通信442「情熱の境界線」 奈良美香

【週刊ハンガンネット通信】第442号 (2023年5月29日発行)

情熱の境界線
下関市立大学他 奈良美香
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ハンガンネット 会員の皆様
はじめまして。今年度、ハンガンネット通信を担当させて頂きます奈良美香と申します。
私は、現在、下関市立大学、九州工業大学、福岡県立大学と個人教室にて韓国語を教えています。韓国語教育に関して、皆様と情報を共有できればと思っておりますので、一年間どうぞよろしくお願いいたします。

私の場合、まず個人教室の韓国語講師としてスタートしました。社会人対象でしたので、受講生の方々も目的意識が強く授業も円滑に進みました。
その後、大学での授業を担当することになりましたが、学生により学習意欲も様々です。しかし韓国語を専攻科目に選んだ学生なので週に3回以上は韓国語に触れることで、進級するにつれよりレベルアップした内容で授業を展開することができました。韓国語についてより多くのことを習得してほしいと思う余り、次第に課題の質と量も増えていきましたが、幸いなことに、特に問題はなく学期を終えることができました。しかし、過去の課題の内容を再確認すると、学生への負担が多かったのではと反省しています。

2022年度からは、工学系の大学でも韓国語のクラスを担当することになりましたが、これまでの専攻科目とは違い教養科目になると、学生も週に1回の授業の上に専攻外の科目のため、習得度もかなり緩やかになり、ハングル文字が読めるまで、四苦八苦する状況です。その中で、授業中にスマホでゲームをしたり、別の科目の課題をする学生を目にすると、正直腹が立ちます。そこで、諦めて放置するのではなく、何とかして授業に巻き込むことはできないかと、試行錯誤する中で、実行しているのが、指定席にして教室内を巡回しながら学生に積極的に声かけしたり、マイクを回して必ず一度以上は発話させることです。また、簡単な韓国語フレーズを通して数人以上の学生とコミュニケーション活動を行うようにしています。その際に、大変役に立つ教材がゆう きょんみ先生による「フォーカスオンフォームで身につく。トライ!コリアン!」です。TASK中心なので、授業にすぐ活用でき、学生も楽しみながら会話練習ができるので、反応がとてもいいです。私の場合、そのTASKを超初級者向けにアレンジした内容で使用しますが、頻度が多すぎると当初に比べ反応が薄くなることもありました。過度な情熱は、かえって気持ち的にお互いマイナスになるので、需要と供給側が相互に満足する着地点に到着するのは難しいようです。私の奮闘はまだまだ続きそうです。