【週刊ハンガンネット通信】第462号 (2023年10月24日発行)
「映像選びも楽じゃない」
下関市立大学 他 奈良美香
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会員の先生方皆様も、K-popやドラマ、映画等を活用して授業をされたご経験があるかと思います。学習者からすると楽しく学べるという印象があるらしく、授業での要望が多いため、私も取り入れたりします。
以前、韓国ドラマ「私のIDはカンナム美人」の第1話を使用して映像授業を実施しました。主人公の男性がイケメンで学生受けする点、韓国の外見至上主義、美への追及意識、美容整形に関する意識が垣間見れる点、大学のMTの様子が見れる点からこのドラマを選びました。
授業では、映像を見せる前に、あらすじを簡単に述べ、登場人物の相関図を説明します。語彙説明では①강남언니, ②오크, ③티(가)나다, ④모태솔로, ⑤18학번を紹介し、問題シートを作成しドラマを見ながら答えを見つけるようにと指示します。また、聞き取れた単語や表現を5個以上は書くようにとも伝えます。ドラマ鑑賞後は、この映像を選択した趣旨を説明し、問題シートの答え合わせとドラマに関する感想を書いてもらい提出させます。
この内容を理工系の大学1年生の後期の授業で実施しました。回収した感想には、「韓国の大学生は19歳からお酒が飲めるのか」、「美に対する意識がすごい」、「見た目で判断されるのがつらい」、「MTが楽しそう」などの感想がある中、一人だけ「興味のないドラマを見せられ、面白くなくつまらなかった」という感想がありました。このコメントに、正直ショックを受けました。視聴後にこのドラマを選択した趣旨を説明しましたが、伝わっておらず、人それぞれ好みがあるため、全員が満足できる映像内容を選択する難しさを痛感しました。
そこで、第2弾としてYahooニュースで紹介された「韓国七放世代の絶望」という5分程度の映像を使用しての授業を実施しました。韓国での就職難、外見至上主義、企業間格差などの内容が凝縮された映像に学生達は衝撃を受けたようでした。ナレーターが日本語で紹介するので、語学よりは文化紹介に適切な映像だと思います。
視聴後に、韓国での就職事情や「三放世代」から「七放世代」のキーワードについて説明した後に、感想を提出してもらいました。回収した感想からは、「大企業と中小企業の格差の違いに驚いた」、「整形してまで就職活動をするのに驚いた」、「若者が大企業を目指すために多くのことを諦めていることを知り悲しくなった」などが大半を占めており、マイナス意見はなかったのでホッとした記憶があります。
学習内容の用途にもよりますが、映像を使用して何を学習者に伝えたいのかという意識が非常に大切だと思います。その趣旨を反映させた映像を選択し授業を展開しますが、学習者の反応が良い時と悪い時もあり、なかなか一筋縄ではいきません。私の奮闘の日々はまだまだ続きそうです。
会員の皆様も授業でお薦めの映像がありましたら、是非、教えて頂ければと思います。
参考までにYahooニュースのリンクを貼りますので、興味のある方は是非、ご覧になってみてください。
夢も仕事も恋愛も手が届かない 韓国「七放世代」の絶望
https://news.yahoo.co.jp/feature/91/
