお祈りいたします。

通信471 「推しとK-popと韓国語」奈良美香

【週刊ハンガンネット通信】第471号 (2024年1月8日発行)

「推しとK-popと韓国語」
奈良美香 下関市立大学 他
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  明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 2023年度のNHK紅白歌合戦にも韓国アイドルが数組出演するなどK-popの勢いはとどまることを知りません。韓国語に興味を持ったきっかけとしても「推しが話している内容を日本語字幕なしで理解したい」という方もいるでしょう。私の家族もボーイズアイドルグループのファンになり、毎日推しグループの曲を聞いています。(私も聞かされています。)また、お目当ての推しが出演する歌番組やバラエティー番組を視聴しながら、表現を質問してくるようになりました。家族との会話の中で、覚えたてのフレーズで話す姿を見ていると、「推し」の威力を実感します。

 皆様も、授業でK-popを使用しての聴き取り練習を実施した経験はありませんか?私も授業の状況に合わせて、私が選んだ曲で聴き取り練習をします。先日も1年生の授業で、私の好きなチョ・ソンモさんのデビュー曲「To Heaven」の歌詞を使用しての聴解練習をしました。私が留学中の1998年に大ヒットした曲で、バラード調で聴き取りやすく、MVもイ・ビョンホンさんが出演したショートストーリ仕立ての内容が独特なため選曲しました。MV視聴後にその当時の韓国の状況と留学中のこぼれ話をしたら、学生達は興味深く聞いていました。

2年生の授業では、学生が<曲選択→文法説明→文法問題→穴埋めリスニング問題>までをひとりで作成して、発表するK-pop課題を実施しました。学生が選曲し、その歌詞から文法を1つ選び、説明後に、文法問題と穴埋めリスニング問題までを発表する内容です。発表後は自己評価と相互評価を実施しました。質問項目の中で「k-pop課題は韓国語学習に役立つと思いますか?」とたずねたところ、全員が「強くそう思う」と回答していました。その理由に、

・「文法を自分で調べ説明できるようにすることで、頭に入りやすくなり、歌を活用することで楽しく覚えられるから。」
・「今まで聞き流していた歌詞を楽しく勉強することができるから。」
・「歌で学習することで楽しく覚えることができ、聞き取る力も向上すると思います。」
などの回答がありました。

 学生が主体となり活動するK-pop課題は、好きな楽曲による韓国語学習であるため、「楽しみながら学べる」というアプローチが可能となります。また、教師も学生の発表からさまざまなタイプのK-popに触れることで、刺激を受け、授業で使えそうなネタを見つけ出すことも可能となります。是非、皆様も機会がありましたら、k-pop課題を実践してみてはいかがでしょうか?

 次回はどの楽曲で、学生が楽しみながら学べる内容を作成しようかと私の奮闘はまだまだ続きます。

参考までに、チョ・ソンモさんの「To Heaven」のリンクを貼りますので、興味のある方は是非、ご覧になってみてください。

【受講生募集のご案内】「韓国語の発音講座―ピッチパターン(音の高低)を練習―」ライブ授業

韓国語学習者の皆さん、「ネイティブっぽく発音したい!」と思ったことはありませんか?
ピッチパターン(韓国語の音の高低)を練習することで、ネイティブアクセントに一歩近づけるかもしれません。

今回のライブ授業では、ピッチパターンを知り、すぐに使える文でたくさん練習します。プリントは事前にお送り致します。

セミナーにて指導はライブで行われ、飯田華子先生が直接「韓国語の発音指導」の授業をしてくださいます。
独学で勉強している方、現在習っている先生以外の授業を一度体験してみたい方この機会にぜひ指導を受けてみませんか。

講師:飯田華子(いいだはなこ)
韓国外国語大学校卒業。関西大学大学院博士後期課程修了。関西大学、大阪公立大学、桃山学院大学、帝塚山学院大学、天理大学非常勤講師。

◆募集要項
日時:2024年2月12日(祝月)20:00から30-40分ほど(リアルタイムでZoomに接続できる方)
参加費:無料
レベル:初級後半~中級レベル
募集人数:5名
条件:顔出し必須
準備物:筆記用具

申し込みページ:
※このセミナーでの指導は、韓国語講師向けセミナーの一貫として行われます。授業が終了しましたら、ルームからご退室をお願いします。

満席になりました。ありがとうございました。

2024年2月の「ハンガンネットオンラインセミナー」のお知らせ

韓国語市民講座講師のネットワーク「ハンガンネット」が開催する2月のセミナーもオンラインにてお届けします。今回のセミナーテーマはライブ授業「韓国語のピッチパターン」です。

開催日時:2024年2月12日(祝月)20時~22時00分
開場:19時50分にZoomルームをオープンします
スタート:20時00分
定員:30人(お申し込み先着順)

前半ライブ授業「オンラインでの発音指導の実践―ピッチパターンを利用して
韓国語を教えている中で、「文法は合っているんだけど、音の高さがなんか不自然……。」と感じた時はどのように対応していらっしゃいますか?

今回は「ピッチパターン」をテーマに、オンラインで発音指導のライブ授業を行います。

ピッチ(音の高さ)の基本パターンを説明することはもちろん、音声分析ソフト「praat」を使用し、学習者自らが音の高さの不自然さに気付ける授業を目指します。

セミナーの流れ
1.ライブ授業を見て頂きます。(ライブ授業後、受講生には退室して頂きます)(30分間)
2.授業後、講師同士で話し合い。(30分間)
授業での気づき、自分ならこうするなど、工夫、改善点を出し合い、より良い授業について考えていきます。

発表者:飯田華子(いいだはなこ)
韓国外国語大学校卒業。関西大学大学院博士後期課程修了。関西大学、大阪公立大学、桃山学院大学、帝塚山学院大学、天理大学非常勤講師。

(5分休憩)

後半:講師同士のざっくばらん勉強会(55分間)
司会:前田真彦(まえだただひこ、ミレ韓国語学院)

普段はなかなか直接の語り合うことの少ない各教室・現場をもつ先生同士で、気軽におしゃべりしながら互いの悩みやアイデアを共有し、親睦を深めましょう。

セミナー後半では、ざっくばらんに下記のような内容を話し合いたいと思っています。

<テーマ1>オンライン授業のちょっとした工夫 
例)オンラインの基本操作の確認は必要だ

<テーマ2>授業に関するあれこれ 
例)同じテーマの読みや聞き取りの文章をこの手あの手を使って何度も繰り返す
例)レベルの違う受講生が混ざっている授業の進め方はどうする?

参加条件:
・韓国語講師(これから教室を始めたいという方も、大歓迎)
・今後韓国語を教えたいと思っている講師志望者
・会員/非会員は問いません。
申し込み締切り:2024年2月7日(水)20:00まで
悩みや課題に思っていることや現況も一言添えてください。

参加費:1,000 円
【参加費は事前に銀行振込よりお支払いください。】
⇒振込先 paypay銀行 本店 普通 2174994 ハンガンネットマエダタダヒコ

申込ページ: