通信545「編集者って、どこを見てるの?〜企画を検討しやすくするために〜」浅見綾子

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【週刊ハンガンネット通信】第545号 (2025年8月18日発行)
「編集者って、どこを見てるの?〜企画を検討しやすくするために〜」浅見綾子
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先生方、こんにちは。
韓国語教材専門出版社HANAの浅見綾子です。

今回はスクールの担当ではなく、出版の立場から通信をお届けしたいと思います。

韓国語の先生方にも関係のある内容かと存じますので、ご興味のある先生はぜひ参考にしていただけましたら幸いです。

韓国語教材の出版をご希望される先生から、弊社にありがたいことに企画のご提案メールをいただくことがあります。熱意あるご提案を拝見するたびに、韓国語教育の現場で培われた知見やアイデアの豊かさに、深く感銘を受けております。

ただ時折、企画の内容以前の段階で、編集部として少し戸惑ってしまうことがあります。

内容自体は非常に魅力的であっても、「このままでは編集作業が難航しそうだな……」と感じてしまうケースがあるのです。せっかくの良い企画が、伝え方ひとつで検討のテーブルに乗らないのは、本当にもったいないことだと思います。

そこで今回は、出版部の立場から、企画をご提案いただく際に「これが揃っていると編集部として非常に検討しやすい」というポイントをお伝えしたいと思います。

出版にご興味をお持ちの先生方に、少しでも参考になれば幸いです。

企画メールに添付していただきたい3つの資料

1.企画書

企画の全体像をまとめた資料です。出版業界で決まったフォーマットがあるわけではありませんので、ネットで「書籍 企画書」などと検索して出てくる一般的な形式で問題ありません。

以下のような項目が含まれていると、企画の意図や方向性が明確に伝わりやすくなります。

  • 書名(案)
  • 企画趣旨・背景
  • 主な内容(全体構成の概要など)
  • 想定読者(ターゲット層)
  • 類書との違いや差別化ポイント
  • 著者プロフィール
  • その他アピールしたい点(こだわり、想い、教育現場での実績など)

企画書をまとめることで、ご自身の中でも全体像が整理され、「意外と見えていなかった点」に気づけることも多くあります。

2.目次(案)

全体構成を確認するために不可欠な資料です。

たとえ暫定的なものであっても、編集側としては書籍のボリューム感や内容の流れを把握しやすくなりますし、ご自身の執筆計画を立てるうえでも役立ちます。

3.サンプル原稿(1〜2課分程度)

「この本が実際に世に出たとき、どのような内容になるのか」を具体的にイメージするための材料です。

体裁や完成度は問いませんので、あくまで「たたき台」としてお送りいただいて構いません。

この3点が揃っていると、企画全体を多角的に把握しやすくなり、編集部としても前向きに検討しやすくなります。

一方で、原稿だけ、あるいはアイデアのみのご提案ですと、「ターゲットは誰か」「既存の類書とどう違うのか」「なぜこの本を今出すのか」といった視点が見えにくく、検討に時間がかかったり、企画意図のすれ違いが生じやすくなってしまいます。

現場でのご経験や、生徒さんとのやりとりから生まれた教材のアイデアは、まさに実践的なニーズの結晶だと思います。

それを「本」という形に落とし込むためには、“伝え方”の部分でも少し工夫をしていただけると、より多くの読者に届く一冊になるはずです。

もし今後、「いつか自分のアイデアを教材にしてみたい」とお考えの先生がいらっしゃいましたら、ぜひご参考にしていただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。