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【週刊ハンガンネット通信】第551号 (2025年10月4日発行)
「韓国語は孤立言語!」 伊藤耕一
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私の学生時代、日本語と韓国語は「ウラル=アルタイ語族」に属し、同じ系統の言語であると習いました。
その後「ウラル=アルタイ語族説」が否定されたことを知り衝撃を受けましたが、改めてその経緯を調べてみて再び衝撃を受けました。
それは「韓国語は『孤立言語』である説」が今の主流であるというChat GPTの回答です。
「韓国語はどの語族に属しますか?」と聞いてみたら、このような回答がありました。
🔹 アルタイ語族説とは
もともとこの説は、次の言語が共通の祖語(アルタイ祖語)から分かれたと考えるものでした:
トルコ語(例:トルコ、ウズベク、カザフなど)
モンゴル語
ツングース語(満洲語など)
そして一時期は 朝鮮語・日本語 も加えられました。
根拠として挙げられたのは以下のような共通点です:
・膠着語(語の文法関係を助詞や接尾辞で表す)
・母音調和(母音が前後で調和する)
・語順(SOV型=主語→目的語→動詞)
・敬語体系
これが、私が習ったことで、だから日本語と韓国語は似ているのだと納得していました。
🔹 否定されるようになった理由
① 共通点が「類型的な偶然」である可能性
これらの特徴は系統的関係がなくても生じうることがわかりました。
たとえば「膠着語」や「SOV語順」は世界中の多くの言語に見られる一般的なタイプであり、系統関係の証拠にはならないのです。
🔸例:日本語・トルコ語・タミル語(南インド)もすべてSOV型だが、系統的には無関係。
② 比較言語学的な「対応法則」が確立できなかった
言語の系統関係を立証するには、規則的な音韻対応(例:英語 f とドイツ語 p の関係など)を見つける必要があります。
しかしアルタイ語群の間では、
・音の対応が不規則で一貫性がない
・語彙の共通性が少なすぎる
という問題があり、共通祖語の存在を再構成できないことが判明しました。
③ 借用語(loanwords)の影響が大きい
中央アジア〜シベリア地域では、民族間の接触が古くから頻繁でした。
そのため、似ている語の多くが相互の借用語であり、共通の祖語に由来するものではないことがわかりました。
例:トルコ語とモンゴル語の似た語彙の多くが、実際はモンゴル帝国期の借用語。
④ 現代の言語比較研究による結論
1960年代以降の研究(特にロシア・北欧の学派)では、
「アルタイ語族というまとまりは存在せず、トルコ語・モンゴル語・ツングース語は別個の語族である」
と結論づけられました。
そのため、現在では「アルタイ語族」は学術的には廃止された概念です。
衝撃を受けたのは「共通点が『類型的な偶然』である可能性」という点です。
マレーシアとシンガポールにはタミル語を話すインド人が多く、シンガポールではタミル語が公用語の一つになっています。
彼らの話す英語がとても分かりやすいのは、日本語とタミル語の語順が似ているためと知って納得していました。
似ていたのは、ただ単に偶然だったのか!
今年一番の衝撃でした。
🔹 現在の見方(まとめ)
言語 現在の位置づけ
トルコ語 トルコ語族(Turkic family)
モンゴル語 モンゴル語族(Mongolic family)
ツングース語 ツングース語族(Tungusic family)
韓国語 孤立言語(independent / isolated)
日本語 日本語族(Japanese family)
更なる衝撃はこれです。
韓国語だけが「孤立言語」となっている点です。
「日本語族」とは何かと調べてみると、「日本語と琉球諸語(沖縄語、宮古語、八重山語、与那国語など)」とのこと。
何となく納得できます。
それでは韓国語はどのように生まれて発展してきたのか?
とても興味をそそられました。
