通信520「『hana』の休刊」ペ・ジョンリョル

【週刊ハンガンネット通信】第520号(2025年2月3日発行)

「『hana』の休刊」ペ・ジョンリョル
=================================================

小社から発行していた季刊韓国語学習誌『hana』が、先月発売された『Vol. 54』で休刊になりました。昨年の春『Vol. 51』の誌上で「あと3号出したら休刊する」とお知らせしたので、そのとおりに予定を消化したことになります。

『hana』は2014年4月に生まれました。韓流から始まった韓国語ブームもしぼみ、時の韓国大統領の行動もあって日韓関係が暗転していた時期です。国内で激しい嫌韓デモが盛んに行われ、書店の韓国語学習書売り場がどんどん狭くなっていましたが、そんな中にあってもまだ多くの人が韓国語を学び、新たな経験や喜びを得ていることを私たちは知っていました。

小社も本が売れず苦しい時期を過ごしていましたが、学習者を応援するために、のるかそるかの覚悟でこの『hana』を創刊しました。

幸いなことにその後10年もの間『hana』を続けることができました。振り返るとあっという間でしたが、よくぞここまで続けられたと思います。

まず、このネットワークにはさまざまな形で『hana』を助けてくれた方々がいらっしゃいます。この場をお借りして感謝申し上げます。

創刊時のメンバーはみんな一緒に10歳年を取りました。私にはもはや創刊時のような馬力はありませんし、他のメンバーも同じかもしれません。そのかわりに、経歴に相応した能力や知識が身に付いたので今後さらに大活躍、と信じたいところです。

この間にイベントや取材、読者ハガキなどを通じて多くの読者と出会いました。常に読者に近い位置で読者の顔を思い浮かべながら仕事をできたのは大変貴重な経験だったと思います。休刊にあたってある読者の方から「『hana』のおかげで自分が一人ではないと思えた」という主旨のお言葉をいただきました。創刊当初から「韓国語学習者たちの伴走者になる」ことを目標の一つに掲げていただけに特に嬉しく思いました。

読者の中には学習をさらに進めて、韓国語の先生になったり韓日の翻訳者なったりと、各自のキャリアを広げた方もいます。『hana』がこうした人たちの後押しもできたのであれば光栄に思います。

今日無料のコンテンツが多く現れ、それで韓国語を学べるようになりましたが、きちんと手を掛けたものを世に出してその対価をいただくというのが私たちの考えですし、出版社には同じ考えを持つ人が少なくないと思います。でも最近こうした出版社の旗色は決していいとはいえません。

一度立ち止まって今後のあるべき姿を考え直したほうがいいと、『hana』が10年の節目を迎えたときに考え、今回の休刊に至った次第です(『hana』を出していると本当に忙しくて他のことを考えられないのです)。

10数年くらい前に、クリス・アンダーソンという人が書いた『フリー』という本を読みましたが、こういう世の中になるということが書いてあったように思います。その時は「でも結局タダじゃ続かないんじゃないの」と思いました。想像力不足で本の肝心な部分を理解できなかったのかもしれません。いまさらですが、自宅のどこかにあるその本から読み直してみようと思います。