通信459「消齢化」寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第458号 (2023年10月8日発行)

「消齢化」
寄田晴代
=================================================

「消齢化」ということばを最近知りました。
消齢化とは、「若者らしさや年相応のような年代、年齢にひもづいた生活者の特徴が徐々に薄らいでいき消えていくこと」で、博報堂生活総合研究所が今年発表した新語です。

この言葉を聞いて思い浮かんだことがありました。

日本に30年以上住んでいる、50代の韓国人男性の話なのですが、面識のない韓国人と電話で話をすると、「あなたが何歳なのか見当がつかない」とよく言われるのだそうです。
声を聞いたらおおよその歳がわかりそうなものですが、予想する年齢と、その年齢らしいと思われている話し方(語彙、イントネーション、語尾など)がズレていると混乱します。

そういえば、私が以前韓国で日本語を教える仕事をしていたときにもこんなことがありました。
あるクラスに、中学生のころまで日本で生活していたという受講生がいました。発音、イントネーションなど自然な日本語を話せるのですが「40代の人なのに、話し方が10代の若者みたいなんです。」と担当の先生が言っていたのを覚えています。日本で身についた、その時の話し方がそのままアップデートされていなかったようです。

私たちは周囲の人からことばを学び続けています。
前述の二つの例のように、もともと使っていたことばに囲まれた世界から出てしまうと、年を重ねるにつれて変わっていく話し方に接する機会がほとんどなくなり、意識しない限り自然に身につくことはないのかもしれません。また、文法的間違いならコミュニケーションに支障が出ますが、「年相応」の話し方でなくても日常の会話なら「ちょっと変わってる」と思われるくらいなので、指摘されることもあまりないと考えられます。(家族など身近な人は、その人の話し方に慣れているだろうし、身近ではない人はわざわざ指摘しにくい。)

ちなみに、私は仕事で20歳前後の人と接することが多いのですが、知らないうちに「若者の話し方&微妙な関東アクセント」(勤務地は東京ですが、私は大阪弁ネイティブスピーカー)になっているらしく、家族によく「ときどき気色悪い話し方する」と言われます。

同研究所によると、消齢化の傾向はこれからも進んでいくということなので、このように「ちょっと変わってる」と思われることもなくなるのでしょうね。
そもそも、年齢による話し方に全く違いのない言語もあるのか、も興味深いところです。